• さいたましりつしびらきしょうがっこう
  • さいたま市立新開小学校

  • Saitama Municipal Shibiraki Elementary School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野環境, 人権, 福祉

所在地 〒338-0834 埼玉県さいたま市桜区新開2-18-1
電話番号 048-864-6741
ホームページ http://shibiraki-e.saitama-city.ed.jp/
加盟年 2012

2023年度活動報告

活動分野

環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 人権, 福祉

1 はじめに
本校は学区の近くに国の特別天然記念物「田島ケ原サクラソウ自生地」があり、また、さいたま市指定無形民俗文化財「田島の獅子舞」が受け継がれている田島氷川社も学区の近くにあり、地域環境に恵まれた学校である。地域に昔からある樹木を植えて自然豊かな校庭を作り、環境教育に熱心に取り組んできた。平成9年度には、田島ケ原サクラソウ自生地に由来のあるサクラソウを守り育てている方から株を分けていただき、サクラソウ栽培を開始した。平成17年度には「全国野生生物保護実績発表大会『文部科学大臣奨励賞』」受賞。平成24年には、長年の教育実践が評価され、ユネスコスクールに承認された。
現在は、ユネスコ憲章の理念に基づき、人権・福祉、環境保全などの教育をバランスよく取り入れ、地域とのつながりを大切にした教育活動を実践している。今年度は昨年度の取組を継続し、特色ある教育活動を無理なく持続可能なものにするために、教育課程に位置づけ、コミュニティ・スクールとして、地域を生かした教育、「小さな親切」運動などに取り組んだ。人権教育、福祉教育、環境教育などを通して、人や自然を大切にしようとする心を育み、よい行いに進んで取り組める児童の育成を目指している。

2 具体的な活動内容
(1)人権教育「家族のきずな」~拉致問題を考える~【16平和と公正をすべての人に】
6年道徳で、横田めぐみさんと幼馴染の本校校長が、北朝鮮による拉致問題の授業を行った。児童は、ご両親が特に辛かったこと、どうして46年間もあきらめないで続けられるのかなど、ご両親の気持ちについて話し合った。話合いを通して「大切な子どもだから」「もう一度、会いたいから」と家族のきずなに迫ることができた。
<授業後の児童の感想から>
・この話を聞いて、かわいそうではすまない話だと思いました。心の底からかわいそうと思いました。ちゃんとめぐみさんを返してほしいと思いました。(6年児童)
・横田めぐみさんのように拉致された人がいっぱいいて、今も拉致されている人がいるかもしれないので、拉致問題をなるべく早く解決したいと思いました。(6年児童)
人権週間の校長講話では、全校児童にも拉致問題についてわかりやすく説明し、私たちにできることは、関心をもち意見を発信していくこと、ブルーリボンバッジを着用すること等があることを伝え、産経新聞社の「めぐみさんへの手紙」への応募を呼びかけた。
<めぐみさんへの手紙から>
・6年生の学習で、めぐみさんのことを知りました。そして拉致問題のことを知って、最初は怖いなと思いました。(中略)お父さん、お母さんの愛ってすごいと思いました。(中略)めぐみさんは、北朝鮮という所に連れていかれ、すごく悲しいです。(中略)めぐみさんも、すごく悲しんでいると思います。(中略)僕は、毎日家族と一緒にいることが幸せです。離れることは、すごく悲しいことです。なんとしてでも、すぐそばに行って、日本に戻って来られるように力になれたらいいなと思いました。めぐみさんのお母さん、体に気を付けて、めぐみさんに早く会えることを願っています。(6年児童)
(2)環境教育「サクラソウを守り育てよう」【15陸の豊かさも守ろう】
4年総合で、田島ケ原サクラソウ自生地を見学したり、サクラソウ栽培に取り組んだり、専門家の方からサクラソウや自生地について教えていただいたりした。
<児童の感想から>
・サクラソウはとても繊細なお花ということを聞きました。サクラソウをもっと増やしていくために、サクラソウについてもっと調べたり、大切に育てたりしたいです。(4年児童)
・サクラソウは国の特別天然記念物に登録されるような大切な花ということが分かりました。大事なサクラソウを守っていくために、サクラソウについてたくさんの人に知ってもらいたいです。(4年児童)
(3)福祉教育「誰もが暮らしやすい生活について考えよう」~自分にできること~【3すべての人に健康と福祉を】
5年総合で、盲導犬と生活をされている方からお話をうかがった。子どもたちは、困っている人がいたら「どうしましたか?」「何かお手伝いできることはありますか?」など、声をかけることが大切であることに気付くことができた。
<児童の感想から>
・目が見えない人以外でも困っていたら助けようと思いました。目が見えない人が杖を使っていたら、前から声をかけて、目的地までたどり着いたら、しっかり「着きましたよ。」と言って、これでいいか確認するようにしたいです。(5年児童)
・これからは目の不自由な人に声をかけたり、一緒に歩いたりしたいです。できたら道を案内して、最後まで優しく見守りたいです。(5年児童)
また、2回目の講話では、幸せになるためのたくさんの言葉を教えていただいた。
<児童のお礼の手紙から>
・井出さんの友人が「目が見えないだけでなんだよ」「自分が変わるわけじゃないだろ」と怒っていたという言葉が心に残りました。これから僕は、言葉でいろいろな人を幸せにしていきたいです。(5年児童)
・前までは、力が強い人が「強者」というと思っていましたが、心が強いのが「強者」ということを学べました。特に心に残ったことは、言葉にはすごい力があるということです。言葉の表情や、言葉の救い、言葉で傷つけることもできることに気付きました。私は、これから自分で「ありがとう」や「大丈夫だよ」などと、やさしい言葉をたくさん言おうと思いました。(5年児童)
・心に残ったことは「ATM」です。「A明るく、T楽しく、M前向きに」この言葉は幸せになるための言葉だと思いました。(5年児童)
(4)「小さな親切」運動(公益社団法人「小さな親切」運動本部)への取組「みんなが助け合える地域づくりにすすんでかかわろう」【11住み続けられるまちづくりを】
「小さな親切」運動では、地域の防犯ボランティアやPTAと連携して「あいさつ運動・トモダチ作戦」に取り組んでいる。あいさつをすることを通して、顔見知りになり、皆が声をかけあい、助け合える地域づくりを目指している。3年総合では、地域ボランティアの皆様へのインタビューを通して、地域を支えてくださっている方の思いや願いに触れ、地域での助け合いについて学んだ。
<児童の感想から>
・地域のたくさんの人が、私たちのためにいろいろなことをしてくれていることが分かりました。防犯ボランティアさんなど、地域のいろいろな人ともっと仲を深めたいです。(3年児童)
・ボランティアさんの思いやりがよく分かりました。ボランティアさんは挨拶をしてくれると嬉しいと言っていたので、しっかりと挨拶をしたいです。(3年児童)
(5)伝統芸能「田島の獅子舞を守ろう」【11住み続けられるまちづくりを】
2~5年生が、さいたま市指定無形民俗文化財である「田島の獅子舞」を鑑賞した。400年も前から受け継がれていること、昔から獅子に守られていることなどを知り、地域の伝統芸能に関心をもつことができた。
<児童の感想から>
・田島の獅子舞は、自分が思っていた獅子舞と違って、おもしろくてびっくりしました。江戸時代のものが残っていて、そのわずかな中で、その一つが獅子舞なのだと思いました。田島の獅子舞はみんなのために続けてくれているのだと思いました。(3年児童)
・迫力のある踊りがすごいなと思いました。笛と太鼓の演奏が盛り上げていていいと思いました。伝統を守る人たちがかっこいいと思いました。(5年児童)
(6)異年齢活動「なかよし遊び」【16平和と公正をすべての人に】
異年齢の集団活動を通して、公正・公平で正義が通る集団づくりを目指している。

