2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 国際理解, 平和, 人権, 持続可能な生産と消費, 貧困

来年度の活動計画

2020年度は新型コロナウイルスの影響により、予定していた活動の多くが延期・中止となり、校外での活動は例年に比べて内容の乏しいものとならざるを得なかったが、その一方でこれまで実施することができなかった内容に注力することとなった。

 

①SDGsに関する基本概念の理解徹底・共有(教科シラバスへの落とし込み)

本校は中等教育学校であり、生徒たちは前期中等教育(=前期課程)と後期中等教育(後期課程)の二種が混在しているが、主に前期課程の生徒を中心とし、SDGsの学内活動の意義、さらには世界的な広がりを見せるSDGs活動の実施意義について複数回の講演会を実施した。とりわけ前期課程生徒は後期課程に比べてその重要性を理解することに工夫が必要であるため(知識量の差)、繰り返し刷り込む必要性があった。学生たちは各講演会後に各自が考えるSDGsアクションを箇条書きした「アクションシート」を作成し、また「SDGsポスターコンテスト」を前期課程全体として実施する。

さらに特筆すべき点として、教員間でのSDGsに対する理解の共有を図ることができた。従来は直接的にSDGs活動に関わらない教員においては「なんとなく理解」でとどまっていたものを、全教職員共通の項目である「授業」にどのように落とし込むかを教科ごとに検討してもらい、現在使用している教科書内での学習内容とSDGsの17の目標の合致点を授業の事前準備として把握してもらい、全教科がSDGsに取り組むスタートラインを作り上げることができた。このため、学校全体として毎日の授業内でSDGsに触れる頻度が格段に増加し、「何となく」が「当たり前」へと変化しつつある風土を醸成できた。

 

②「服のチカラ」プロジェクト

同プロジェクトはUNIQLOやGUを展開する(株)ファーストリテイリング様の主催している子供用衣類回収事業であるが、本校は昨年度に引き続き2020年度も参加することができた。2019年度は在籍生徒たちが出身小学校や居住している地域と連携し、不要となった衣類を回収する作業に当たっていたが、今年度のコロナ関連の自粛により、生徒たちの校外活動は実施していない。その代わり、生徒保護者の協力をいただき、学校へ届けてもらうことで、本来あるべき「回収」を実施した。その過程で、生徒たちは各自の分担業務をアピールするべく、「ポスターコンテスト」を開催し、全校生徒たちの取り組みがお互いに知るところとなり、学校全体としての相乗効果が得られた。また、回収した衣類だけに主眼を置くのではなく、どのような目的で実施しているプロジェクトであるのかを深く理解させるため、上記1.で述べた講演会とタイアップし、世界中の難民キャンプ・難民支援の現実について学ぶ機会を設定することができた。

 

③海外姉妹校とのオンライン交流

本校の特徴の一つともいえる多様な海外交流活動であるが、当然ながら今年度は派遣・受入ともにすべて中止となった。9つの国での10のプログラムは毎年多くの生徒にとっての活躍の場であり、その後の進路決定においても重要な位置を占めてきただけに、とても心苦しい。そこで、海外姉妹校の何校かと協力し合い、オンライン技術を駆使した交流を複数回実施した。特にニュージーランド現地校との交流においては、地元テレビ局の協力もあり、本校での活動がより多くの人たちの目に触れることとなった。

さらに、姉妹校間でのオフライン交流の促進も大きなポイントの一つであるが、それぞれ異なる文化圏にある学校・生徒たちの生活を共有するべく、「3分ビデオ」の作成及び共有フォルダ上でのアップロードを進行中である。各校の生徒たちが自分自身の生活・趣味・学校等のトピックにおいて3分程度の紹介動画を作成しGoogleの共有フォルダでお互いの文化圏を紹介するプロジェクトは、あたかも「ホームステイをしているような感覚」を目指し、肩肘張らずに、気楽に且つ言語面での努力も加味したものとなっている。今後コロナウイルスが終息せず、海外往来が困難な場合、この需要はますます増大すると考える。

 

④平和学習

中等3年~4年次に扱う英語の教材を扱い方を拡大し、「平和」に関するグループ学習を実施した。各グループに与えられた任意のテーマとSDGsの17の大項目および169の小項目との合致点を見つけ出し、今後平和を維持していく上での問題点・重要性を考える機会となった。

本校におけるユネスコスクール活動の根本は国際理解・異文化理解にあると認識しているが、2020年度はそのすべてが中止・延期せざるをえなかった。これは2021年度以降も同様であると予想されるため、それらで得た経験値である「byproduct」を別の方向へとシフトしていくことが必要になる。つまり従来の「海外渡航ありき」の発想ではなく、学校内にいながら、そして生徒たちの普段の生活からSDGsを思考するものでなくてはならない。派遣・受入ができない状況を鑑み、国内外を問わずにSDGsの取り組みを「発信する」スタイルへと切り替えていくことが必要になる。

さらに、地域共生も重要な要素となる。本校がある地域は首都圏と比べて多文化・異文化環境が多いとはいえず、どちらかと言えば土着的な思考・文化が強く根付く。それを逆手に取り、地元企業や独特の文化を学ぶ機会を提供していきたい。現段階では地域の山野林の間伐・住宅用木材の加工を行っているSDGs推進企業への見学が決まっており、そこから自然環境保護を学ぶ機会としていきたい。