- しょうわじょしだいがくふぞくしょうわちゅうがっこうこうとうがっこう
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昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校
- Showa Women's University Junior-Senior High School
- 種別中等教育学校または中高一貫校等 地区関東地区
- 主な活動分野生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育, 貧困
所在地 | 〒154-8533 東京都世田谷区太子堂1-7-57 |
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電話番号 | 03-3411-5115 |
ホームページ | https://jhs.swu.ac.jp/ |
加盟年 | 2012 |
2023年度活動報告
生物多様性, 海洋, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育, 貧困
本学園は「世の光となろう Shine Your Light Globally」をスクールモットーとし、「世を照らす太陽のように世界を舞台に活躍できる女性」「身近な人を照らすことのできる女性」へと生徒が成長して欲しいと願い、ESD,SDGsを学校目標達成の一つの柱として捉え、SDGs達成へ向けた実践を通して、自己実現を目指し、奉仕の心と社会や世界の事柄に関心を持ち貢献できる人材の育成を目標としている。
本校は2014年度から文部科学省から指定され、スーパーグローバルハイスクール(SGH)の活動として企業や大学と連携し、世界を視野におきグローバル・リーダーとして活躍できる女性人材育成プログラムを2019年3月まで実施してきた。2019年度4月からは、文部科学省が助成する「地域との協働による高等学校教育開発推進事業」の指定校となり、他者と協働しながら新しい価値を創造できる力を持つ人材の育成を行っている。SGHの中心的なプログラムであった「LABO活動」は、世界規模の課題を、海外研修などを重ねて研究する活動であったが、4月からは「LABO活動」を「Act globally」の活動と位置づけたことに加え、これまで高校の行学や総合的な学習の時間に実施していた「サービスラーニング」を、より緊密な地域連携を構築した「Act locally」をモットーとした社会参与学習プログラムとして再編・強化し、「LABO活動」と並置し活動をしている。
また、2020年度から、SDMsという有志の生徒グループによる、ユネスコスクール活動も始まり、現在に至っている。加えて、2022年度からは、有志生徒の環境チーム、Operation Green(略称OG)による「持続可能な学校を作る」活動(後述)も始まった。有志の活動が近年、活発になっており、生徒の自主性が育っている。
【活動内容】
①LABO活動(課題研究)
高校1年次に希望した生徒を対象に、2年間を通して以下のテーマについて調査,研究を行うことで,貧困,教育,ジェンダー,住み続けられるまち,平和と公正,パートナーシップといったSDGs達成に寄与する知識,能力の向上,想いの醸成に寄与した。
研究テーマ
LABO1 世界で活躍する日本人リーダー
LABO2 ジェンダーへの意識と教育
②サービスラーニング(ボランティアを通した地域貢献型探究活動)
ボランティア活動を通して社会課題の発見、解決への提言を行う実学型プログラムで、 高校1・2年生4~6名のグループで実施。多くの生徒が参加し、様々な視点から課題を発見し、解決策を検討したり、実践活動に取り組んだりした。 社会に関わる活動を通して、社会人の方々とのコミュニケーション力、課題発見力、課題解決力、自己肯定感などを高めることにつながっている。
テーマの区分と活動内容
1.都市づくり
活動テーマ:・商店街、商業ゾーンの活性化・せたペイ普及・都市防災 など
2.都市社会問題
活動テーマ:・高齢者住民の増加、独居老人問題・子育て、保育、待機児童問題 ・子どもの体力不足、子ども食堂・外国人の増加、国際交流、表示 ・動物愛護 など
3.風景づくり
活動テーマ:・景観重要公共施設の保護・多摩川、等々力渓谷などの自然保護 ・公共施設、遊休地の活用 など
4.企業活動