3 成果・課題
ユネスコスクールとして、地域を生かし、人とのつながりを大切にした教育活動を展開することで、学びが深まり、よい行いに進んで取り組もうとする心と態度を養うことができている。
令和5年度ユネスコスクール定期レビューにおいて、レビューアドバイザーの方より評価をいただいた。主な成果として、以下の3つの点について評価された。
・地域の自然や文化資源を積極的に活用したユネスコスクール全体計画を作成し、実施していること。
・行政や地域の諸グループとのネットワークを効果的に利用したり、ユネスコスクールとしての活動をホームページ等で発信したりしていること。
・人権教育として、北朝鮮による拉致問題についての学習を具体的に取り上げていること。
また、今後の課題として、以下の3つの点についてご助言をいただいたため、改善したい。
・育みたい児童の資質・能力を明確にし、課題解決を重視したカリキュラムを構築すること。
・総合的な学習の時間にとどまらず、教科横断的な視点で、各教科等の学習と関連付けた指導に取り組むこと。
・国際デーについて、児童会を中心とした学校行事と関連付けて取り組むこと。

来年度の活動計画

来年度は、今年度の「人権教育」「環境教育」「福祉教育」を継続するとともに、コミュニティ・スクールとして地域とのつながりも大切にしながら「人にやさしく 自然にやさしく」の心を育んでいく。
さらに、今後の課題として挙げている「課題解決型学習」「教科横断的な視点での指導」「国際デーに関する活動」について、年間指導計画や年間行事計画を見直していく。また、校内研修の充実に努めることで、ユネスコスクールとしての取組が形骸化しないようにするとともに、児童自身が問題意識をもって主体的に学習に取り組めるような指導の工夫について学校全体で考え共有していきたい。

過去の活動報告