所在地 | 〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下3-5-10 |
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電話番号 | 0467-22-0647 |
ホームページ | http://www.kamakurasho.ynu.ac.jp/ |
加盟年 | 2012 |
2024年度活動報告
生物多様性, 環境, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育
本校では、附属鎌倉小学校・中学校の共通の学校教育目標として、「自立に向けてたくましく生きる~夢ふくらませ,心あたたかく,力あわせる~」を掲げており、教職員だけでなく、子ども自身も保護者も「自立」を本校のキーワードとして意識しています。「なりたい姿」として自分のめあてを立て、自分で意識し、考えて行動することができているか学期ごとに振り返っています。また、校内研究では「自立と共生を軸に据えた教育課程の創造~生活に生きる力の育成を目指した授業デザイン~」を主題に、「自立」と共に「共生」を意識し、授業研究を行っています。
本校では、ユネスコ委員会が資源回収や募金活動、啓発を行い、ユネスコ活動を推進するリーダー役を担っています。各教科や総合的な学習の時間「LIFE」の授業や課外活動、児童会活動などを通じて、一人ひとりが身のまわりの問題に対して自分にできることを考え、自分たちで計画して主体的に取り組み、仲間と協力する中で、創造的な活動に発展させていくことを目指しています。
また、今年度は保護者にもユネスコスクールとしての活動を周知したり、協力したりしていただけるようにと、PTAの組織内に「ユネスコ推進係」が発足し、活動についてPTAから保護者に広報していただいたり、子どもたちと共に活動したりすることができました。
1. ユネスコ委員会の活動
ユネスコ委員会では、生物多様性、環境、福祉、平和の観点から4つの活動に取り組みました。
⓵ひょうたん池の整備
ひょうたん池の中のヘドロや落ち葉を取り、生物の住みやすい環境を維持するとともに、学校の子どもたちが池の近くで楽しく過ごし、自然と関わることができるように、ユネスコ委員会の活動で整備に取り組みました。今年度はPTAユネスコ推進係の呼びかけで集まってくださった保護者にも協力していただき、一緒に活動しました。
⓶資源回収
・テトラパックの回収
以前から行っているテトラパックの回収ですが、回収の目的や、気を付けてほしいことなどを子どもたちがスライドにまとめ、朝会で伝えました。学校給食でたまに出る緑茶や麦茶のパックは開きづらいけれども、紙とアルミニウムのリサイクルにつながり、ベルマークポイントの換算率が高いことを伝えたところ、前よりも開いてくれるクラスが増え、回収率が上がりました。
・鎌倉リサイクリエーション
洗剤やボディケア、ヘアケア、フェイスケア等の詰め替えパックを回収してリサイクルする活動をしている団体に協力し、回収をしています。リサイクル技術が進み、詰め替えパックそのものに生まれ変わることができるようになったので、その意義を朝会でスライドを使って、子どもたちが紹介しました。
・テープ類の巻き芯の回収
テープ類の紙製巻き芯を回収してリサイクルし、緑化活動に協力する活動にも継続して取り組みました。子どもたちが活動をスライドにまとめて紹介したことで、テープ類の巻き芯を集めていることが学校全体に伝わってきて、回収率が上がりました。昨年度の詰め込み時の経験を生かして芯をつぶし、一つの箱にたくさん詰めて送る準備をしました。
⓷募金活動
・赤い羽根募金、ユニセフ募金
募金が何に使われるのか子どもたちがスライドを作成し、朝会で説明して、理解してもらった上で募金活動を行いました。募金活動をしながらユニセフや世界で困っている子どもたちがいることを伝え、活動の意義をPRするなど、工夫しながら活動を行いました。
・書き損じ葉書や未使用切手の回収
書き損じ葉書や未使用切手を集めて換金することで募金になり、貧しい国の子どもたちが学校に通うことができることを子供たちがスライドにまとめ、朝会で全校に伝えました。回収ボックスを大きなものに作り直し、集まった葉書や切手を世界寺子屋運動に寄付しました。
⓸平和学習
国際平和デーの記念で行った「ピース朝会」先立って、PTAユネスコ推進係の方々と一緒に、原爆投下後の長崎の写真を展示しました。
2. PTAとの連携