活動テーマ:・ものづくり企業の支援・若者向け商品の開発、広報・販売支援 ・フェアトレード商品の広報、販売支援・食品ロス など
③ 光葉会活動(委員会/生徒会活動)
校内の委員会や生徒会活動で取り組んだ内容を以下に述べる。
1.中央委員会(生徒会活動)
SDMsが立案した「ウォーター・クーラー」の導入に伴い、2024年1月以降、SDMsによる生徒へのルールの周知、並びに運用サポートを行う予定。
2.教養部(委員会)
7月に夏祭り(七夕祭)を開催し、ラムネを販売した。また、11月には昭和祭で喫茶ルームを開設してお菓子(ロシアケーキ)と飲み物(イチゴ紅茶)を販売した。両イベントの売り上げは、全てユネスコスクール活動の趣旨に沿った募金にあてた。2024年2月には、総合授業の総まとめである全校発表を運営する予定。
3.厚生部(委員会)
前期と後期で福祉募金の協力を呼びかけ、集まった募金は、3月にユニセフ・日本赤十字・あけぼの学園(重度心身障害者施設)・赤十字こどもの家(児童養護施設)に送る予定。
7月の夏祭りと11月の昭和祭では、フェアトレード商品と口と足で描く芸術家協会の文房具を販売し、得た収益金は販売元の団体や福祉募金の一部に充てる。
ペットボトルのキャップと使い捨てコンタクトレンズの空容器を回収している。回収したペットボトルのキャップは、業者さんを通じて、プラスティック工場に送られ、世界の子どもにワクチンを日本委員会に寄付し、役立てられている。また、使い捨てコンタクトレンズの空容器も収益の一部が、視力を取り戻す活動に寄付されている。
能登半島地震の義捐金を集め、日本赤十字社を通じて被災地に送る予定。
前期と後期で、フラワーコンクールを実施し、各クラスで1つのお花を育てながら、植物を育てる心や自然に対する愛情を培う。
前期には、国連UNHCRの天沼先生を招いて講演会を実施。難民に対する意識や国際情勢についての理解を深めることができた。
4.総務部(委員会):「ユネスコスクール・グローバル部門」というチームがある。今年は「服のチカラ」プロジェクトを実施し、古着集めを行った。この活動が、ユニクロの関連事業であるため、同時に、「ファスト・ファッション」の問題点の啓発をスライドで作成し、昼休みに流した。
④「オペレーション・グリーン」:
「持続可能な学校を作る!」という目標のもと、2022年4月にスタートした新しい通年の活動。社団法人Earth Company(NPO)のサポートを受け、学校の環境負荷を下げるためにできる取り組みを、生徒主導で行っている。放課後や昼休みの時間を使った課外活動の位置付けで、昨年度は60人、今年度は50人ほどの登録メンバーが活動に参加している。今年度のアクティブな活動メンバーは30人ほど。企画運営に関わるのは、そのうち15人ほど。1年目の2022年度は、敷地内に隣接する「British School in Tokyo 昭和」(略称BST)(小学校高学年~高校)との「協同プロジェクトとして始まった。2年目は、両校とも校内での活動に焦点を移した。昨年度よりも頻繁にミーティングを持って、活動を進めている。
■活動概要
生徒は以下の3つのチームに分かれ、活動をしている。 スローガン:「Toward Our Well-being: Soil, Soul, and Society:地球、人、社会のウェルビーイング(健康、平安、幸福)」を目指す。
Zero Waste(ゼロ・ウェイスト), Zero Emission(二酸化炭素の排出ゼロ)に向けて全校生徒・教職員が取り組み、「持続可能な学園」作りに励んでいくこと。人は自然の一部であり、切り離されてはいない、人と自然が繋がり合う、自然・いのちの営みを守る、という意識を深めていく。
1.Waste Management(廃棄物管理)の活動
(ⅰ)プラスチック削減のための「マイボトル」の推奨。自販機飲料に代わる「ウォーター・クーラー」の導入計画の立案。2024年1月に生徒への周知を行い、運用開始。
2022年度に学校に提案した「ウォーター・クーラー」(冷水器)が2024年1月に7台設置され、運用を開始した。OGの生徒が全校放送で「オープニング」を宣言し、「マイボトル」持参のキャンペーン「マイボトル・チャレンジ」を校内に呼び掛けた。
導入された機種(OASIS)は、「ペットボトル削減量(350ml換算)」が示される機種であるため、OGでは定期的に全校のペットボトル削減量を記録・報告していく予定。
