所在地 〒721-8502 広島県福山市引野町980-1
電話番号 084-941-4115
ホームページ http://www.eisu-ejs.ac.jp/
加盟年 2015

2024年度活動報告

活動分野

環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育, 貧困

本校は、「国際社会に貢献できる人材の育成」を学校理念として、ユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野を通して、課題解決型の学習活動を行い、地域や世界の諸問題について自ら考え、行動できる人材の育成を目標としている。

具体的には、①地域社会における課題解決に係わる学習活動、②国際文化理解に係わる学習活動を行った。本校では、校外でのセミナー・イベント・コンテストなどの活動を「桃」と呼んで随時全校生徒に紹介をしており、生徒は自由に、必要であれば探究公欠を取得して「桃」に参加することができるシステムが構築されている。さまざまな学習や体験の機会を提供することで、生徒個別の興味関心を掘り起こし、それぞれが取り組みたいテーマを見つけて探究していくことを目指している。また、生徒自身が段階的、概念的に思考できるように、ディスカッションや校外の専門家の見識なども活用しつつ、国際性をともなった幅広い視点の獲得を試みている。

①地域社会における課題解決に関わる学習活動
(1) 「好き」×「得意」をいかした探究活動(高校)
生徒ひとり一人の興味関心にあわせ、14個のプロジェクトチームを編成し、フィールドワークを行いながらビジネス上の諸課題、地域社会への貢献、社会福祉などについて、生徒自らが課題発見をし、その解決策について具体的に立案・実行した。ビズネスプランについては、出資者を募って地域の「バラ祭」で販売活動を行い、その成果から持続できる地域再生について考えた。また、活動の成果を校内報告会で発表するだけでなく、積極的に校外のコンペティションに応募し、客観的視点からの評価を得ることで、さらなる課題発見や解決策を考えていくための糧とした。
(2) 地元企業・団体とのコラボレーションによる企画
地元企業・団体ご協力をいただき、職業体験や商品開発をおこなった。地元の特産品である八朔、ゆず、バラなどをもちいた商品開発に取り組み、地域の高齢化の問題や農業をめぐる課題に主体的に関わった。開発した商品は地元の「ばら祭り」で販売し、ビジネスの手法を学ぶこともできた。笠岡市白石島の伝統芸能「白石踊(ユネスコ重要無形民俗文化財)」の継承活動を通して海浜の環境や過疎問題を知り、白石踊を広める活動に取り組んだ。この活動報告は「うみぽす甲子園2024」に出展し、グランプリを受賞することができた。また、アフリカ貧困国の支援活動として、マラウィ産コーヒーによる給食支援活動では、地元のコーヒー店と協働してマラウィ産コーヒー豆を使った新ブレンドの開発に取り組んでいる。SNSを活用した広告やロゴデザインの考案などを通して、言語化にかわる新しい表現方法やSNSによる情報リテラシーを学ぶことができた。
その他にもたくさんのプロジェクト活動があるが、ここでは割愛する。いずれも一定の社会的責任を負って活動をすることで、生徒たちは社会への視野を広げ、精神的に大きく成長してくれている。
(3) 地元にあるホロコースト記念館から平和を考える(中学)
中学校の平和学習として、福山市にあるホロコースト記念館を訪問した。ホロコーストの歴史を学び、発表することで知識を深め、現在起こっている戦争や人種差別の問題につなげて考えることができた。ホロコースト記念館から「アンネの形見のバラ」2株を譲り受け、校内の花壇に植樹をして生徒たちで世話をしている。バラの花壇作りや植樹には、該当学年以外にも多くの生徒が関わり、関心を広めることができた。

