• せいしんじょしがくいん しょとうか・ちゅうとうか・こうとうか
  • 聖心女子学院 初等科・中等科・高等科

  • Sacred Heart School, Tokyo
  • 種別 地区
  • 主な活動分野生物多様性, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED), その他の関連分野

所在地 〒108-0071 東京都港区白金4−11−1
電話番号 03-3444-7671
ホームページ https://www.tky-sacred-heart.ed.jp/
加盟年 2012

2023年度活動報告

活動分野

生物多様性, 気候変動, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

本校は、「世界の一員としての連帯感と使命感を持って、より良い社会を築くことに貢献する賢明な女性の育成をめざします」という教育理念のもと、ESD、SDGsを日々の生活の中で実践していく力の育成を目指しています。

初等科
上記の理念のもと、初等科では国際理解、環境、人権を柱に、1ハイチ・デー(募金活動)の活動、2.海外の姉妹校等との交流活動、3.環境に関わる学習、4.④特別支援学校との交流 5.フィリピンの貧困に苦しむ方々への支援活動、6.グローバルな活躍をする卒業生の講演 7.SDGsへの取り組み 等を行った。

1.ハイチ・デー(募金活動)の活動[国際理解、平和・人権、環境、気候変動]
昼食のお弁当をおにぎりなど簡素なものとし、おかず分、 日頃のおこづかいの節約などで貯めたお金を募金する。1984年ハイチより来日された日本人シスターより、貧困に苦しむハイチの現状を知った児童達により始められた。児童会の活動として年3回全校参加で行う。
寄付金はハイチやフィリピン他、支援を必要としているアジア、アフリカの地域で働く聖心会シスターのもとに送る。困難な状況をおにぎり弁当を通して共有し、送り先の状況についても学ぶ。・・・7月3日、12月4日、3月4日に実施。
ハイチデ―の他、1月に起きた能登半島地震のための募金活動も行い、被災地の方に心を寄せる活動とする。

2.海外の姉妹校等との交流 [ 国際理解 ]
聖心姉妹校の世界に広がるネットワークを活かして、姉妹校間での継続的な交流活動を行い、世界に向けて視野を広げ、お互いの文化・生活の違いや多様性に気づき、 世界の一員として生きる意識を深める。
姉妹校の中にインターナショナルスクールがあるため、児童間の交流を通して互いの文化を知る機会がある。今年度は、今後1年生と4年生が交流をする予定である。1年生はゲームなどの活動を通して、4年生は歌を介して交流を深める。
5、6年生は日本語を学ぶオーストラリアの児童とオンラインで交流する機会をもった。互いの母語を使って質問をし、答えるような活動を通して異文化を知る貴重な時間となった。今後も毎年行う予定である。また、同じキャンパスにある高等科へ留学している生徒(メキシコ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・アイルランド・台湾等)を授業に招き、英語による自己紹介、日本の生活の紹介など異文化だけでなく自国の文化についての理解も深めた。

3.環境に関わる学習 [ 環境・生物多様性 ]
例年同様に5、6年生は清里高原、4年生は富士山麓で宿泊校外学習を行い、それぞれ現地での環境教育プログラムへ参加。清里の森での散策、富士山麓では寒沢の源流を尋ねるなど、自然を身近に感じ共生を考える体験となった。
2年生生活科では、近隣にある国立科学博物館附属自然教育園で四季折々に観察会を行った。手を入れていない自然溢れる環境の中、そこに生きる生物とその多様性について学び、その後の活動に活かした。
2年生国立博物館附属自然教育園 観察会・・・4月12日、6月7日、11月15日、1月17日
都内でありながら、豊かな自然に恵まれた国立博物館附属自然教育園を散策し、昆虫や植物などの生態について学ぶ。観察を通して、自然を味わう感性も育む。
2年生は校内で野菜を育て観察を行った。野菜の特徴を知り原産地を調べたり、世界との繋がりについて学びを広げた。

