• うしくしりつおくのぎむきょういくがっこう
  • 牛久市立おくの義務教育学校

  • Ushiku Municipal Okuno Compulsory Education School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野生物多様性, エネルギー, 環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, その他の関連分野

所在地 〒300-1288 茨城県牛久市久野町725(北校舎) 久野町670-1(南校舎)
電話番号 029-875-0024(北校舎) 029-875-0055(南校舎)
ホームページ http://www.ushiku.ed.jp/page/page004632.html
加盟年 2018

2023年度活動報告

活動分野

生物多様性, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和

1.はじめに

本校がある地域「おくの」は、自然豊かで歴史のある地域である。そして本校は、コミュニティ・スクールとして、学校運営協議会を中心とした地域に支えられている。この恵まれた自然環境と地域人材を活かし、「地域と共に本校の子供たちを育てること」を核としESDを推進することで、本校児童生徒の「育成したい8つの資質・能力」(資料1)を高め、本校が目指す児童生徒像「おくのを知り、おくのに貢献する児童生徒」(本校グランドデザインより)、つまり持続可能な社会の創り手を育成することをねらいとしている。

(1)「総合的な学習の時間」における単元「ふるさとおくの」を柱としたESD

本校は、ユネスコスクールであった小・中学校が統合し、義務教育学校として令和2年度に開校した。

総合的な学習の時間を柱とした9年間の系統的なESDの推進を重点に置き、教育活動を進めている。そして、その中心単元が「ふるさとおくの」であり、その活動の中で特に大事にしているのが「Think globally、Act locally」の理念である。前期課程1・2年では自然体験を、3・4年では自然への気付きを大切にし、5年からは海外の学校との交流を通して、地球規模の問題について考えたり、自分の国や地域と比較したりして、視野を広げていく。そして後期課程7年からは、自分たちの住む地域「おくの」へと視点を戻し、大切な「おくの」の課題を見出し、地域の一員として何ができるのか考え、行動へと移していく。これら一連の活動を通して、児童生徒の資質・能力を高め、将来この「おくの」を支え、貢献し、さらには持続可能な社会の創り手の育成へとつなげていくことを目指している。

(2)「つなぐ」を大切にした学校教育全体に広がるESD

9年間のカリキュラムを系統的なESDの柱で1本太くつなぎ、効果的なカリキュラム・マネジメントを学校全体で意識して行った。同時に、教職員だけでなく、学校運営協議会を中心とした地域の人的・物的資源とのつながりを大切にしていくことで、一層の児童生徒の資質・能力の向上を目指した。そして、委員会活動や学校行事など、様々な教育活動へとつなげていくことで、本校の教育活動全体にESDが広がり、根付いていくことを目指している。

 

 

 

2.実践内容

(1)「地域と共に子供を育てる」、地域に支えられたESD

本校のESDは、学校運営協議会をはじめ地域の人的・物的支援に支えられている。しかし、それらの多くがイベント的・単発的なものであり、児童生徒の資質・能力を確実に高めていくためには、地域の方たちにも本校の「ESD推進のねらいの理解・共有が重要」であるとして、令和4年度末の学校運営協議会で、令和5年度の教育活動に向けて改善を図った。手立てとして、学校長が「共に子供を育てていきたい」と説明し、その後、教頭が資料2のように視覚的カリキュラム表の説明を行い、各学年の教育活動の共有を行った。その後、「子供にどんな力を付けさせたいのか」と各学年主任と地域の方と令和4年度に向けた人的・物的体制について話合いが行われた。その後も定期的に見直し、改善を行っている。

 

(2)各学年のESD取組の実践(一部)

①前期課程1、2年・・・おくのの自然を感じる

本校のESDのスタートとして、1、2年生は、おくのの豊かな自然に十分に触れ、1年間を通して様々な活動を通して、自然を感じる学習を行う。

【1年生 生活科「いきものとなかよし」】

校庭で虫探しを行った。まず、校庭の地図に、これまでの経験をもとに、虫のいそうな場所を書き込み、予想を立てた。実際の虫探しでは、予想を立てた場所だけでなく、活動範囲を広げ、夢中になって虫を探し、バッタ、トンボ、チョウなど様々な昆虫を見つける

