2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

人権

本校は「夢にむかって ともに学びあう学校」という学校教育目標に向けて、すすんで勉強する子、自分からあいさつのできる子、仲よくたすけあう子、じょうぶな子の育成を目指している。
本年度は、SDGsの16番目の目標「16 平和と公正をすべての人に」に重点をおき、「人権教育」の充実により児童の人権意識を高めたいと考え、次のように活動をした。
1 「北朝鮮当局による拉致問題」に関する6年生対象の道徳の特別授業の実施
横田めぐみさんと幼馴染である本校校長による特別授業を実施した。横田めぐみさんとご両親にスポットを当て、家族のきずなを主題として、横田めぐみさんのご両親の思いを通して、自分の家族についても考えを深められるような授業を行った。授業では、アニメではなく実際の写真を使って、めぐみさんが幸せに暮らしていたこと、明るく優しいお姉さんだったことなどを子どもたちに伝えられたらと思い、オリジナルの教材を作成した。アニメでは、実在している話であっても、何となく本当の話ではないような感覚もあるのかと考え、リアル感のある授業を目指した。
家族のきずなを主題にした道徳の授業のため、拉致問題についての学習としては一部のみであった。今回の学習指導案やパワーポイント資料については、横田早紀江様、拓也様に見ていただき、めぐみさんのことだけではなく、国から拉致と認められていない特定失踪者の方が大勢いらっしゃることも触れていただいて、めぐみさんだけでなく、拉致された全ての人が一度に全員帰国できることを願っていることもお伝えいただけたら有難いというお話をいただいた。早紀江様はめぐみさんだけでなく、多くの方が拉致されていることにも心を痛めていらっしゃるので、そのことも授業で触れさせていただいた。
横田さんのご両親からのメッセージDVDは
「家の中で家族が一緒に生活するということは当たり前のことなんですけど、本当はすごく幸せなことなんです。家族が仲良く暮らすということを、気をつけていただければ一番幸せだと思います。だまって見守ってくれて、本気で思ってくださるのはお父さん、お母さんだけ。この子のためと思っていらっしゃることをわかって過ごされるといいと思います。」
といった内容であった。メッセージを聞いて、児童からは「家族が一緒なのは当たり前なことではなく、とても幸せなことなのだということがわかった。」といった感想があった。
以下に主な感想を紹介する。
・いつも家族が一緒にいたから、一緒にいることは当たり前だと思っていました。でも、だからこそ家族がいなくなった悲しさがわかりました。これからは、家族と一緒にいる時間を少しでも長くして、家族を大切にして過ごしていきたいと思います。
・本当なら当たり前だけど、その当たり前がなくなるというのは、ものすごくつらく、悲しいことなんだなと思いました。そして、今、家族がいて、一緒に暮らせているのは、とても幸せなことなんだなと思いました。
・「家族と生活する」ということは、本当に幸せなんだと改めて感じました。これからは、家族との時間、一日一日を大切にしたいです。
・家族はとてもあたたかくって、私のことをいつも考えてくれる。こんなことを考えながら家で過ごせたらいいなと思いました。本当の宝物は、今、幸せに暮らせることなんだと感じました。
・身の周りの人が拉致されていないので真剣に考えてみる機会がなかったのですが、今、改めて本当に幸せなこととはどういうことか、そして拉致をくり返さないために自分たちができることを知ったので、今後、生きていく上で大事にしたいと思います。
・今回授業を受けて、少しでも時間をずらしていたらめぐみさんは助かったのではないかとか、一つのことで、簡単に幸せがうばわれてしまうんだとか、色々なことに気づきました。また、拉致した人に対して、人の幸せをうばって何が楽しいのか分からないし、そんなことをして何になるのか、自分が相手だったらどう思うか考えた上で、自分の行動一つ一つに責任を持ってほしいなと思いました。あと、自分にとっての当たり前はすごく幸せなことなのだと改めて気づきました。
・今、こうやって生きているのも当たり前なことだけど、よく考えたら幸せなことなんだなと思いました。家でこの事件のことを話して自分たちでもできることがないか考えたいです。
2 人権週間における全校朝会と「めぐみさんへの手紙」の取組
12月の人権週間では、全校朝会で、全校児童に北朝鮮拉致問題について分かりやすく話し、ブルーリボン運動や、産経新聞社が主催している「めぐみさんへの手紙」について紹介した。「めぐみさんへの手紙」は任意の取組としたが、37名が取り組んだ。以下に、手紙の一部を紹介する。
・もし自分だったら、つらいな、こわいなと思いました。お母さん、お父さんの気持ちを考えると、とても心配な気持ちになっていると思います。めぐみさんは、まだ帰ってきません。きっとぶじで帰って来ることをいのっています。
・ずっとずっと家ぞくに会いたい気持ちでいると思います。ぼくが、あなたの立場だと、思う気持ちは一つです。それは、
「お母さんから生まれてきた。だからこそ、お母さんは心の中にいるよ。私もお母さんの心にいるよ。」という気持ちです。めぐみさんは一人じゃないですよ。お父さんや、お母さん、ぼくも、みんな、いつもめぐみさんの近くにいます。めぐみさんは遠くにいても絶対一人じゃありません。めぐみさんには、お母さん、お父さん、ぼく、みんながついています。
・つらい中、めぐみさんや、つれていかれたみなさんは、がんばっているのがすごいです。わたしだったら、家族にも会えない、友達とも会えないで、なみだで顔がもうぐちゃぐちゃだと思います。自由がめぐみさんたちにいつかきっとくるのを願っています。いつか、光を手にしましょうね。
・わたしは、めぐみさんがつらい思いをしたことを知って、生まれ変わったら、また優しくしてくれたお母さん、お父さんにめぐり会って、幸せになってほしいと思っています。なので、わたしは、かんたんに命を落とすようなことを絶対にしないし、目の前に助けられることがあるなら、助けたいと思います。
・お母様、めぐみさんとの絆の糸は切れたりしません。めぐみさんもお母さんも、二人とも「会いたいな。」と思っています。二人はどんなにはなれていても、心はいっしょです。きっとめぐみさんは帰ってきます。みんなでおうえんしていますよ。

ブルーリボンバッジはどこに売っているのですか?という質問をする児童もたくさんおり、街頭募金などで500円以上募金するともらえる物であることを伝えた。近隣では毎月第2日曜日の午後2時から4時に、浦和駅西口で署名活動および募金活動をしていることを伝えたが、駅が遠いこともあり、校長室で募金を受け付け、まとめて募金をすることにしている。今後も、活動を続けることで人権意識を高めていきたい。

来年度の活動計画

来年度はコミュニティースクールとなるので、持続可能で住みよい社会づくりに主体的に関わることができる子どもを育てたいと考えている。コミュニティースクールとしてのめざすテーマを「地域に愛着をもち、地元を愛する子に育てる」として、総合的な学習の時間の内容を、地域の方と関わりをもつ指導計画に見直し、日頃よりお世話になっている防犯ボランティアの方々などの地域の人材を生かした学習を展開していく。また、国の特別天然記念物に指定されている田島ヶ原サクラソウ自生地を生かし、「田島ヶ原サクラソウ自生地を守る会」と連携した環境教育も復活させていきたいと考えている。人権教育にも取り組み、北朝鮮当局による拉致問題についての学習についても継続していくことで、人権意識を高めていきたい。