4.特別支援学校との交流 [貧困・人権 ]
視覚障害のある児童・ 生徒との交流を通して、障害のある方々への理解を深め、共に生きる姿勢を育てる。放送委員会は、音声にかかわる活動という観点から、視覚障害のある方々との交流を行っている。視覚に障害があるとは どのようなことか、 障害のある方と共に生きるにはどのようにしたらよいかについて具体的に学んだ。今年度は久し振りに訪問が叶い、対面での交流となった。自己紹介、ゲームをするなど短くはあったが楽しい時間を過ごした。
久我山青光学園訪問・交流・・・11月28日

3年生は総合的な学習の時間に「フードロス」についてゲストティーチャーを招いて学ぶ。その後家庭にも協力を仰ぎ、賞味期限が間近の食品を集め支援が必要な方々へ送った。自分の周りにも食べることに困難な人がいること、自分でも出来る取り組みがあることを知り、継続的な支援をしたいと話す児童もいた。共生の意識が芽生えつつある。企業から余った食材を集めて缶詰にし子ども食堂などに配布する「コノヒトカン」の取り組みも児童が見つけてきて皆に広めた。
学習発表会で展示・・・2月3日

5.フィリピンの貧困に苦しむ方々への支援活動  [ 国際理解 ]
音楽道具袋、辞書カバー聖書カバーのフェアトレード品の購入フィリピンにある聖心会が貧困に苦しむ家庭を対象にして運営している現地の幼稚園の保護者ならびに卒業生の保護者に、児童が使用する音楽道具袋(1年生)、辞書カバー、聖書カバー(5年生)の製作を委託し、フェアトレード品の購入を進めている。保護者会で意図・趣旨を説明し、保護者の理解を得て、購入を通じて経済的な自立支援に協力してもらっている。

上記5の活動は上記1のハイチ・デーの活動と同じ地域のものなので、児童は色々な角度から継続的に学ぶことができ、理解を深め、 親近感をもってかかわることができている。共生の意識を高める重要な要素となっている。

6.知らない世界に目を向ける[国際理解・貧困・平和・人権]
例年、1~4、5~8年生がそれぞれ「知らない世界に目を向けよう」をテーマに様々な方を招いて講演会を実施している。今年度、1~4年生には手話通訳士、バリアフリー字幕ライターとして活躍している卒業生を招き、手話との出会い、活動内容や仕事に対する思いを聞いた。音声と字幕なしの動画を見て耳の不自由な方の世界を体験し、多様な人との共生について考える機会となった。
5~8年生は、「18トリソミー」という染色体異常の病気をもって生まれた子どもを育てている卒業生の話を聴いた。1歳までの生存率が10%と言われている病気だか、両親の愛情と多くの支援により現在中学3年生である。命の尊さを知る。

7.SDGsの意識を高める取り組み[環境・平和・人権・気候変動・貧困他]
SDGsについては、各教科で取り上げ世界の一員としての意識を高めている。
特に総合的な学習の時間では、5、6年生が自ら課題を見つけて1年間深く探究する活動を行っている。研究の最後に行う発表会は、下級生や保護者にもSDGsの視点を広げる場となっている。
今年度のテーマの一部を紹介する。「サンゴと環境問題」「オーガニック食品」「SDGs実現に向けた教育の役割」「地球の宝 世界遺産 ~次世代へバトンを渡すために~」「みかん農家の現状と未来」「絶滅危惧種 ~ラッコで見る世界の現状と課題~」「国際共通語 英語がエスペラントに代わる可能性」「コーヒー ~発展途上国を救うSDGsなコーヒー」
卒業研究発表会・・・2月14日、15日

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中等科
中等科では、総合的な学習の時間を中心として、3年間のテーマを「いのちを育みつなげよう」とし、学年ごとにテーマを設定して取り組んでいます。1年生は、「自分の周りを知ろう」、2年生「自分たちにできることから」、3年生は「社会と人々に目を向けよう」を学年テーマとしています。
奉仕活動には、高等科と合同で担当する委員会がリードをとって全校で取り組んでいますが、1年生から学年進行で多様な領域について段階的に学びを深めた上で活動に臨むことができるようにプログラムを組み立てています。
国際理解教育は世界に向けて視野を広げる活動ととらえ、奉仕活動とも連動しながら取り組んでいます。世界に広がる聖心姉妹校のネットワークを活かし、多様な交流活動を行っています。グローバルマインドを育てる教育として、世界を視野にいれて、ものごとを自分ごととして考えられる力を育成することを目指しています。
SDG’Sについては、教科学習においても探究的なテーマとして取り上げています。

