2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費

本学園は「世の光となろう Shine Your Light Globally」をスクールモットーとし、「世を照らす太陽のように世界を舞台に活躍できる女性」「身近な人を照らすことのできる女性」へと生徒が成長して欲しいと願い、ESDを学校目標達成の一つの柱として捉え、ESDの実践を通して、自己実現を目指し、奉仕の心と社会や世界の事柄に関心を持ち貢献できる人材の育成を目標としています。

本校は2014年度から文部科学省から指定され、スーパーグローバルハイスクール(SGH)の活動として企業や大学と連携し、世界を視野におきグローバル・リーダーとして活躍できる女性人材育成プログラムを2019年3月まで実施してきました。2019年度4月からは、文部科学省が助成する「地域との協働による高等学校教育開発推進事業」の指定校となり、他社と協働しながら新しい価値を創造できる力を持つ人材の育成を行っています。SGHの中心的なプログラムであった「LABO活動」は、世界規模の課題を、海外研修などを重ねて研究する活動でしたが、4月からは「LABO活動」を「Act global」の活動と位置づけたことに加え、これまで高校の行学や総合的な学習の時間に実施していた「サービスラーニング」を、より緊密な地域連携を構築した「Act local」をモットーとした社会参与学習プログラムとして再編・強化し、「LABO活動」と並置し活動しています。

活動内容

①、LABO活動(男女平等の実現(SDGs№5)をテーマとした女性のグローバルなキャリアデ

ザインに対する課題解決学習)

LABO1企業や個人で活躍する女性グローバル・リーダーの研究(アメリカ合衆国)

  アメリカチャールストンの高校で現地生や中国の生徒たちと共同研究を行ったり、

企業訪問や女性起業家とのセッションを企画し、国際的な視野を広げた。

LABO2日本人女性のジェンダーギャップの研究(フィンランド共和国)

ジェンダー先進国フィンランドの政府機関や企業を訪問し、日本のジェンダー・

ギャップの現状を打開する方法を探り、ユネスコスクールでもあるヘルシンキ国際高校の生徒と解決策を検討した。

LABO3海外で活躍する女性リーダーの研究(カンボジア王国)

カンボジアの経済的自立を持続的に支えている女性グローバル・リーダーの仕事に密

着し、途上国支援の方法を開拓しつつ、リーダーとしての在り方、価値観の多様性や真

の豊かさについて考えた。

LABO4途上国女性の社会進出課題(タイ王国) 

タイ、チェンライ県の山岳少数民族を支援するNGO メンバーとの交流を通して、山間部で暮らすアカ族の家庭でホームステイを体験し、世界の問題に目を向け、異なる文化や価値への学びを深め、問題発見力や課題解決力を養った。

2019年2月15日本校において国際フォーラム:男女平等社会の実現に向けて『女性が光となって、誰もが輝く社会へ』を開催、パネリストとして、フィンランド(ユネスコスクールのヘルシンキ国際高校)男女各1名・アメリカ(アシュリ-ホール校)女子1名・イギリス(ギャップイヤー)女子2名・海城中学高等学校 男子4名を迎え、本校生徒 4名を中心に「男女平等の実現」を主テーマに、貧困や保健医療の問題、グローバルな経済格差や環境問題など連環する世界の諸問題を含めパネルディスカッションを行った。

②、サービスラーニング(ボランティアを通した社会奉仕体験学習)

高校1・2年生がグループテーマを以下のように分け3~5名のグループで実施

1、生物・環境 

活動テーマ・取り組み:アルミ缶集めを給食に変える、多摩川周辺のプラスチック

調査、ホームレスの方への炊き出し、お祭り前後の清掃,

絶滅危惧種について学ぶなど

2、子ども教育

活動テーマ・取り組み:子どもの体力・健康状態、子どもの安全、子どもの食生活

子どもの貧困、待機児童など

3、保健医療・食品

活動テーマ・取り組み:子どもの保健医療、難病の子どもを取りまく環境問題など

4、多文化共生・グローバル

活動テーマ・取り組み:在日・訪日外国人の援助、自然災害での外国人への援助、

東京オリンピックに向けて日本が抱える問題、

外国人が過ごしやすい町づくりなど

5、その他(町おこし、防災、震災など)

この活動を通して現状を知り、課題を探り、その解決のための提言をした。

③、上記以外のSDGs達成のための活動

・選択制国内外研修旅行(高校生1年生の沖縄・関西・ベトナム・マレーシア・

オーストラリア研修)、

・中学生も含むSDMs(模擬国連の会)の参加

・ESDの視点で展開されていた授業にSDGsの視点も含めた

・探求的な個人研究「私の研究」(中学生は必修、高校生は選択)の実施

・生徒会の活動(ユニクロ服プロジェクト、ボランティア活動や災害における募金活動など)

・高大連携グローバルプログラム(オムニバス授業)における講演会の実施

・SDGsの理解を深めるための外部講師による「ユネスコスクール課外授業」の実施

これらの活動によって、SDGsに対する関心が高まるとともに、他者と協力しながら新しい価値を創造する力、積極的にチャレンジする力が養われた。

来年度の活動計画

2018年3月に日本ユネスコ協会連盟主催「SDGs高校生フォーラム」に参加させていただき「持続可能なまちづくり」「多文化共生」をテーマにグローバル、グローカル両面の視点から持続可能な社会の在り方を学ばせていただきました。2019年度に入り本校では、「地域との協働による高等学校教育開発推進事業」の指定を受け、地域社会と共にESDの実現とSDGs達成のための活動を実践することができています。

 現在世田谷区では、2020年の東京オリンピックに向けて、オール世田谷で地域の人々が参加する具体的な活動の準備を進めています。こうした機会をとらえ、本校では地域という身近なコミュニティーで課題解決のために主体的に学び、行動できる人材を育成していきます。

 地域を舞台に活躍できる人材を育成するために、引き続き大学や企業・地域自治体と連携し社会参与学習プログラムを編成し、海外研修・選択制国内外研修旅行をはじめとするグローバルプログラムと地域貢献型サービスラーニングとを有機的に結び付けることで、グローバル経験から培った学びや視野を地球規模の課題としてとらえるだけでなく、地域の課題とも結びつけて考え、身近な諸活動に深化させていく「グローカル意識を持った人材(広い視野で物事を考え、高校生ができる具体的なアクションを起こすことができる人材)を創出していきます。具体的な活動として、今後も高校生を中心にLABO活動・サービスラーニングを柱に国際的素養を地球規模の課題だけでなく地域の課題と結び付けて考え、自分なりの解決策を実践できるグローカル人材の育成を目指します。

 中学生においても、個人研究である「私の研究」の内容をSDGsの17項目と関連を持たせていくとともに、教科指導においても毎時の授業内容でSDGsに触れる年間学習計画を立案し実践していきます。また、生徒会活動においてESDの目標として掲げている本校の3つの重要ポイント「環境教育」「国際理解教育」「他者理解教育」を発展・強化させ、SDGsの17項目のさらなる理解のため定期的に「ユネスコスクール課外授業」を実施します。

今後いっそう生徒のラーニングアジリティーの育成に努めて参ります。