ウォーター・クーラー導入を一つの契機に、「環境を意識したアクション」を全校で「習慣化」できるように啓蒙していくのが、OGの目標の一つである。
また、ウォーター・クーラーの導入に伴い、「1~3月をOG月間」と定め、「マイボトル・チャレンジ」を進めていく。
(ⅱ)「紙の分別」の徹底によるゴミの削減、ペーパーレス化を意識した教育活動。
「紙分別」については、「分別を呼び掛けるポスター」は掲示したものの、実質的な活動ができていないまま、1月末を迎えている。今後、「紙分別」について、どういう方針を出していくか、関係各所と話し合い、少しでも前に進めていく予定である。
2.CO2削減グループの活動
(ⅰ)省エネ推進活動(①「校内のエアコン温度の設定」、②電気およびエアコン・スイッチの消し忘れをなくす啓蒙活動。
( ⅱ)2022年度11月に自然エネルギーによる「校内発電」として「ソーラーパネルの増設」を学園本部に要望したが、引き続き提案を続けていき、意思疎通を図っていく。
なお、2023年には神奈川県の高校生が県に「太陽光パネル」を県内全校校に設置するよう要望したところ、黒岩県知事がその要望に賛同し、全県立高校への太陽光パネルの設置が決まったという報道があった。このニュースにも触発され、中高部でも引き続き学園本部に要望していく予定である。
3.Foundation(基盤づくり)の活動
広報・啓蒙活動を行うグループ。OG活動の背景にある理念を探究し、専用インスタグラム・アカウントより、学校内外に活動内容を発信している。
・1/27(土):Foundationチームの企画として、ユネスコスクール課外授業「カーボンニュートラル(=CO2削減・回収)シミュレーション・カードゲーム体験会」を開催した。参加者19名(生徒13名・大人6名)。認定ファシリテーターであるリジェネラティブ・リーダーズ・カレッジ代表、山口有里氏を講師に迎え、二酸化炭素削減・回収の方法や、それが社会や地球環境に及ぼす影響について、参加者が12のプレイヤー(日本政府、電力会社、住宅メーカー、農林業、自動車メーカー、環境NPOなど)に扮して、さまざまな経済活動や環境保護活動をカードを通して行い、その結果、地球全体のCO2がどう増減するかを疑似体験した。実際に企業や政府、金融機関などの立場に身を置くことで、普段の学校の授業では得ることのできないリアルな学びを得ることができた。
・2/7(水):BSTのSustainabiltyチームと活動報告の交流会。
・2/8(木):Operation Green(外部団体)の運営母体Earth Companyの共同設立者、濱川知宏氏を招いて講演会を開催予定。Regeneration(再生)というOperation Greenの基本理念について、理解を深める。
■活動の発表
2022年度は2月に「探求的な活動全校発表会」で15分の時間をもらい、全校に活動報告を行った。2023年度も継続して2月に発表する。(2/16)
この全校発表に向けて、「持続可能な学校づくり」実現に向けた「合意形成」を進めていくための「全校アンケート」をGoogleフォームで実施する予定である。質問項目は、OGの3つの活動領域すべて。(エアコンの設定温度、紙分別、ウォーター・クーラー使用など)
また,11月「昭和祭」にて、1年間の活動報告を4年生4人組が、SDMs(有志グループ)の発表の際に行った。BSTの環境グループも招いて、活動報告を発表してもらった。
他に,1月13日(土)、タイの複数のユネスコスクールとオンラインでの交流会を実施した。午前中は教員同士の交流として、それぞれの学校でのSDGs教育を紹介し合い、午後は生徒の交流として、校内や地域での環境問題への取り組みとジェンダー問題に関する取り組みを発表し合った。会の企画・実施においては、ユネスコスクール定期レビューアドバイザーである武田國宏先生に大変お世話になった。
■活動の成果
今年度は、活動2年目となり、積極的に活動する中学生や高校1年生が増えたことが、成果である。だが、年間計画を立てて、それに沿って活動することが苦手である。
昨年度は、活動がほぼストップした後期秋の「昭和祭」の時期にも、忙しい高校2年生にかわって、高校1年生や中学生が活動を継続し、「資源節約」や「ゴミ分別」について、全校放送で呼び掛けるなど、啓蒙活動を続けることができた。中学2年生も、「模造紙のリサイクル箱」を作成して、全校に設置した。こうした意欲を、さらなる「削減」成果につなげられるよう、「計画的な年間活動の実施」を促したい。