1年生
奉仕活動 [福祉 人権]
身近なところから社会・人と関わる活動として、地域のゴミ拾い活動、近隣の高齢者施設への贈り物の作成、  独居老人へのクリスマスカード・年賀状の作成を行った。ゴミ拾い、贈り物の作成はグループ活動とし、カード・年賀状は個人の活動として行った。いずれも、相手の立場に立った活動を心がけた。コロナ禍以前は高齢者施設を訪問する活動を行っていたが、それは休止し、贈り物の作成としている。

平和学習 [平和  国際理解]
NPO法人ホロコースト教育資料センターKOKORO 理事石岡史子氏を講師として「ハンナのかばん」を題材にホロコースト、人種差別について学んだ。事前学習として、関連図書の読書、映画鑑賞なども行った。歴史を学ぶことを通して、現代の差別の問題にも意識を向けた。

2年生
日光奥白根山登山・戦場ヶ原オリエンテーリング 7月17日~19日 [生物多様性 環境]
事前に日光の自然環境について調べ学習を行い、事後文化祭で登山の経験、学びを発表した。
登山に際しては地元の登山ガイドとの連携により実施した。日光の自然環境の理解の一環として、大谷石についても調べ、大谷磨崖仏の見学も併せて行った。
日光の自然の事前学習には日光自然博物館の学芸員によるオンラインレクチャーを実施した。 7月6日
事前準備のフィールドワークとして、高尾山の登山も実施した。 5月2日

障害のある人との関わり [福祉 人権]
港区社会福祉協議会との連携で、港区視覚障害者協会を講師に招き、手話について学ぶ。障害のある方と交流する。10月12日、19日、11月9日、16日、12月7日、14日
筑波大学附属視覚特別支援学校の協力により、点字について学び、技術学習を行う。拡大カレンダー作りに取り組む。 10月19日、11月9日、16日、12月7日、14日
港区社会福祉協議会の協力により、車椅子体験実習を行う。  1月
実際に障害のある方と出会い、点字や手話を体験するなど、実体験をもつことを重視した活動としている。

奉仕活動 [福祉 人権]
各自で地元の社会福祉協議会や自治体でボランティア情報を調べ、ボランティア先を探して参加する。夏休み等を利用して活動し、奉仕活動ノートに記録する。このノートには、卒業時まで奉仕活動について継続的に記録する。

3年生
奈良研修旅行  7月18日~20日  [世界遺産・無形文化遺産  文化多様性]
世界遺産である奈良において法隆寺、東大寺、平城京跡などを巡る研修旅行を実施した。帰途、宇治の平等院も見学した。
事前学習として、個人でテーマを定めて調べ学習を行い、事後には旅での経験も交えてまとめ、文化祭で展示発表を行った。
事前学習の一環として、奈良県観光局に講師派遣を依頼し、地元発信の奈良についての情報を得る活動を行った。
奈良教育大との連携により、坂本小百合先生によるオンライン事前学習を経て、「SDG’S学び旅」に参加した。東大寺で、「SDG’S学び旅」のガイドと共にSDGsの視点からの見学を行った。地元の方と交流を深めることもできた。

奉仕活動 [福祉 人権]
高齢者理解を学年のテーマにとりあげ、高齢者学を専門とする卒業生を外部講師として招き、理解を深めた。
高齢者施設に向けて、クリスマスの装飾をグループ活動で制作した。これは、コロナ禍により訪問がまだ実施できないことへの代替活動である。相手のことを考えて、喜ばれるものを作ることを心がけた。

裁判傍聴 [人権]
社会科公民の学習の一環として、第二東京弁護士会との連携により、東京地方裁判所で刑事裁判の傍聴を行った。裁判を傍聴するにあたっては、弁護士による裁判に関する説明を受けた。社会の現実に触れる重要な体験となった。
11月6日、10日、13日にクラスごとに実施した。

新聞の投書欄に投稿する  [GCED]
社会参加の一体験として、新聞の投書欄に自分の意見を表明する文章を書き、投稿を試みる。投稿規定についても学び、責任をもって文章を書く経験とした。実際に数名の生徒が採用された。12月13日に実施。

