- せいんとうるすらがくいんえいちしょうちゅうがっこう
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聖ウルスラ学院英智小・中学校
- St. Ursula Eichi Elementary & Junior High School
- 種別義務教育学校または小中/小中高一貫校等 地区北海道・東北地区
- 主な活動分野文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 持続可能な生産と消費, 健康, その他の関連分野
所在地 | 〒984-0828 宮城県仙台市若林区一本杉町1-2 |
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電話番号 | 022-286-6461 |
ホームページ | https://www.st-ursula.ac.jp/ |
加盟年 | 2012 |
2024年度活動報告
減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 食育
1.はじめに
例年通り、学年ごとにスケジュールを立てて実践を行っている。
学校全体としても、昨年度に引き続き「探究力を育む~ESDを通して~」を研究主題に設定しての3年目として、教員一丸となって研究を深めている。また、本校では、ESDは学校教育目標を実現する活動として理解しており、教科のみならず、様々な行事等においても実践を積み重ねている。
本校の教育目的及び目標は、以下の通りである。
【教育目的】キリスト教的人間観に基づく人格形成の教育
【教育目標】
1.世界と自己のうちに働く神を知り、感謝と愛のうちに生きる人
2.内なる良心に従い、自己の言動に責任を持つ自由な人
3.自己に与えられた課題に常に挑戦し、自他を発展させるために努力する人
4.自他の尊厳を認め、へりくだる心を持って福音的な社会の建設に向け自己の使命を果たそうとする人
これらは、学年に応じたかたちで、目指すべき児童・生徒像が子どもたちに提示されている。
1~7年生:「愛を実行する子ども」「力強い子ども」「進んで学習する子ども」「世界の兄弟と手をつなぐ子ども」
8~9年生:「愛」「自由」「挑戦」「志」
2.活動の具体的な重点項目
ESDを通して児童生徒の「探究力」を育むために、必要なスキルや有効な機器の活用方法を追求する。
なお、本校では「探究力」次のように定義する。
・自ら課題を見つける力
・必要な情報を選択する力
・知識や技能を活用する力
・他者と協働しながら課題を解決していく力
【各学年のキーワード(大まかなテーマ)】
1・2年 「I&You~手をつなごう~」
3・4年 「生活と環境~地球、命について考えよう~」
5・6・7年 「わたしと社会~周囲のために行動しよう~」
8・9年 「将来と多様性~自己と他者を認めよう~」
3.実際の活動について
実際の活動においては、ユネスコスクールが取り組むべき3分野、①地球市民および平和と非暴力の文化、②持続可能な開発および持続可能なライフスタイル、③異文化学習および文化の多様性と文化遺産の尊重に、様々なかたちで迫るかたちとなった。いくつかの実践を紹介する。
【4年生の実践】
活動名:発表前のアドバイス
活動時期:各探究的な学習における発表活動直前
学校目標との関わり:進んで学習する子ども
活動の概要:各教科(主として理科、社会)で学んだことをもとに各自で課題設定し、探究的に学ぶ単元を、本校独自の教科「仲間・共生」で教科横断的に設定した。その際、発表活動の前に小集団で発表内容についてのアドバイスをしあう活動を実践した。
成果:1年生から学んでいる「言語技術科」によることばの力の積み上げが大きい。
具体的には、課題設定におけるクリティカルな視点や、改善活動における建設的な質問、提案が数多く見られる。
また、随時探究的な学習を積み重ねることで、子どもたちの探究力にの高まりも感じられた。
課題:調べる際の手段がインターネット、書籍中心であるため、より体験的な要素を取り入れた単元構成をしていきたい。
発表の改善をしあう様子では、互いに他者のためになろうと、相手の話によく耳を傾ける姿が見られた。
設定された課題と、発表に用いた資料などを分析すると、ことばの力の重要性が再認識させられる。
【6年生の実践】
活動名:志の実現に向けて~働くことについて考えよう~
活動時期:6月~3月
学校目標との関わり:進んで学習する子ども、力強い子ども
活動の概要:株式会社パーソルが提供する出前講座を入り口に、子どもたちが様々な職業があることや働くことの意義や大切さ、生き方について学びを深める機会として単元構成した。また同時に、様々な行事、活動を行う都度、自分の得意なことや好きなことにも積極的に目を向ける機会を多く持った。自身を取り巻く環境や、自分自身のことを多角的な視点でとらえられるような手立てを設定した。
成果:子どもたちが、自分をメタ認知し、将来を自分事として考えるような言動が多く見られるようになった。
特に、職業観には、当初「お金を稼ぐため」のような自分中心の考えから、「自分の得意を生かして社会に貢献するもの」のような、他者に目の向いた考えが多く見られるようになった。
課題:実際に他者のために活動する場を設定するなど、もっと実感の伴った実践が求められている。
職業について学んできたことを元に、将来AIがどの程度「人間の仕事」を担うようになるのか、考え、話し合った。
1年生から積み上げてきた英語の力を発揮する合宿Global Campでは、互いに自国文化を紹介しあうなど、自分たちが多様な社会を生きていることを実感した。
【8年生の実践】
活動名:災害と防災
活動時期:9月~11月
学校目標との関わり:愛、自由、挑戦
活動の概要:南三陸宿泊研修旅行での活動を通し、災害と防災について理解し、日常生活に役立てるとともに、被災地の復興への取組を視察した。また、被災地で働く人々との関りから、働く意義を学ぶ機会として実践を行った。
成果:東日本大震災の記憶がほとんどない世代の子供達が、実際に被災地を訪問したり、民泊体験をすることで、自分ごととして災害について考えたり、被災地で暮らす人々の経験や思いを知ることができた。また、そこで働く人々がどのような使命感を持って被災地で仕事をしているのかを知ることで、働く意義について考えることができた。
課題:題材としては8年生単体で継続して行われているため、今後はこれを7年生や9年生とのつながりを見出し、より持続可能なカリキュラム構成にしていきたい。
東日本大震災の被災地で祈りを捧げた。
これらの実践については、11月に行った「英智公開研究会」において、授業公開、実践発表を行い、来場者との意見交換により教員の研修も深めている。
来年度の活動計画
3年間続けて「探求力を育む」実践を行ってきたことを生かし、今後は、より児童・生徒による探究的な学習を持続的に展開できる学校の体制を整えたい。
現状、本校の課題として、ESDの年間計画が各学年単位での計画に終始しており、次年度へ継続して実践できている例が少ないという点がある。これを解消するため、計画策定のやり方や時期を現状模索中である。
各学年には、毎年の担当者により連綿と受け継がれている実践が蓄積されている。それらをより結び付け、子どもたちがよりその力を伸ばせるよう、小中一貫校ならではの実践を積み上げていきたい。