本校では毎年、「World Teacher‘s Day」にPTAの方が子どもたちからメッセージを集め、校内に飾るという取り組みを続けてくださっています。PTAの方のご厚意で始まった取り組みですが、国際デーの記念として、ユネスコスクールの活動にも寄与していることをお伝えしたところ、保護者にもユネスコスクールの活動を広め、PTAでもユネスコスクールを盛り立てたいと、昨年度の学習発表会「鎌小LIVE」で保護者へユネスコスクールを知ってもらうためのブースを作ってくださいました。学用品のリユース譲渡会を行いながら、ユネスコスクールの取り組みを紹介してくださいました。今年度はさらに活動できるようにと、PTA組織内にユネスコ推進係を作ってくださり、 主に4つの活動を一緒に行ってくださいました。
⓵国際平和デー
ユネスコスクールとしての取り組みにおいて子どもたちの視点が環境や募金活動に偏り、他にも解決すべき様々な問題があることに目を向けられるようにしたいと思い、PTAユネスコ推進係の方々と国際デーの記念イベントで子どもたちの視野を広げることを企画しました。国際デーの一覧を見ながら保護者・教員として子供たちにどのようなことを考えてほしいか話し合っている中で、広島と長崎出身の保護者から自分たちが子ども時代にしてきた平和学習の経験を生かして、子どもたちと親子で戦争や平和について考えるイベントの提案がありました。保護者を通じて長崎の団体に協力を依頼し、写真パネルを借りて、ユネスコ委員と校内に展示しました。また、事前に戦争や平和についてのアンケートを行い、子どもたちのイメージを可視化して掲示したところ、興味をもって掲示を見ていました。ユネスコ担当教員とPTAユネスコ推進係で「ピースデー朝会」を行い、鎌倉市にある戦争の爪痕を紹介から始め、戦時中の広島・長崎への原爆投下について話をしてもらいました。広島出身のお母さん、長崎出身のお父さんが戦争の話を伝え、保護者を代表して平和について一緒に考えようと呼びかけてくださったことで、子どもたちも真剣に考えていました。朝会後に書いた感想文や絵日記には子どもたちの考えたことや思いがたくさん詰まっていて、掲示したものを読み合う姿も見られました。
⓶World Teacher’s Day
国際デーであるWorld Teacher’s DayにはPTAの方々が子どもたちから教員へのメッセージを集め、校内に掲示してくださいました。今年度はサステナブルな飾りにということで、ご家庭で余っていた端切れを回収してガーランドを作成してくださり、今後も継続して使うことができるようにしてくださいました。
⓷ひょうたん池の美化活動
ひょうたん池の底にたまった葉やヘドロを取ったり、木の剪定をしたりする作業をPTAユネスコ推進係の呼びかけで集まった保護者の皆さんと行いました。昨年度はユネスコ委員会担当の教員とユネスコ委員だけで行ったので、大人の手がたりなかったのですが、今年度は保護者に参加して手伝っていただいたり見守っていただいたりしたことで、子どもたちができる作業が増え、例年以上に主体的に考え、行動する姿が見られました。
⓸PTA講演会(性の学習の参観&講演「子どもと話そう!家庭と学校でつなぐ思春期の心と身体」)
昨年度、4年生のクラスの授業参観で保護者と一緒に学んだ性の学習の実践や、性の学習を取り巻く現状に興味を持ってくださったPTA本部役員の方々のご尽力で、今年度はPTA講演会で性教育を扱うことになりました。大学で性教育を研究している先生に講師として来ていただき、前半は4~6年生の子どもたちが性について学んでいる様子を保護者に後ろから参観していただきました。後半は保護者だけで性教育についての現状を学んだり、ワールドカフェ方式で保護者同士が語り合ったりし、子どもたちを取り巻く性の現状について知るとともに、学校と家庭でどのような教育をしていったらよいか考えました。
⓹学用品リユース会
昨年度から始まった学用品リユース会を今年度も学習発表会「鎌小LIVE」で行いました。今年度行ったユネスコスクールとしての活動について知ってもらう機会にもなりました。
3. クラスで取り組んだ学習の事例
今年度から総合的な学習の時間を「LIFE」という名称に附属鎌倉小中で統一し、研究発表会で授業公開を行いました。各クラス・各教科で様々な実践をしているので、ここでは一例を紹介します。
⓵フードロス × 伝統文化
総合的な学習の時間「LIFE」で、自分たちに身近な問題の解決のために少しでも役立ちたいと、どのような問題に取り組むか話し合ったところ、「フードロスを減らすために学び、活動したい」という思いと、「伝統文化についてもっと知りたい・学びたい」という思いをもった子たちがクラスで半分くらいずついました。どちらに取り組もうか悩んでいたところ、ある子が「二つをかけ合わせたら、伝統文化でフードロスを解決することができるかもしれないし、伝統文化について学ぶこともできる」と提案し、一見関係ないように見える二つのテーマをかけ合わせて、学習していくことになりました。フードロスの現状について調べたり、栄養教諭や飲食店を営んでいる保護者、野菜の生産者にフードロスについて教わったりして、フードロスの現状と、食に携わる方々の思いを学びました。