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高等科

1.模擬国連 [国際理解・平和・人権]
国際関係について学んでいる日頃の活動の成果を活かしたり、代表生徒が全日本模擬国連大会に大使として参加した。

2.PFC [環境・持続可能な生産と消費]
プラスチック・フリー・キャンパスではバイオワークス社の協力の下、植物由来で生分解性繊維PlaXを用いて、お弁当バッグをデザインし、約300枚を販売した。また、テラサイクルのリサイクルプロジェクトに参加し、使用済みプラスチック製文房具の回収を職員室や事務室を含め、クラスに呼びかけた。2か月間で4キロを超える文房具を集め、リサイクル工場に送りました。ボールペンなどにアップサイクルされる。昨年度から行っている傘改革も継続している。校内に残されたビニール傘を回収して解体し、バッグやポシェットに加工するPlasticityに届けている。

3.奉仕活動委員会 [人権・福祉・ジェンダー平等]
毎月継続して募金活動を行い、困難な状況に置かれている「女の子」の教育・就労支援となるように「プラン・インターナショナル」に寄付した。災害時には緊急支援として校内に広く呼びかける募金も行った。今年はコロナが5類になったことで、老人ホームでの奉仕活動も少しずつ復活しており、自分たちにできることに少しずつ取り組んだ。

4.11年生長崎研修旅行  [平和・国際理解・世界遺産・文化多様性]
7月に被爆地訪問を通しての平和、キリシタン、歴史学習を行った。

5.ハンセン病について学ぶ [人権・福祉]
10年・12年の奉仕活動 ではハンセン病について学び、元ハンセン病患者の方々のための朗読ボランティアをしている。 12年生は国立ハンセン病資料館の見学を行う。

6.カンボジア体験学習  [世界遺産・文化多様性・平和・国際理解・気候変動・環境・貧困]
3年ぶりに7月に現地を訪問し、内戦の歴史とそこから派生する様々な課題を肌で感じることができた。アンコール・ワットなどの世界遺産を実際に見ることで、カンボジアの豊かな歴史にも感銘を受けた。帰国後も校内新聞の発行やカンボジア製品をバザーで出品するなど、自分たちの感じた学びを全校に広める活動を続けている。

7.SOFIS  [国際理解・人権・ジェンダー平等・GCED]
国内の5つの姉妹校で連携して、様々な社会問題について考えを深め、高校生の立場でできることは何かを模索している。ジェンダー・教育・難民のテーマごとにグループに分かれ、テーマに合わせたクイズラリーなどを行うことで、全校に研究成果を発信している。

8.Virtual Collaboration Program [気候変動・環境・GCED・国際理解・文化多様性]
海外姉妹校とオンラインで繋ぎ、SDGsなどについて発表やディスカッションを実施した。前期の本校の担当テーマは気候変動、後期のテーマは気候変動に加え、絶滅危惧種についても発表した。

9.姉妹校短期交換留学 [国際理解・文化多様性]
アイルランド、アメリカ、オーストラリア、オーストリア、カナダ、台湾、フランス、メキシコの姉妹校・提携校13校と短期交換留学を実施した。計23名の生徒を2-4週間派遣し、19名の留学生を2-3週間受け入れた。受け入れは全てホームステイ、日中は学校で様々なアクティビティーを企画し、実施した。派遣された生徒は留学の経験をふり返り、留学報告会においてプレゼンテーションを行った。

10.海外団体受け入れ [国際理解・文化多様性]
オーストラリア語学研修の提携校の生徒・教員20名を5月に1週間受入れ、交流を深めた。ホストファミリーは週末などを利用し、日本文化や観光名所を紹介した。1月に韓国聖心の生徒・教員も1日来校した。

来年度の活動計画

2023年度に行った活動を継続して行う。
2024年度の活動として、4月にニュージーランド姉妹校との交流を行い、40名の生徒を全校で迎え、音楽の活動を行う。
理科教育の一環として蜜蜂の養蜂に取り組む。学校の自然環境を活かした取り組みとし、生態観察、環境学習などに視野を広げる学びとする。

過去の活動報告