2022年度活動報告
本年度の活動内容
環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 人権, 福祉
1 はじめに
本校は学区の近くに国の特別天然記念物「田島ケ原サクラソウ自生地」があり、また、さいたま市指定無形民俗文化財「田島の獅子舞」が受け継がれている田島氷川社も学区の近くにあり、地域環境に恵まれた学校である。地域に昔からある樹木を植えて自然豊かな校庭を作り、環境教育に熱心に取り組んできた。平成9年度には、田島ケ原サクラソウ自生地に由来のあるサクラソウを守り育てている方から株を分けていただき、サクラソウ栽培を開始した。平成17年度には「全国野生生物保護実績発表大会『文部科学大臣奨励賞』」受賞。平成24年には、長年の教育実践が評価され、ユネスコスクールに承認された。
現在は、ユネスコ憲章の理念に基づき、人権・福祉、環境保全などの教育をバランスよく取り入れ、地域とのつながりを大切にした教育活動を実践している。今年度よりコミュニティ・スクールとなったこともあり、地域を生かした教育、「小さな親切」運動などに取り組みながら、人権教育、福祉教育、環境教育などを通して、人や自然を大切にしようとする心を育み、よい行いに進んで取り組める児童の育成に取り組んでいる。
2 具体的な活動内容
(1)人権教育「家族のきずな」~拉致問題を考える~【16平和と公正をすべての人に】
6年道徳で、横田めぐみさんと幼馴染の本校校長が、北朝鮮による拉致問題の授業を行った。児童は、ご両親が特に辛かったこと、どうして45年間もあきらめないで活動を続けられるのかなど、ご両親の気持ちについて話し合った。話合いを通して「大切な子どもだから」「もう一度、会いたいから」と家族のきずなに迫ることができた。
<授業後の児童の感想から>
・家族がとても大切だと分かりました。これからも家族を大切にして暮らしていきたいし、横田めぐみさんのため、拉致された人のために何かしてあげたいと思いました。(6年児童)
人権週間の校長講話では、全校児童にも拉致問題についてわかりやすく説明し、私たちにできることは、関心をもち意見を発信していくこと、ブルーリボンバッジを着用すること等があることを伝え、産経新聞社の「めぐみさんへの手紙」への応募を呼びかけた。
<めぐみさんへの手紙から>
・父親の滋さんが拉致問題の解決のために、政府や外国に頼みに行くなど、とても努力していたことを、この作文を書くにあたって初めて知り、とても悲しい気持ちになりました。こんな状態の中、私は何をすべきか、何か役立てることはないか考えました。やはり祈ること、めぐみさんのことを忘れずにいることにつきると思います。(6年児童)
(2)環境教育「サクラソウを守り育てよう」【15陸の豊かさも守ろう】
4年総合で、田島ケ原サクラソウ自生地を見学したり、サクラソウ栽培に取り組んだり、専門家の方からサクラソウや自生地について教えていただいたりした。有志の保護者がサクラソウサポーターとなり、サクラソウについて一緒に勉強をしたり、お世話をしたりする仕組みを構築した。
<児童の感想から>
・サクラソウは大昔から大切に受けつがれてきたとても大切な花なんだなということが、改めてわかったので、これからサクラソウを大事に育てたいです。
・大きくなったら話してくださったボランティア活動で案内できるように、もっとしっかり知りたいです。(4年児童)
(3)福祉教育「誰もが暮らしやすい生活について考えよう」~自分にできること~【3すべての人に健康と福祉を】
盲導犬と生活をされている方からお話をうかがった。聞こえる声ではっきりと伝えることや、「段差があります。」など声に出してお伝えすることなど、ちょっとしたことが思いやりや親切になることに気付くことができた。
<児童の感想から>
・「困っている人がいたら声をかける」ということが心に残っています。理由は大切な言葉だと思ったからです。
・家に帰り点字や手話を覚えました。私は家の前を朝、視覚障害者が通るのでとても役に立ちます。(5年児童)
(4)「小さな親切」運動(公益社団法人「小さな親切」運動本部)への取組「みんなが助け合える地域づくりにすすんでかかわろう」【11住み続けられるまちづくりを】
「小さな親切」運動では、地域の防犯ボランティアやPTAと連携して「あいさつ運動・トモダチ作戦」に取り組んでいる。あいさつをすることを通して、顔見知りになり、皆が声をかけあい、助け合える地域づくりを目指している。3年総合では、防犯ボランティアの方々へのインタビューを通して、地域を支えてくださっている方の思いや願いに触れ、地域での助け合いについて学んだ。2年生活科では、町たんけん発表会に防犯ボランティアの方々をご招待し、日頃の感謝を手紙に書いてお渡しした。
(5)伝統芸能「田島の獅子舞を守ろう」【11住み続けられるまちづくりを】
2~5年生が、さいたま市指定無形民俗文化財である「田島の獅子舞」を鑑賞した。400年も前から受け継がれていること、昔から獅子に守られていることなどを知り、地域の伝統芸能に関心をもつことができた。
(6)異年齢活動「なかよし遊び」【16平和と公正をすべての人に】
異年齢の集団活動を通して、公正・公平で正義が通る集団づくりを目指している。
3 成果
ユネスコスクールとして、地域を生かし、人とのつながりを大切にした教育活動を展開することで、学びが深まり、よい行いに進んで取り組もうとする心と態度を養うことができている。総合的な学習の時間の削減、コロナ禍、働き方改革など時代の変化に伴い、ユネスコスクールとしての活動が停滞した時期もあったが、改めて地域とつながりを再開したことで豊かな学習活動を工夫することができた。
来年度の活動計画
特色ある教育活動を、無理なく持続可能なものとするために、教育課程に位置付けるとともに、学校運営協議会や学校地域連携コーディネーターが中心となって地域と連携していく仕組みを構築することが今後の課題である。
来年度は、今年度の「人権教育」「環境教育」「福祉教育」を継続するとともに、コミュニティ・スクールとして地域とのつながりも大切にしながら「人にやさしく 自然にやさしく」の心を育んでいきたい。