所在地 | 〒225-0024 神奈川県横浜市青葉区市ヶ尾町531-1 |
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電話番号 | 045-973-3400 |
ホームページ | https://www.edu.city.yokohama.lg.jp/school/jhs/ichigao/ |
加盟年 | 2012 |
2023年度活動報告
気候変動, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 健康, 食育
本校は、「自立貢献」を学校理念とし、ユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野のうち「1. 地球市民および平和と非暴力の文化」「2.持続可能な開発および持続可能なライフスタイル」を重視する教育活動を展開している。人格の発達や自律心、判断力、責任感などの人間性を育むとともに、他者、社会、自然環境との関係性を認識し、「かかわり」「つながり」「多様性」を尊重し、一人ひとりが「持続可能な社会の創り手」としての資質・能力の育成を目指している。様々な教育活動にESD/SDGsを浸透させ、学校全体で活動している。
①「生徒会活動でのSDGs実現に向けた取組」
本校では、「市中から世界を変えよう!」を合言葉に、主体的な委員会活動を展開している。
・生徒会本部役員:「Ichigao junior high school opinion board (IOB市中掲示板)」「アイシティecoプロジェクト」
「令和6年石川県能登半島地震募金」「全校集会『水について考えよう!クイズ大会』」
・生 活 委 員 会 :「小学校合同 朝のあいさつ運動」
・環 境 委 員 会 :「緑のカーテンの設置」「使用済みカイロの回収(水をきれいにするプロジェクトに協力)
・保 健 委 員 会 :「ハブラシ・リサイクルプロジェクト(LION)」
・図 書 委 員 会 :「Life with Reading ~読書の秘訣~ 創造的読書のパターン・ランゲージ」(ワークショップ)
・福 祉 委 員 会 :「文房具プロジェクト」「上履きプロジェクト」(寄付されたものをフィリピンに送る活動・地域の福祉作業所との連携)
様々な委員会で「持続可能な社会づくり」に向けた行動が浸透し、自らが行動を起こすことの大切さ、SDGsの実践者としての自覚を育むことができている。そして、活動を先輩から後輩へとバトンタッチし、取組を引き継ぎ、発展させている。
〇「生徒が自由に意見を発信する掲示板 ~Ichigao junior high school opinion board~」
生徒会本部役員が全校生徒をつなぐために始めた活動である。コロナ禍により、全校で交流する機会が減ってしまったことから、少しでも他学年と 関わる機会を増やすことを目的に掲示板(IOB)を作っている。月ごとに提示されるお題について、生徒たちが自分の意見をシートに書き、掲示板に貼ることで、意見を全校で共有している。毎月、多くの生徒が参加し、たくさんの意見であふれている。
➁授業や行事を通した「持続可能な創り手」の育成
・全学年「道徳」「人権特設授業」
本校では、「道徳」での学びを活かし、様々な課題を「自分事」として捉えて、議論し、行動できる人の育成を目指している。6月に「一つの物事も独自の価値判断で異なって捉えられていること」や「日常の何気ない会話に偏見や差別意識が潜んでいること」に気付かせるワークショップを行った。人権が自分たちに身近にあることを意識した上で、12月に「あってもいいちがい/あってはならないちがい」や「性の多様性」について全校で考え、「なぜ、そう考えたのか」の理由について共有することで、各自が他者の視点を理解し、自己の価値観を見つめ直すことができた。
・1、2学年「職業講話・課題解決学習」
「働く方々の生き方から多様な価値を学ぶ」「課題解決学習から他者と社会との関わりを学び、将来に向けて自分ができることを考える」をねらいとして、生徒と企業との対話を行った。この学習は、NPO法人団体が仲介役となり、企業と学校のコーディネートをしてもらうことで実現できた。生徒たちは、事前にSDGsにつながるビジネス課題を提示され、グループで解決策を考え、講話当日に企業の講師にプレゼンテーションを行った。「お客様に必要な『水』を考えて提案しよう!」など、現実社会の課題解決を仮想体験することで、働くことのSDGsの達成につながることだけでなく、他者と協力して複雑な問いにチャレンジしていく楽しさ、異なる意見を受け入れて、一つにしていく面白さにつながることを実感することができた。
・特別支援学級「社会科 『世界の諸課題』 ~主体的に学習に取り組む態度を育む~」
生徒の「主体的に学習に取り組む態度」を育むために「世界の諸課題」とSDGsを関連付けながら、「探究型学習」を行った。社会科を中心に、理科、道徳、総合的な学習の時間などで教科横断的に学習を行い、「世界の諸課題」について知り、自分で課題を設定し、調べ、情報を整理し、まとめ、「持続可能な社会」の達成に向けた自分なりの答えを追求する学習を展開した。また、ペア学習による他者との協働的な学びと「ポスターセッション」による発表者と見学者との相互的なやり取りによる対話的な学びを行い、本学級の生徒の課題とのなる双方向のコミュニケーション力(「伝える力」と「相手の意図を受け取る力」)の育成にもつなぐことができた。
③「ユネスコスクール交流による学び合い」
他校種と体験を分かち合い、自校におけるSDGsのフロンティアを開拓する目的として、生徒会本部役員と中央委員会からの有志生徒で、「横浜市立東高等学校『サスティナブル研究部』」と交流した。「サスティナブル研究部」による自作のすごろくやゲームを実際に体験することで、楽しく活動しながらも社会課題に自然と意識することができた。この活動からヒントを得て、生徒主体の「全校集会『水について考えよう!クイズ大会』」を行った。また、本校は、「環境」分野が主であるが、貧困、教育などの社会的・経済的な分野にも視野を広げられることに気付くことができた。結果、今後の活動の幅を広げていこうとする生徒の意欲的な姿が見ることができた。
来年度の活動計画
平和学習や多様性の尊重、ESDの視点から「持続可能な社会の実現」に向けて、引き続き、様々な取組を継続していく。今までのSDGsに関連づけられた活動から、社会課題に気付き、自ら行動を起こしたいと高い意識をもった子ども達が育ってきた。一方、アンケートを実施した結果、「コミュニケーション力(発信)」に苦手さを感じている生徒が多くいることがわかっている。多様な人々と連携・協働しながら、地域や社会の変容に貢献していくことが求められる社会において、自分の考えに理由をもち、発信していくことや他者の話を聞き、様々な価値基準を受容していくことのコミュニケーション力は欠かせないと考える。来年度は、より一層、自分たちの考えや活動を他者に伝え、自分の言葉で他者とアクションを共有し、協力して課題を達成していくことの価値を自覚できるような学習を様々な教育活動で展開していきたい。「市中から世界を変えよう!」を合言葉に「持続可能な社会づくり」に貢献し、地域の中でも中心的な役割を担える子ども達を育てていけるように、引き続き、ホールスクールアプローチでESDを推進していく。