• さのにほんだいがくちゅうとうきょういくがっこう
  • 佐野日本大学中等教育学校

  • Sano Nihon Univ. Secondary School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育

所在地 〒327-0192 栃木県佐野市石塚町2555
電話番号 0283-25-3987
ホームページ https://ss.sano-nichidai.jp/
加盟年 2017

2023年度活動報告

活動分野

生物多様性, 海洋, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, 持続可能な生産と消費, 食育, 貧困

<令和5年度の活動報告>

当校は「自主創造」「師弟同行」「文武両道」を建学の精神とし、佐野(栃木県)の地から世界に羽ばたく人材の育成に努めている。その中でも「自主創造」を教育上最も重要な課題と捉え、生徒達が自ら考え・行動することを求めている。ESDの実践においては「国際理解教育」を中心に活動を行っており、数多くの海外派遣・生徒受け入れを実施する「実学型プログラム」を充実させている。

ユネスコスクールの認定からわずか6年が経過したが、今年度初頭まではコロナウイルスの影響があり、本校が中心に据えている海外での研修はコロナ以前の勢いを取り戻すことができていない。海外研修旅行を含めた様々な活動を少しづつ再開し始めるようになり、ほんのわずかではあるが、生徒たちの活躍の機会が広がってきたように思える。様々な制約は残るものの、次年度以降は一人でも多くの生徒たちが、一つでも多くの学びの機会に触れることができるように願うばかりである。活動は未だ不安定であるため、今年度はオンライン交流を含めた校内もしくは国内での活動を中心に展開した。

2022年度の活動報告書では、以下の三点を2023年度の活動目標に据えた:

①国内外のUNESCOスクールとのOnline交流

②「What’s your World Peace?」アートフェスの継続

③異文化交流・異文化理解教育の促進

④その他

 

部分的に反省点が残るものの、その活動の「大枠」は形作ることができた。次年度以降もこれらの活動促進を目指し、生徒たちの学びの機会を提供していきたい。以下が上記を中心にした活動報告である。

①国内外のUNESCOスクールとのOnline交流

年度開始当初は国内外のUNESCOスクールとの交流を計画していたが、勤務校における諸行事が重なってしまい、UNESCOスクール以外の海外行との交流を実施することになった。

 

・中国 北京月壇中学とのOnline交流(令和5年6月6日/12月12日)

北京月壇中学は北京市に位置する公立中学・高等学校である。日本語を外国語科目として設定する中国国内唯一の公立学校であり、日中間での政府交流行事などで活躍する学校である。本校と当該校は10年以上に亘って姉妹校関係を維持しているが、この背景には本校が位置する栃木県佐野市の国際交流協会やロータリークラブからの支援がある。コロナ以前は定期的な生徒派遣交流を行っていたが、現在はOnlineでの文化交流を定期的に実施している。

交流に参加する代表生徒は、自分自身が紹介したい日本文化に関するプレゼンテーションを作成し、発表を行った。ここ最近は両校の生徒に人気であるアニメ・漫画の文化や、日本食に関する発表が多く、月壇生徒も比較的親しみやすい内容である。月壇生徒は流ちょうな日本語で自国文化に関するプレゼンテーションを実施した。本校では通常授業に加え、希望者を対象とした中国語講座を毎年展開しているが、これらの生徒にとっては日々の学習成果を試す絶好の機会となった。

中国との交流を実施する場合、通信方法の選定が難しいと感じた。本校では通常、Online交流実施の際にはZoomやGoogle Meet等を利用するが、中国側ではこれらのアプリケーションへの接続が困難であり、VoovというOnlineミーティングアプリケーションを利用している。時にインターネット回線が不安定になることが多く、今後継続していくにあたり、他の方法を検討しなくてはならない。

 

②「What’s your World Peace?」アートフェスの継続

令和4年度秋口に試験的に実施したアートフェスである。ロシアーウクライナ間での戦闘や、イスラエルでの軍事侵攻、また地震などの災害によって世界中が混乱に陥っている中で、UNESCOスクール憲章である「平和教育」について生徒たちに考えさせる絶好の機会として、生徒たちが考える平和をアート形式で発表してもらう場を設定。

この取り組みの最大のポイントは栃木県内すべてのUNESCOスクール及びキャンディデート校と協働した点にある。(数校の学校とプロジェクトを展開することは過去の例としても存在したが、県全体として実施をした例は稀である)。さらには、令和4年に初めて交流を行った茨城キリスト教中学・高等学校からも作品が提出された。令和5年度も同様に、栃木県内のUNESCOスクールと協働し、プログラムを展開している(本年次報告書提出時は作品回収中のため、公開できない。以下は昨年度提出の作品)。

「人の心の中に平和のとりでを築く」ためには様々な方法があるが、単なる座学ではなく、生徒個人が自分の意見を持ち、平和について考え、それを形として表現することに一定の意義があると考えている。令和4年度は36作品が提出されたが、そのすべてに生徒なりの思いが込められており、今後も継続していきたい。なお、令和5年度は栃木県誕生150年にあたり、県主催による「若者未来デザインフォーラム」にて展示発表することになっている(令和6年2月24日予定)

 

③異文化交流・異文化理解教育の促進

コロナウイルスが令和5年5月に五類に移行して以降、本校においても生徒の海外派遣・受入を中心としたプログラムが再開し始めた。これにより、環境、文化多様性、国際理解、平和、持続可能な生産と消費、などのUNESCOスクールとしての重要テーマが実学として生徒が携わる機会が増え、活気に満ち溢れてきた。

 

・マレーシア姉妹校生徒受入(令和5年9月1日~9月7日)