ことができた(資料3)。そして、虫のすみかを作り飼い、虫の様子を観察し、分かったことを伝え合

った。最後には、大きな校庭の地図に、見つけた虫をかいたカードを全員が貼っていき、「おくの校庭

虫マップ」を作成した。完成した地図を見た子供たちは、おくのの自然の豊かさにあらためて気付く

とともに、大切にしていこうという思いをもったようだった。

【2年生 生活科「生き物新聞」】

生活科の時間に、自分たちの身の回りの自然に目を向け、学校の自然や生き物を大切にするため、生き物について詳しく調べた。また、今後、学校の近くの森に住むんでほしい生き物について新聞にまとめた(資料4)。思い思いの昆虫や動物を新聞にまとめることで、地域を大切にしたいという思いや願いを高めた。

 

②前期課程3、4年・・・身のまわりの自然への気付き、様々な関連性、SDGsの基礎的な学習

【3年生「発見!おくのの自然」】

学校やおくのの自然を観察する中で、昨年度の3年生が、「ビオトープ」作りを行ったことを知り、自分たちも学校のビオトープを生き物のつながりがあるものにしていきたいと考えた。その後、子供たちはNPO法人アサザ基金の方にアドバイスをもらいながら、様々な視点から生き物たちのつながりを考えることができた。この活動を通して、SDGsの17の目標とのつながりにも思考を広げている児童もたくさん見られた。

 

【4年生「守れ!おくのの自然」】

学校の近くにあるヤマユリの会の方が管理している森で、年間を通して自然観察を行った。(資料6)また、森にヤマユリの球根を植える活動を行った。すぐに咲く花ではないため子供たちも成長を楽しみにしながら植えていた。山ゆりの会の方々から、ユリをはじめとする森の動植物について自然観察の中で教えていただいた。動植物に対する知識を深めることができた。自然を守るために自分たちにできる活動を考え実行していこうという意欲を高めた。

 

③前期課程5、6年・・・地域のくらし、課題を地域と共有・提案、そして海外との交流スタート

 【5年生 守れ!おくのの歴史】

地域の方から話を聞き、奥野地区には歴史的に貴重な寺や神社、伝統的な行事があることを知った。しかし、人口減少・過疎化により、それらを守り、継承していくにはどうしたらよいかという課題意識をもった。市文化芸術課や地域の方との歴史探検を通して、「守り受け継いでいくために、自分たちができることは何か」というテーマのもと、アイデアを出し合い活動を進めているところである。

 

【6年生 アートマイル国際協働学習 】

6年生は、アートマイル国際協働学習に参加しており、2023年度は台湾の学校と交流を行った。交流では、お互いの国や生活している地域の課題について共有し、持続可能な社会を作り上げていくためにはどうすればよいかを一緒に考えた。交流が進む中で、台湾と日本それぞれの抱える社会問題を踏まえ、どちらの問題も持続可能な社会の実現には重要なテーマであると捉えた。交流における話合いの上、持続可能な社会の実現に向けての思いを、協働作成の絵画で表現する予定となっている。

 

④後期課程7~9年・・・課題を地域と共有・提案、地域社会との協働、持続可能な社会の担い手へ

【7~9年 後期課程学校行事「歩く会」】

後期課程では「Act locally」へと視点を戻し、「SDGs目標11住み続けられるまちづくりを」につなげた学習を進めていく。まず、後期課程学校行事「歩く会」(資料9)で、前期課程までに培った資質・能力を生かし、そして地域の方と共に改めて地域「おくの」を歩き、地域の課題を明らかにしていく活動を行った。 (資料9)

 

【8年生 台湾 双渓国民小学校の学校訪問 】

  これまでの、交流の経験を生かし、台湾の小学校が1月

に本校を訪問し、交流を図る計画が進んでいる。内容と

しては【対面式・習字・交流・ホームルーム・琴の演奏体験】等の予定である。この体験を通して国際感覚を養い、グローバルな視野で物事を考える力を育てていきたい。

 

 

(3)本校のESDを支える国際教育・英語教育

  ユネスコスクールとして、「Think globally、Act locally」の理念のもとESDを推進するためには、国際教育・英語教育も重要である。したがって、本校では、次のような教育活動も推進している。

  • 前期課程 イングリッシュタイム

前期課程では、英語に慣れ親しむことができるよう、外国語・外国語活動の授業とは別に週2~3回イングリッシュタイムを設定している。これは、地域ボランティアの方の支援によるものである。

  • 1、2年 ワールドキャラバン国際理解教育

本年度は、講師として、イギリス出身の2人を講師として行った。外国の文化や生活について理解したり、海外への関心を高めたりしていた。

 

 

