2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育

本学園は「世の光となろう Shine Your Light Globally」をスクールモットーとし、「世を照らす太陽のように世界を舞台に活躍できる女性」「身近な人を照らすことのできる女性」へと生徒が成長して欲しいと願い、ESD,SDGsを学校目標達成の一つの柱として捉え、SDGs達成へ向けた実践を通して、自己実現を目指し、奉仕の心と社会や世界の事柄に関心を持ち貢献できる人材の育成を目標としている。
本校は2014年度から文部科学省から指定され、スーパーグローバルハイスクール(SGH)の活動として企業や大学と連携し、世界を視野におきグローバル・リーダーとして活躍できる女性人材育成プログラムを2019年3月まで実施してきた。2019年度4月からは、文部科学省が助成する「地域との協働による高等学校教育開発推進事業」の指定校となり、他社と協働しながら新しい価値を創造できる力を持つ人材の育成を行っている。SGHの中心的なプログラムであった「LABO活動」は、世界規模の課題を、海外研修などを重ねて研究する活動であったが、4月からは「LABO活動」を「Act global」の活動と位置づけたことに加え、これまで高校の行学や総合的な学習の時間に実施していた「サービスラーニング」を、より緊密な地域連携を構築した「Act local」をモットーとした社会参与学習プログラムとして再編・強化し、「LABO活動」と並置し活動をしている。

活動内容
①LABO活動(課題研究)
高校1年生・2年生の希望者からなるメンバーで2年間を通して以下のテーマについて調査,研究を行うことで,貧困,教育,ジェンダー,産業と技術革新の基盤,住み続けられるまち,平和と公正,パートナーシップといったSDGs達成に寄与する知識,能力の向上,想いの醸成に寄与した。

テーマと主な対象地域
LABO1次世代を担う私たちが考えるキャリアデザインの研究(アメリカ合衆国)
LABO2日本人のジェンダーギャップの研究(フィンランド共和国)
LABO3海外で活躍する日本人リーダーの研究(カンボジア王国)
LABO4多文化共生とボランティアの可能性(SDGsアクション)(タイ王国)

②サービスラーニング(ボランティアを通した地域貢献型探究活動)
活動を通して社会課題の発見,解決への提言を行う実学型プログラムで,高校1・2年生3~5名のグループで実施される。多くの生徒が参加し,様々な視点から課題を発見,検討した。
テーマの区分と活動内容
1、生物・環境
活動テーマ・取り組み:動物愛護、多摩川周辺のプラスチック調査、ホームレスの方への炊き出し、お祭り前後の清掃,絶滅危惧種について学ぶなど
2、子ども教育
活動テーマ・取り組み:子どもの体力・健康状態、子どもの安全、子どもの食生活,子どもの貧困、待機児童など
3、保健医療・食品
活動テーマ・取り組み:食品ロス、フードドライブ、世田谷野菜の普及、子どもの保健医療、難病の子どもを取りまく問題など
4、多文化共生・グローバル
活動テーマ・取り組み:在日・訪日外国人の援助、自然災害での外国人への援助、外国人が暮らしやすい町づくりなど
5、その他(町おこし、防災、震災など)
活動テーマ:地域活性化(商店街の振興)、世田谷商店街のバリアフリー、玉川地区の防災など

③上記以外のSDGs達成のための活動
・中学生も含むSDMs(模擬国連の会)の参加
「SDMs」とは「Speech, Debate and the Model United Nations Society」の略称で、SDGsを基軸に活動している有志グループである。今年度はメンバーが増え、1-6年生まで50余名が名を連ねている。活動は、SDGsを議題にした「模擬国連会議」の参加にとどまらず、環境問題のオンライン勉強会の主催や、「おにぎりアクション」というボランティア活動の共催など、多岐に渡っている。昨年度からは、隣接する英国系インターナショナル・スクールBST(British School in Tokyo) との交流活動も始まっている。「模擬国連会議」では、大小さまざまな賞もいただくようになり、昨年度1月に「第4回全国高校教育模擬国連大会」で「最優秀大使賞」を受賞したことをはじめ、今年度もLe’s MUN!主催の9月の会議で「フロント賞」(3位相当) を3人の大使が受賞、10月のNEW MUN主催の会議では「優秀賞」(1位相当)を受賞した。
この会では、「地球規模の課題について学び、各自が問題解決のためにできることを考え、行動する」ことが柱となっている。個人レベルで取り組むべきこと、また、学校全体を巻き込んでできること、また地域や国や世界規模で取り組むべきことなど、様々な視点で問題解決に向かう力を養いたいと考えている。
・学校として取り組んだボランティア活動
ー「おにぎりアクション」(Table for Two主催)は今年度で3度目となり、生徒会と上記の  SDMs(有志の会)が共催した。おにぎりのイラストや本物のおにぎりの写真を投稿することで、1枚100円の「アジア・アフリカの児童の給食費」に寄付できる、という活動である。昨年度に引き続き、隣接する英国系スクールBSTとも協働で実施することができ
、大きな「おにぎりポスター」を共同で作成した。 本校での寄付相当額は3万円を越えた。

ー「古着の回収活動」(「服のチカラ・プロジェクト」)。アフリカや中東の難民キャンプの子どもたちに古着を送る活動で、生徒会が11月に実施し、500枚ほどの子ども用衣類を集めることができた。
・ESDの視点で展開されていた授業にSDGsの視点も含めた
・探求的な個人研究「私の研究」(中学生は必修、高校生は選択)の実施
・SDGsの理解を深めるための外部講師による「ユネスコスクール課外授業」の実施
5月に「プラスチック問題」の映画を見て、環境問題への意識を高め、自分たちにできることを考え始めるきっかけとなった。8月には「ごみゼロ運動」に町全体で取り組んでいる四国の実践例から学んだ。12月には「世界から日本を見る」というテーマで、デンマークとアフリカに留学した方を招き、オンラインで全国から集った参加者と「常識にとらわれない思考」等について、語り合う機会となった。SDMsの生徒達が司会やファシリテートを務めており、生徒たちは全国からの参加者と対話の場を作っていく経験を積んでいる。

 第1回(5月3日)「映画『マイクロプラスチック・ストーリー』上映会+ディスカッション」オンラインにて実施。

 第2回(8月15日)「『ごみゼロ宣言』徳島県上勝町 大塚桃奈さんの挑戦—私たちに今できること」オンラインにて実施。

 第3回(12月23日)「世界の中の自分を探る~デンマークとガーナでの体験から日本人としての自分を考える~」オンラインにて実施。

・春季SDGs海外研修(3月実施予定)
SDGsをテーマに、アメリカ・オレゴン州ポートランドの大学併設語学機関(PIA)と提携して、現地のSDGsの実践に触れる研修(6日間)を企画している。
これらの活動によって、SDGsに対する関心が高まるとともに、他者と協力しながら新しい価値を創造する力、積極的にチャレンジする力が養われた。

来年度の活動計画

今年度までの活動を継続・発展させることを基本としつつ,これまで教員主体で行うことの多かった講演依頼や活動計画なども生徒から声が挙がるようになってきたことを踏まえ,生徒たち自身が生徒たちのために様々な活動を展開できる仕組みづくりを行っていく。それにより,より深く自分事として諸課題に向き合い,深く思考し,協働的に課題を解決していく力を養っていく。