マレーシアのクアラルンプールにあるSri UCSI Secondary Schoolは本校の姉妹校として2017年から交流を続けている。生徒の受入は本校生徒宅でのホームステイ及び学校の授業参加を中心としているが、そのほかに「Share the Wonder」プログラムにも参加をしている。これは地元地域の公立小中学校との異文化交流会を実施することで、一人でも多くの日本人生徒に日本とは異なる文化背景を持つ生徒と交流を持ってもらうことで、文化多様性を学ぶ機会にしてもらうプログラムである。コロナウイルスを経て4年ぶりの実施となった。

・オーストラリアFieldwork(令和5年9月11日~9月16日)

オーストラリアのクイーンズランド州にある本校の姉妹校St. Stephen’s Catholic Collegeの訪問及び周辺地域での自然保護活動を学ぶFieldworkである。上記のマレーシア生徒受入同様、コロナウイルス蔓延以降4年ぶりの実施となった。世界遺産に指定されている熱帯雨林地域やグレートバリアリーフに関する環境保護活動を、地元のNPO団体から学び、その継続可能性について知る良い機会となった。

・駐日ブルガリア全権大使による講演会(令和5年11月22日)

駐日ブルガリア全権大使であるマリエタ・クツァロバ氏を本校にお迎えし、文化講演会を実施した。本校生徒がブルガリアという国について学ぶのは初めてのことであるが、大使自らのプレゼンテーションはともて分かり易く、多くの生徒達がブルガリアに興味を抱く良い経験となった。

・ハンガリー姉妹校訪問(令和5年12月11日~12月17日)

2021年に実施された東京オリンピックにおいて、栃木県がハンガリーチームのキャンプ地となったことがきっかけとなり、栃木県の働き掛けにより、交流が開始。2019年に姉妹校としての提携を行った。両校生徒の派遣・受入を基本としているが、コロナウイルス蔓延後は相互の交流が叶わず、オンライン等の交流にとどまった。令和5年度になり、規制が解除されたことをうけ、両校の生徒交流が再開することになった。

交流は現地生徒宅でのホームステイ体験及び現地校での授業体験が中心であるが、近隣都市であるウィーンを訪問したり、JETRO(日本貿易振興機構)を訪問し、研修を受けるなど、単なる姉妹校交流にとどまらない。とりわけJETROではSDGs活動が盛んであるヨーロッパ諸国での事例について研修を受けるなど、UNESCOスクール活動の枝葉を伸ばす活動となった。

④その他の特徴的な活動

・UNESCOスクール活動団体「GLOBE」の運営

本校では2017年のUNESCOスクール参加以前より、海外派遣に限らず、校内での異文化理解学習等を含めた様々なグローバル教育活動を実践してきたが、その活動の教育効果をより高めるため、また生徒主体で運営するため、生徒による活動団体である「GLOBE」を立ち上げた。6年制の学校である本校では、中等3年生~5年生を「コア学年」とし、学校内外での様々な活動に率先して参加するように促しているが、2021年の立ち上げ以降、在籍する生徒達と協働し、全校生徒に働きかける機会を設けてきた。ただし、在籍生徒達の進級に伴い、新たなメンバーを獲得するためのプロモーションを行い、長期的に継続可能な仕掛けづくりが必要である。

・服のチカラプロジェクト

UNESCOスクールに所属する他の学校の多くも取り組んでいる「服のチカラプロジェクト」であるが、本校においては6年連続で実施しており、毎年度当初にSDGsに関する基本概念を理解すべく、中等1年~3年を対象に特別講義を実施している。本来は、生徒自身の出身学校や、居住地等でのプロモーション活動を実施するところであるが、コロナ感染を鑑み、学校在籍生徒保護者の身を対象として実施した。また、このプロモーションの一環として「ポスターコンテスト」を実施している。これを通じ、一人ひとりの生徒が、現在地球上で起こっている問題点に対しての当事者意識を持つことができるように工夫をしている。

来年度の活動計画

①国内外のUNESCOスクールとのOnline交流

今となっては「Onlineなくしてはありえない」という状況である。物理的な「Face to Face」が持つ力はそのままに、それが叶わない今だからこそ、新たな手法で「発展的な学び」を展開していきたい。UNESCOスクールに所属生徒達であるからこそ、その特徴を最大限に活かし、世界中のUNESCOスクールとの交流を行う。 今年度初めて実施した茨城キリスト教高校様との生徒間交流を今年度も継続し、その際に、SDGsに関する特定トピックでのディスカッションや取り組みの発表なども実施したい。

 

②「What’s your World Peace?」アートフェスの継続

今年度は栃木県内のUNESCOスクールと協働する形で実施をしたが、そのプロモーションや運営については課題が残る。特に、各学校及び生徒達のモチベーションには大きな乖離が見られ、それ以前にどのレベルで平和教育やホールスクールアプローチが取られているのか等によっても、その在り方が変化していく。一定レベルでのコンセンサスをはかり、そのうえで本プログラムを実施することのほうが、よい高い教育効果が生まれることになると考える。

 

③異文化交流・異文化理解教育の促進

本校が元来促進してきた、生徒の海外派遣・受入活動が徐々に再開されていくことに期待するうえで、グローバル教育を通じて、異文化に触れ、理解する機会を設定していきたい。地球市民の育成が強く求められている昨今であるからこそ再度その重要性を認識するべきテーマである。

 

④ESDに関する教職員の理解促進

UNESCOスクールはESDの拠点校であることを踏まえ、その内容と学校で実施する教育活動に齟齬があってはならない。そのため、各教科を担当する教諭はもちろん、学校全体のスタッフが同じベクトルで歩まなければならないが、その教職員の意識統一を徹底するための職員研修やトレーニングを複数回実施していきたい。

過去の活動報告