• わかやまけんりつたなべこうとうがっこう
  • 和歌山県立田辺高等学校

  • Wakayama Prefectural Tanabe Senior High School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野減災・防災, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 持続可能な生産と消費, ジオパーク

所在地 〒646-0024 和歌山県田辺市学園1-71
電話番号 0739-22-1880
ホームページ https://www.tanabe-h.wakayama-c.ed.jp/high.htm
加盟年 2017

2023年度活動報告

活動分野

減災・防災, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 持続可能な生産と消費

本校の教育目標である「合理的な思考・豊かな情操・積極的な行動」に基づき、ユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野を通して、21世紀を力強く、積極的に、心豊かに生きていく力を育成することを目標とした。

① 総合的な探究の時間における取り組み

高校3年間を通したテーマは、「温郷知新」「Think Locally Act Globally」である。これらは本校の造語である。前者は、「ふるさとをたずね、あたらしきをしる」という意味である。また、後者は「地元に学びつつ、世界を視野に入れて行動しよう」という意味である。

第一学年は、探究のスキル学習と地域探究に取り組んだ。探究教材を活用した学習、外部講師によるデータ利活用講座、探究コンテストへの挑戦などに取り組んだ。続いて、地元自治体の首長や企業経営者を招いた講演会を開催し、「地域×SDGs」という視点で地域を学んだ。そして、地域活性化のための探究活動「SDGsスタディツアープランの作成」に取り組んだ。

第二学年は、「なぜ?からつなぐ現代社会の諸課題」をテーマに、生徒の興味・関心ベースの探究活動を行った。夏休み期間を利用して全員が探究コンテストに挑み、探究成果発表会につなげた。また、地域をグローバルな視点でとらえることを目的に、移民をテーマとするプログラムを実施した。和歌山県は全国有数の「移民県」であり、明治以降に多くの県民が世界各国へ移住し、現在でも「和歌山県人会」を組織して活動している。そこで、地域から世界に飛び出した先駆者である移民について学習し、ブラジル和歌山県人会とオンラインおよび対面で交流をした。

第三学年は、「自己の生き方・在り方を探究する」をテーマに探究学習を行った。自己の興味・関心や特性を再確認しながら、進路について深く考え、自らが地域社会・国際社会にどのように貢献するのかを文章でまとめ、クラス文集を作成した。

② SEEKER(シーカー、生徒国際委員会)の取り組み

ユネスコスクールとしての活動に専門的に取り組む生徒有志の委員会である「SEEKER」を組織し、「持続可能な地域づくりに貢献する」「熊野の地から世界をみつめる」をテーマに、多様な課外活動に取り組んだ。

≪世界遺産探究≫

田辺市文化振興課のご指導のもと、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産である熊野古道の保全活動(道普請)を実施した。田辺ライオンズクラブのご支援のもと、地域の方々と合同で作業をし、地域住民との交流の機会にもなった。また、和歌山県世界遺産センターの次世代育成事業に応募し、高野山でのフィールドワークを実施した。現地で世界遺産マスターさんに解説をしていただきながら、貴重な文化財の数々を見学し、学びを深めた。それらの学習・活動の成果をまとめ、昨年に引き続き、岩手県の盛岡中央高等学校とオンラインで交流をする予定である。

≪移民探究≫

10月に県内で第2回和歌山県人会世界大会が開催され、それにともなうシンポジウムに生徒が発表者として参加した。「交流を次世代につなぐ」というテーマで発表し、それに先立って夏休みに実施したメキシコ・ペルー・アルゼンチン・ブラジルの和歌山県人会とのオンライン交流で気づいたことや、今後の交流の展望を発表した。

≪国際交流≫

中国四川省の北京第二外国語学院成都附属高校とのオンライン交流会を実施した。相互に学校・文化・地元の世界遺産を紹介した。草の根の国際交流が、他国に対する先入観・固定観念を打破することにつながり、平和の礎になることを期待している。また、大阪観光大学との高大連携事業として、インドネシア・モンゴル・韓国出身の留学生との交流会を開催した。多言語を使いこなせる留学生との交流に本校生徒は大きな刺激を受け、外国語を学ぶことへの意欲をさらに高めるとともに、他国への興味・関心を喚起する機会となった。

≪探究型研修旅行≫

8月に3泊4日の日程で福島県へのスタディツアーを実施した。生徒が個々に探究テーマ(防災・復興・農業・まちづくり・医療など)を設定し、現地でインタビュー調査、講話、施設見学などのフィールドワークを行った。ツアーを通じて災害の脅威を目の当たりにし、復興に取り組む方々の思いを知り、自分たちの在り方・生き方を考える貴重な経験になった。

 

以上のように、本校では総合的な探究の時間における探究活動と、生徒有志による課外活動を中核にしながら、持続可能な社会の担い手の育成やSDGsの達成を目標とするESDに取り組んでいる。

来年度の活動計画

基本的には2023年度の取り組みを継承しつつ、生徒の主体性を重視しながら、以下の活動を行う予定である。

① 総合的な探究の時間において、1年次は持続可能な地域づくりの視座に立った地域探究、2年次は生徒の興味・関心に主軸をおいた探究、3年次は地域社会や国際社会への貢献という視点からキャリア探究を行う。また、外部機関と連携した講演会を企画し、生徒の視野を広げたい。

② 世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」を教材とする世界遺産学習を行い、ユネスコの理念や文化遺産を尊重することの大切さを学ぶ。また、人類の宝としての世界遺産を後世に継承するため、世界遺産保全活動を行うとともに、世界遺産を活用した持続可能な地域づくりについて探究する。また、2022年度にユネスコスクール事務局のサポートにより実現した盛岡中央高等学校との交流会を継続したい。相互に学び合いながら、世界遺産の保全と活用、地域活性化について探究したい。

③ 国際理解教育を重視し、異文化を尊重する態度を養い、人類の平和と友好、パートナーシップの大切さを学び、心の中に平和の砦を築くための取り組みを推進する。対面だけでなくオンラインツールも活用した国際交流の機会を数多く設けたい。そのためにも、中国四川省の学校との交流、中南米和歌山県人会との交流、大阪観光大学の留学生との交流を継続したいと考えている。また、コロナ禍で途絶えていた姉妹校ミラロマ高校(アメリカ)との短期交換留学の再開も予定している。

④ 民間企業・大学と連携し、OECD国際共創プロジェクトの活動に取り組む。ウェルビーイングな社会や学校づくりのために自分たちは何ができるのか、組織・年齢・国籍の垣根を越えた集団のなかで対話を重ね、アイデアを創出し、プロジェクトの実行につなげたい。

 

過去の活動報告