2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育, 貧困

本学園は「世の光となろう Shine Your Light Globally」をスクールモットーとし、「世を照らす太陽のように世界を舞台に活躍できる女性」「身近な人を照らすことのできる女性」へと生徒が成長して欲しいと願い、ESD,SDGsを学校目標達成の一つの柱として捉え、SDGs達成へ向けた実践を通して、自己実現を目指し、奉仕の心と社会や世界の事柄に関心を持ち貢献できる人材の育成を目標としている。

本校は2014年度から文部科学省から指定され、スーパーグローバルハイスクール(SGH)の活動として企業や大学と連携し、世界を視野におきグローバル・リーダーとして活躍できる女性人材育成プログラムを2019年3月まで実施してきた。2019年度4月からは、文部科学省が助成する「地域との協働による高等学校教育開発推進事業」の指定校となり、他社と協働しながら新しい価値を創造できる力を持つ人材の育成を行っている。SGHの中心的なプログラムであった「LABO活動」は、世界規模の課題を、海外研修などを重ねて研究する活動であったが、4月からは「LABO活動」を「Act global」の活動と位置づけたことに加え、これまで高校の行学や総合的な学習の時間に実施していた「サービスラーニング」を、より緊密な地域連携を構築した「Act local」をモットーとした社会参与学習プログラムとして再編・強化し、「LABO活動」と並置し活動をしている。

活動内容
①LABO活動(課題研究)
高校1年次に希望した生徒を対象に、2年間を通して以下のテーマについて調査,研究を行うことで,貧困,教育,ジェンダー,産業と技術革新の基盤,住み続けられるまち,平和と公正,パートナーシップといったSDGs達成に寄与する知識,能力の向上,想いの醸成に寄与した。
研究テーマ
LABO1 幼少期の習い事は将来の選択に影響するのか(キャリア教育の観点から)
LABO2 ジェンダーへの意識と教育
LABO3 海外で活躍する日本人リーダー
LABO4 SDGsアクションと多文化共生社会

②サービスラーニング(ボランティアを通した地域貢献型探究活動)
活動を通して社会課題の発見,解決への提言を行う実学型プログラムで,高校1・2年生3~5名のグループで実施される。多くの生徒が参加し,様々な視点から課題を発見,検討した。
テーマの区分と活動内容
1、インフラ
活動テーマ・取り組み:防犯・観光・町おこし・サスティナブルファッション・リサイクル・高齢者福祉・環境美化・障がい者福祉など
2、子ども
活動テーマ・取り組み:育児・コロナ禍の子どもの体力・子ども食堂・子どもの遊具・食育など
3、食・店
活動テーマ・取り組み:食品ロス、フードドライブ、世田谷野菜の普及など
4、動物愛護
活動テーマ・取り組み:殺処分ゼロ・捨て犬・捨て猫・など

③上記以外のSDGs達成のための活動

[1]オペレーショングリーン:

 「持続可能な学校を作る!」という目標のもと、今年4月にスタートした新しい通年の活動。社団法人Earth Company(NPO)のサポートを受け、学校の環境負荷を下げるためにできる取り組みを生徒主導で行っている。放課後の課題活動の位置付けで、60人ほどの登録メンバーがいる。企画運営にかかわるのはそのうち15人ほど。敷地内に隣接する「British School in Tokyo 昭和」(略称BST)(小学校高学年~高校)と協同プロジェクトとして進めている。

 年8回のワークショップを放課後、BSTと一緒にバイリンガルで実施してきた。生徒は以下の3つのチームに分かれ、活動をしている。

1.Waste Management (廃棄物管理)、2. CO削減、3.Foundation (基盤づくり:理念や広報活動など)

  目指していることは、Zero Waste(ゼロ・ウェイスト), Zero Emission(二酸化炭素の排出ゼロ)に向けて全校生徒・教職員が、取り組み、「持続可能な学園」作りに励んでいくこと。

1.Waste Managementの活動目標は、以下の通り。①「紙の分別」の徹底によるゴミの削減、②プラスチック削減のためにマイボトルの推奨、自販機飲料に代わる「ウォーター・サーバー」の導入検討、③ペーパーレス化を意識した教育活動、④コンポストの導入、の実現に向けて、取り組んでいく。