  • 3、4年 JICA筑波国際協力出前講座

本年度は、JICAからエジプト派遣経験のある方を講師として招き行った。世界は様々な文化や生活、思考があることや、世界が抱える問題や国際協力について考えを深めることができた。

④4年から海外との交流スタート

児童生徒が世界的な視野で物事を捉えることができるように、2015年度より、海外の学校と交流を行っている。現在は4年・6年・8年が台湾の学校と交流を進めている。

⑤8年生 ブリティッシュヒルズ外国語研修

 福島県にある「ブリティッシュヒルズ」において、外国語宿泊研修が行われた。英国の建築様式や生活様式、調度品にふれ、本物を見たり体験したりすることを通して異文化理解を深めた。そして、英国圏の外国人講師や現地スタッフとの英語による日常会話やレッスンを通して、言語活用・運用能力の向上を図った。

 

 

(6)ESDの学校全体へのつながり、広がり

ここまで述べた一連のESD推進のための教育活動は学校全体でつながり、様々な活動へ広がりつつある。ここでは、その一部を紹介する。

 

①第9学年 地域貢献(持続可能なまちづくりに向けて)

これまでに培った、「Think globally、Act locally」の理念の下、9学年では、『ふるさと奥野 に貢献する~牛久に住むわたしたちにできることは何だろう~』のテーマの下、生徒のアイデアをいかして、【老人福祉施設のボランティア】【地域行事への参画】【地域の特産を使った料理を考え、伝える】【奥野の名所巡りマップの作成】など様々な活動を行っている。これらの活動も、地域から国際社会に視野を広げ、さらに地域に目を向けるという一連の学習があってこその積極的な取り組みであると考える。

 

②教職員研修を生かして

年度始めには、新しく本校に赴任した教職員に対して、そして1年間を通してどのようにESDを

推進していくのか確認の意味も含めて、ESD・SDGs研修を行っている。学校全体についてだけでな

く、学年ごとにも学年主任を中心に方針や流れを確認した。さらに、夏期研修では、カリキュラム・マネジメントを行い、全教員でカリマネの意義や有用性を確認し、実際に視覚的カリキュラム表をもとにカリキュラム・マネジメントの可能性の見直しを行った。そして、本校が推進しているSDGsに関する取組も視覚的に見える化することで、9年間の系統的な学びがより効果的になるように、カリキュラム表にSDGsアイコンシールを貼る活動も行った。各学年・各教科だけでなく、学校全体で教育活動のSDGsの関連性の確認により、ESDの取組をさらに充実させていくことを目指した。

 

4.成果と課題

1)保護者学校評価アンケートより

1.学校は、ユネスコスクールとして、SDGsに関する学習活動を積極的に取り入れている。89.4%

2.学校は、環境教育と郷土教育等の充実に努めている。91.1%

3.学校は英語教育と国際教育の充実に努めている。87.1%

4.学校は、コミュニティスクールとして、教育活動や学校運営などに関して保護者や地域と連携・協力した

教育活動に取り組んでいる。88.2%

5.お子さんは地域や社会をよりよくするために「自分自身になにができるか」を考えたり、話したりすることがある。48.7%

資料12の質問1~4の結果から、保護者に85%以上と一定の評価が得られていることがわかる。しかし、5については課題であり、これは児童生徒の高めたい8つの資質・能力③、④、⑧と関連が大きい内容である。今後も、これらの成果と結果を生かし、児童生徒の高めたい8つ資質・能力の向上を目指し、地域と連携を重ねながら、本校のESD・SDGsの取組の改善を続けていきたい。

 

 

来年度の活動計画

今年度の活動を踏まえ、来年度に向け見直しを行い、見直しをした活動の実践を地域の方と一緒に行っていく。2023年度末の学校運営協議会において、2024年度の活動を各学年主任と地域の方と一緒に振り返り、見直しを行う予定である。その際、本校が推進している総合的な学習の時間を柱としたESD・SDGsの取組の見直しから、改善を行い、次年度2024年度のよりよい活動へとつなげていきたい。

また、並行して、次年度の教育課程編成の総合的な学習の時間部会において、次年度の年間計画を進めている。現在、児童生徒が探究的な活動となるよう、またさらに系統的になるように、各学年のテーマとする内容の精選を行っているところである。また、児童生徒および教職員、そして保護者アンケートを生かし、児童生徒の育てたい8つの資質・能力を高め、持続可能な社会の担い手を育成していきたい。

過去の活動報告