2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 食育

1.はじめに

昨年度に引き続き、「ESDで学校教育目標の実現を図る」を学校全体の研究テーマと定め、学年ごとにスケジュールを立て、実践を行っている。昨年度まで、「ESDで学校教育目標の実現を図る」をテーマに実践を行ってきており、そこに新たな視点として「探究力」という要素を加え、更に学びを深めるかたちとなる。

なお、本校の教育目的及び目標は、以下の通りである。

【教育目的】キリスト教的人間観に基づく人格形成の教育
【教育目標】
1.世界と自己のうちに働く神を知り、感謝と愛のうちに生きる人
2.内なる良心に従い、自己の言動に責任を持つ自由な人
3.自己に与えられた課題に常に挑戦し、自他を発展させるために努力する人
4.自他の尊厳を認め、へりくだる心を持って福音的な社会の建設に向け自己の使命を果たそうとする人
これらは、学年に応じたかたちで、目指すべき児童・生徒像が子どもたちに提示されている。
1~7年生:「愛を実行する子ども」「力強い子ども」「進んで学習する子ども」「世界の兄弟と手をつなぐ子ども」
8~9年生:「愛」「自由」「挑戦」「志」

2.活動の具体的な重点項目
ESDを通して児童生徒の「探究力」を育むために、必要なスキルや有効な機器の活用方法を追求する。
なお、本校では「探究力」次のように定義する。
・自ら課題を見つける力
・必要な情報を選択する力
・知識や技能を活用する力
・他者と協働しながら課題を解決していく力

【各学年のキーワード(大まかなテーマ)】
1・2年 「I&You~手をつなごう~」
3・4年 「生活と環境~地球、命について考えよう~」
5・6・7年 「わたしと社会~周囲のために行動しよう~」
8・9年 「将来と多様性~自己と他者を認めよう~」

3.実際の活動について
実際の活動においては、ユネスコスクールが取り組むべき3分野、①地球市民および平和と非暴力の文化、②持続可能な開発および持続可能なライフスタイル、③異文化学習および文化の多様性と文化遺産の尊重に、様々なかたちで迫るかたちとなった。いくつかの実践を紹介する。

【3年生の実践】
活動名:自然災害と命を守る活動について学び,できることを考え,実行しよう
活動時期:10月~11月
学校目標との関わり:力強い子ども
過去に発生した災害における二次災害など実際に困ったことを調べ,防災における様々な問題を自分事として解決しようと課題に取り組んでいる。
活動の概要:
4年社会の「自然災害からくらしを守る」の単元を通じて,自然災害から自分たちのくらしと命を守るための取り組みについて理解し,一人ひとりの防災意識を高め,行動の仕方について学んだ。理科では「防災と理科」という単元を設け,いつかくる大災害への備えを自分事として捉え,既習事項を活かしながら防災グッズを作製した。
振り返り:
[成果]
授業者には,今後増えていく東日本大震災を体験していない学年に対し,どのように防災意識を高めていくかという課題と,いつかやってくる大きな災害への備えについて,自分事として真剣に取り組んで欲しいという願いがあった。授業後「自宅でもオリジナルのペットボトルランタンを作りたい」「防災に関わる知識を覚えて,それを活かして自分や他の人の命を守りたい」などという感想が見られ,「実際の災害のときだったら,〇〇だよ」という旨の災害を想定したような授業中の発言からも,授業者の願いがある程度達成されたと評価する。また,「実験を考えることが楽しかった」「たくさんの材料から選んで装置を作製するのが楽しかった」「今回は失敗したから次はもっと工夫したい」「発表をするのも他の班の発表を聞くのも楽しかった」という旨の感想も見られ,防災意識の高まりを見とることができた。
[課題]
今後も児童の中で社会,理科,ESDなどの教科の学びや書籍などで得た知識が対話(自他,自己含む)の中で有機的に結びつくよう,言語的活動を取り入れた授業を実践していきたい。また,防災教育の充実化も今後の課題である。

【5年生の実践】
活動名:SDGsを手がかりに世界の問題を知ろう
活動時期:4月、12月
学校目標との関わり:愛を実行する子ども:世界の兄弟と手をつなぐ子ども
活動の概要:国境なき医師団の活動を,自分たちの範囲で支援するためにアイディアを出し合い,活動する。
振り返り:
[成果]
待降節の期間に,自分たちはだれのために活動するかを考えることから始めた。話し合う中で,特定の人ではなく多くの人を助けたいという意見にまとまり,国境なき医師団の活動を支援することに決まった。国境なき医師団をどのように支援できるか話し合い,国境なき医師団をより多くの人に広める活動や募金活動をすることとなった。それぞれの児童の得意なことややってみたいことを分類し,グループを作って活動した。活動の例として,国境なき医師団の活動を広めるためのポスターを作成して校内に掲示したり,放送で呼び掛けたりできた。
[課題]
複数のグループがあったため,最終的な評価がしにくかったことが課題としてあげられる。もともと待降節の活動は,自分ができる範囲で人のためにできることをすることであるため,達成すべき目標を決めるのは難しい。しかし,自己内省のためにも評価しやすい目標を決めることは大切であると感じた。複数のグループで活動する場合にも,それぞれのグループが目標を設定してから活動し始めることが大切だと考える。

来年度の活動計画

次年度も、「探究力を育む~ESDを通して~」をテーマに、校内研究を深めつつ、子どもたちとともに実践を進める予定である。