2.CO削減グループでは、以下の二つの活動を行っている。

(1)省エネ活動(①「校内のエアコン温度の設定」、②電気およびエアコン・スイッチの刑し忘れをなくす啓蒙活動。

( 2 )自然エネルギーによる「校内発電」として「ソーラーパネルの増設」を学園本部に要望する。

3.Foundation(基盤づくり)

広報活動、啓蒙活動、理念を探求する。専用のインスタグラムを作って、活動を開始している。

発表の機会:

①6月に昭和学園内に集う4校が一堂に会して、学園内の環境の取り組みを話し合う「国際シンポジウム」が開催され、オペレーショングリーンからも3人がパネリストとしてバイリンガルのシンポジムに参加した。

②9月にオンラインで全校発表。

③1月には「SDGs クエスト甲子園大会」という外部の大会に、チームとして6人が応募し、パワポを作成。自分たちの活動をふりかえり、外に向かって発信しようと試みた。

来年度も活動を継続していく予定である。来年度は、全校に働きかけ、アクションを起こす生徒たちを増やしていきたい。また、今年は活動時間がなかなかとれなかったので、どのように生徒の時間の中に、このOGのための研究・活動時間をとるようにするのか、工夫を凝らす必要がある。

 

[2]・SDMs(SDGs-模擬国連の有志の会)

  「SDMs」とは「Speech, Debate and the Model United Nations Society」の略称で、SDGsを基軸に活動している有志グループである。今年度はさらにメンバーが増え、1-6年生まで60余名が名を連ねている。活動は、SDGsを議題にした「模擬国連会議」の参加にとどまらず、「おにぎりアクション」というボランティア活動の主催、また一昨年度から始まった、隣接する英国系インターナショナル・スクールBST(British School in Tokyo) との交流活動など幅広い。

 今年度、模擬国連の活動は以下の通り。

 通年を通じて、オンラインの会議に生徒が自発的に参加。

 7月に、模擬国連の本校卒業生が開催した「初心者向けワークショップ」。気候変動問題を議題にして、15人ほどが集った。また、8月の「全校高校教育模擬国連大会」には、高校1年生のペアが模擬国連に初挑戦した。粘り強く準備し、会議の中でも初めて出会った全国から参加している大使らと熱心に話し合い、手ごたえを得た。

  この会では、「地球規模の課題について学び、各自が問題解決のためにできることを考え、行動する」ことが柱となっている。個人レベルで取り組むべきこと、また、学校全体を巻き込んでできること、また地域や国や世界規模で取り組むべきことなど、様々な視点で問題解決に向かう力を養いたいと考えている。

 

[3]・学校として取り組んだボランティア活動

 「おにぎりアクション」(Table for Two主催)は今年度で4度目となり、上記の  SDMs(有志の会)が生徒会のグループと共催した。BSTの生徒会とも協同で行い、多くの「おにぎりイラスト」を生徒たちは投稿した。この活動は、おにぎりのイラストや本物のおにぎりの写真を投稿することで、1枚100円の「アジア・アフリカの児童の給食費」に寄付できる、という活動である。BSTとは、大きな「おにぎりポスター」を共同で作成し、両校のHP等にこの活動について、生徒たちが記事をまとめ、周知・啓蒙に務めた。来年度も取り組む予定である。 

 

[4]・SDGsの理解を深めるための外部講師による「ユネスコスクール課外授業」の実施

 1月27日(金)、一般社団法人ワンジェネレーションから講師を迎え、「リジェネレーション(再生):気候危機を今の世代で終わらせる」と題し、気候危機について学ぶ課外授業を開催した。中学1年から高校2年生までの生徒約20名が集まり、地球温暖化の現状と発生のメカニズム、すべての決定と行動の中心に生命をおくリジェネレーション(再生)という考え方、個人が取り得る4つの行動レベルなどを学んだあと、SDGsとの関係、リジェネレラティブなものとそうでないものを書き出すワークなどに取り組んだ。全校的に進めているオペレーション・グリーンの活動のもつ意義を、改めて捉え直すよい機会となった。

来年度の活動計画

今年度までの活動を継続・発展させることを基本としつつ,これまで教員主体で行うことの多かった講演依頼や活動計画なども生徒から声が挙がるようになってきたことを踏まえ,生徒たち自身が生徒たちのために様々な活動を展開できる仕組みづくりを行っていく。それにより,より深く自分事として諸課題に向き合い,深く思考し,協働的に課題を解決していく力を養っていく。