②国際文化理解に関わる学習活動
本校では10名を超える外国人教員が勤務していることから、授業だけでなく普段の学校生活の中で自然と国際交流を体験できる環境にある。また、多くの海外提携校があり、今年度は4年ぶりに研修団の受け入れや、本校からの海外研修を実施することができた。生徒の関心は広く海外にも向いており、国際的なテーマのセミナーやイベントに主体的に参加している。
(1) コーニッシュカレッジ(オーストラリア)研修団、マウントハットカレッジ(ニュージーランド)研修団の受け入れ(中高)
本校と協定を結んでいる海外の学校から研修団を受け入れ、ホームステイを行った。一緒に授業を受けたり文化交流をするなど学校生活を共にすることで、オンラインでは体験できない貴重な文化交流となった。
(2) アメリカ研修旅行(中3)
英語学習の成果を発揮し、異国の文化に親しむことを目標として、ニューヨーク・ワシントンD.C.訪問に加え、ペンシルヴェニア州ランカスターでホームステイを行った。
(3) シンガポール研修旅行(高校)
シンガポールの多文化社会に触れ、多様性を尊重する力を身に付けることと、新しい状況に挑戦し集団の中で自分を見つめ直し、成長の機会を持つことを目標として実施した。
(4) ニュージーランド短期留学(中高)
中3高1高2の7名が1ヶ月間にわたる短期留学を行った。英語力の伸長と、新しい環境にチャレンジすることで自己の成長を促すことをねらいとした。留学先の学校には1人ずつ配置され、ホームステイを行いながらの学習となった。最初は大きな不安があった生徒も、1ヶ月間をやりきった後には、その分の大きな自信を身に付けていた。
(5) 世界市民教育国際フォーラム(中高)
韓国慶尚北道で行われる、SDGsをテーマに世界各国の青少年とディスカッションや発表を行うフォーラムに中高5名の生徒が参加した。SDGsの課題や実践例を学びながら積極的な意見交換を行い、グローバルな交流をすることができた。

国際デーの取り組みについて
本校では、①2月20日「世界社会正義の日」、②11月20日「世界子どもの日」を記念する行事をおこなった。
①2月20日「世界社会正義の日」にちなんだ「ピンクシャツデー」
社会正義が直面する課題にはさまざまなものがあるが、中高生にとって身近な問題として「いじめ問題」を取り上げた。自分とは違う相手に対する差別意識や不寛容さが、社会正義の実現をはばむ原因の一つだと考えられるからだ。そこで、2月最終水曜日の「ピンクシャツデー」を学校全体で実施した。いじめを許さないというキャンペーンに賛同する生徒・教員は、ピンク色のものを身に付けて1日を過ごした。この日は私服登校も許可し、自由な表現ができることにした。あらためていじめを許さないという思いを強めると同時に、学校全体の一体感がうまれ、視覚的にもピンク色が満ちて温かい雰囲気となった。
②11月20日「世界子どもの日」にちなんだ「世界の子どもにワクチンを エコキャップ運動」
本校では習慣的にペットボトルキャップを回収しているが、あらためてリサイクルにまわしていることと、その収益から貧困国の子どものワクチン代が出されていることを告知した。ポスターや校内放送で、エコキャップ運動の意味を伝えたところ、中学校のあるクラスでは道徳の教材として取り上げられ学習を深めたり、保護者からもキャップの提供があったりと、活動が広まった。

来年度の活動計画

引き続き、新聞記事などのニュースおよび社会的データ・動画を活用した主体的・探究的な学習活動により、国内および地域だけでなく世界における課題発見・解決能力を涵養していきたい。さらに、海外提携校の生徒との国際交流や海外研修旅行を実施することによって、異文化に対する理解を深め、英語でのコミュニケーション能力を向上させ、幅広い視野で課題に向き合うことが出来る能力を養っていく。
また、生徒が積極的に校外に出向き、企業や団体の協力を得ながら様々な体験をする機会を増やすことによって活動の幅を広げ、地域社会の課題を解決する方法を考えることによって、福山市を中心とした備後地域全体の活性化、ひいてはSDGsの達成に寄与すべく行動を起こしていくように計画している。
なお、2025年は、2月26日に「世界社会正義の日」を記念し、全校でいじめ問題について考える「ピンクシャツデー」と、11月20日「世界子どもの日」に合わせた「世界の子どもにワクチンを エコキャップ運動」を予定している。

過去の活動報告