また、近所の建長寺を訪ね、和尚さんから鎌倉の郷土料理である、けんちん汁の由来(落として崩れてしまった豆腐を洗って入れたこと)や、当時日本になく中国から伝わった調理方法(油で炒めることで、かたい野菜の皮や根も食べやすくすること)などがフードロスと関係していることを伺いました。栄養教諭からも日本の伝統文化である乾物や漬物はフードロス対策によい方法と教わり、自分たちでも干し野菜を作ったり、調理実習をしたりして、根や皮など捨てられがちな部分まで食べられるような実践を行いました。他の学年・クラスにアンケートをとったり、残飯の量を調査したりして、学校でのフードロスについて調べ、自分たちの学んだことを伝え、給食の残飯を減らそうと取り組みました。1年間の学習の成果は学習発表会「鎌小LIVE」で発表し、より多くの人にフードロスについて知ってもらい、日本の伝統文化やもったいない精神で一緒に対策をしてくれる仲間を増やそうと活動しました。
⓶栄養教諭と連携した食育
本校の食育は「給食を教材」として捉え、食の面から、体・心・地球の健康を養うことを大切に考えている。また、学校・家庭・地域が一丸となって「食育の6つの視点」(1.食事の重要性を理解する 2.心身の健康を保持増進するための栄養や食事の取り方を理解する 3.正しい知識に基づいて食品を選択する能力を身に付ける 4.感謝の心を持つ 5.社会性を育む 6.食文化を理解する)を意識した取組が実践できるよう心掛けている。
また、本校ではアレルゲンになる卵・乳を使わずにより多くの子が安心して食べられる献立、年間を通じて提供される様々な地域の郷土料理、地産地消やフェアトレードなどを意識した食材調達など、様々な工夫を行っている。毎日、給食と一緒に届けられる栄養教諭からの手紙で、料理の説明や工夫、使っている食材や生産者の思いが伝えられ、子どもたちは「いただきます」の挨拶をする前に、この手紙を読んで様々なことに思いを寄せながら給食を楽しんでいる。
給食の時間だけでなく、教科や総合的な学習の時間「LIFE」の学習の中で食を扱う際に、栄養教諭が積極的に関わり、学びをサポートしている。今年度は給食やお弁当、ピザ作り、大豆の加工食品、郷土料理、フードロスなど、食を扱った「LIFE」の学習をするクラスが多くあり、栄養教諭も授業づくりに関わることで、専門的な知識を活用し、より深く学ぶことができた。また、4年前に発足したPTAの有志による学校農園での活動をサポートするFarmりんどうに所属する保護者の協力もいただき、季節の野菜や大豆の栽培、収穫をしている。大豆については毎年、3年生の全クラスで「姿を変える大豆」について栄養教諭による食育授業を行い、その期間には「姿を変える大豆給食」を提供して、給食を教材に、全校で食について興味をもち、学びつつ、食事を楽しむことができるようにしている。
今年度は総合的な学習の時間「LIFE」で収穫した大豆を使った加工食品を作るという学習に取り組んだクラスがあり、外部から講師を招いたり、保護者に協力していただいたりしながら、様々な大豆加工食品作りを行った。
来年度の活動計画
2025年度は、今年度進めることができなかった、ひょうたん池の整備を進め、水質を維持できるようにクリーンエネルギーで動く循環装置の設置を計画しています。水質の維持だけでなく、身近なところにクリーンエネルギーがあることが子どもたちのエネルギーへの関心を高めることになればと思っています。グリーンカーテンのヒョウタンについては不作が続いているので、ヒョウタンを栽培・アートに活用している方にアドバイスをいただき、安定的に育てることができればと考えています。ビオトープとして生き物を眺めることができるようにすると共に、日常生活では、なかなか目にしない植物のおもしろさや多様性に目を向けたり、脱炭素社会への取り組みに関心をもったりする一助としたいです。ユネスコ委員会の子どもたちだけでなく、学校全体で自然環境を守るという意識が高まるよう、朝会などで委員会から伝えたり、理科や生活科、総合的な学習などの授業での活用を考えたりしていきます。
ユネスコスクールとはどんな学校なのかユネスコ委員会の子どもたちが発信し、他の委員会、各クラスで「今、自分たちにできることは何か」という視点で、それぞれ考え、自分から行動するような子どもたちを育て、ユネスコの理念を体現化する学校にしていきたいと思っています。
校内の「ユネスコインスタ」掲示板、ユネスコ推進係による保護者への広報、学校ホームページやSNSを利用して、ユネスコスクールとしての活動を保護者や地域に発信していくことを継続します。学校内でそれぞれのクラスが取り組んでいることを校内・校外に発信して、広げていく活動に引き続き取り組みます。学校で子どもたちが取り組んでいる活動に保護者や地域の方々のご協力をいただくことで、ユネスコスクールとしての活動の幅を広げ、子どもたちの視野が広がるように取り組んでいきたいと思います。