⑤ SDMs(SDGs-模擬国連の有志の会)
「SDMs」とは「Speech, Debate and the Model United Nations Society」の略称で、SDGsを基軸に活動している有志グループである。今年度はさらにメンバーが増え、1-5年生まで40余名がなんらかの活動に参加している。活動は、SDGsを議題にした「模擬国連会議」の参加にとどまらず、「おにぎりアクション」というボランティア活動の主催、また一昨年度から始まった、隣接する英国系インターナショナル・スクールBST(British School in Tokyo) との交流活動など幅広い。
今年度、模擬国連の活動は以下の通り。
★8月の「全校高校教育模擬国連大会(AJEMUN)」には、高校1、2年生が12人参加した。そのうち、高2のペアが「最優秀・初心者大使賞」を受賞した。粘り強く準備し、会議の中でも初めて出会った全国から参加している大使らと熱心に話し合い、議場を積極的にまとめていった点が、評価された。テーマ:教育。
★9月「オンライン玉川会議」(気候変動)(1日会議)には、中学3年生4人が初参加。粘り強く準備し、積極的に発言できた。
★1月の「国際模擬国連会議(3日間)(JEIMUN)」All Englishの会議に大使4人(中学3年生2人、高校2年生2人)が挑戦した。他には「当日運営ボランティア6人」、見学2人など、計12人の生徒がかかわった。All Englishの進行は大変だったが、良い刺激になったようである。テーマ:安保理改革。
★2月駒場東邦会議(3ペア6人参加、見学1人)。中学3年生2人、高校1年生4人が参加予定。テーマ:コロナなどの感染症対策。
★3月「公文国際All English 会議」。テーマ:難民。中学3年生が1ペア参加。
★3月「渋谷教育学園幕張中高」(伝統的魔術の使用と規制、空想会議)に10人程度参加予定。
★3月「模擬国連・ミニ会議」をSDMsのOGの大学生と実施予定。決議文の書き方な中心に学ぶ予定。テーマ:安保理改革。
以上、コロナ警戒期間が終わり、今年度は対面の会議が増え、それと共に、模擬国連に参加する生徒が再び活発化し、裾野が広がったと言える。 また、SDMs内に「模擬国連チーム」を作りたいと、「最優秀大使賞」を受賞した高校2年生から提案があがった。この提案が今後どのように実現されるか、見守りたい。
⑥ 学校として取り組んだボランティア活動
最もユネスコスクール活動らしい、生徒発信の活動も、今年度は盛んに行われた。高校2年生の「共同代表4人」が、SDMsのボランティア活動を企画してきた面々だったため、この4人が、主導した活動がきっちりと行われた。この有志の会では、「地球規模の課題について学び、各自が問題解決のためにできることを考え、行動する」ことが柱となっている。個人レベルで取り組むべきこと、また、学校全体を巻き込んでできること、また地域や国や世界規模で取り組むべきことなど、様々な視点で問題解決に向かう力を養いたいと考えている。
■活動内容
(ⅰ) 保冷剤回収活動(無印の活動に協力)。この活動のスタッフとして、20人以上の生徒が応募した。これもかつてない規模の参加であった。
(ⅱ)「おにぎりアクション」(Table for Two主催)。今年度で5度目となり、上記の SDMs(有志の会)が生徒会のグループと共催した。BSTの生徒会とも協同で行い、多くの「おにぎりイラスト」を生徒たちは投稿した。この活動は、おにぎりのイラストや本物のおにぎりの写真を投稿することで、1枚100円の「アジア・アフリカの児童の給食費」に寄付できる、という活動である。BSTとは、大きな「おにぎりポスター」を共同で作成し、両校のHP等にこの活動について、生徒たちが記事をまとめ、周知・啓蒙に務めた。途中、主体の生徒の一部が失速したが、また、別の生徒が奮闘し、活動を最後まで進めることができた。
(ⅲ) 使い捨てカイロ回収活動
昨年度に引き続き、今年で2回目。今年は回収期間を11月から3月までと長い間、実施している。昨年度は987個ほどを回収、主催のGo Green社に送付することができた。
来年度の活動計画
今年度までの活動を継続・発展させることを基本としつつ,生徒の意見を尊重しながら,生徒たち自身が生徒たちのために様々な活動を展開できるプラットフォームを堅持したい。活動を通して,より深く自分事として諸課題に向き合い,深く思考し,協働的に課題を解決していく力を養っていく。