2019年度活動報告
本年度の活動内容
生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費
聖心女子学院初等科
当校は、「一人一人がかけがえのない存在であること」を学校理念として、ESDを「世界の一員としての連帯感と使命感をもって」、と捉え、ESD、SDGsの実践を通して社会に貢献できるための力の育成を目標とした。
具体的には、国際理解、環境、人権を柱に、①ハイチ・デー(募金活動)の活動、②海外の姉妹校との文通の活動、③環境に関わる学習、④特別支援学校との交流、⑤東日本大震災被災地支援の活動、⑥フィリピンの貧困に苦しむ方々への支援活動等を行った。
① ハイチ・デー(募金活動)の活動[国際理解、平和・人権、環境、気候変動]
昼食のお弁当をおにぎりなど簡素なものとし、おかず分、 日頃のおこづかいの節約などで貯めたお金を募金する。1984年、ハイチより来日された日本人シスターより貧困に苦しむハイチの現状を知った児童達により始められた。児童会の活動として、全校参加で行う。
寄付金はハイチやフィリピン他、支援を必要としているアジア、アフリカの地域で働く聖心会シスターのもとに送る。困難な状況をおにぎり弁当を通して共有し、送り先の状況についても学ぶ。
7月1日、12月2日、2月25日に実施。
②海外の姉妹校との文通の活動[国際理解]
聖心姉妹校の世界に広がるネットワークを活かして、姉妹校間での継続的な交流活動を行い、世界に向けて視野を広げ、お互いの文化・生活の違いや多様性に気づき、 世界の一員として生きる意識を深める。英語科の授業で学んだことをもとに、英文手紙による交流を行い、関係を築くことを楽しむ。
教師の指導のもとに、自己紹介、日本の生活の紹介などの手紙を書く。日本についての理解も深める。また、児童の委員会活動のひとつ、 国際委員会でも日本からの発信をする。
英語科授業での活動
オーストラリア FCJ College Benalla
アイルランド ダブリン MountAnville 聖心女子学院 11月
イギリス ロンドン Farnborah Hill 11月
アメリカ サンフランシスコ SacredHeart School,Atherton CA 6月
国際委員会での活動
アイルランド ダブリン Mount Anville 聖心女子学院 11月
イギリス ロンドン FarnborahHill 11月
アメリカ バンクーバー Clark College 11月
③環境に関わる学習[環境・生物多様性]
神奈川県丹沢 山梨県清里高原において宿泊校外学習を行い、 周囲の自然環境とそこに生きる生物とその多様性、森林、人間と自然の共生について学ぶ。それぞれ地域の専門家による講習を受け、実地体験をもって学ぶ。特に、清里高原では、現地ネイチャーセンターのレンジャーの指導による環境教育プログラムを行う。2年連続して初夏と秋の異なる季節に実施することで、自然の季節による変化を学ぶ。
4年生校外学習 神奈川県足柄上郡松田町 9月11日~13日
松田町教育委員会の協力を得て、周辺の自然、昆虫、小動物、植物などの生物について学ぶ。川の実習も行い、川に住む淡水生物の観察も行う。自然の中での生活体験を通して、 自然を味わう感性も育む。
5年生校外学習 山梨県北杜市高根町清里 6月4日~7日
レンジャーの指導のもとに森林散策、自然観察を行い、森の自然環境、生物多様性などについて実地に学ぶ、自然教育プログラムを行う。森林から実生の若木を採取し、「ピース オブ フォレスト」として各自持ち帰り、1年後に森に戻すために、1年間自宅で育てる。自然保護、自然との共生の考え方を学び、各自の活動を通して自然保護に関わる。
地元農家の協力の下に、田植えの作業を行い、秋に稲刈りも実施する。収穫され、精米された米を食することで、農業と自然、人とのかかわり、食とのかかわりについても実地に学ぶ。
6年生校外学習 山梨県北杜市高根町清里 9月3日~6目
レンジャーの指導のもとに、ネイチャーゲームなどの環境教育ブ口グラムを行う。5年時には初夏に訪れた地に、秋に訪れることで季節による自然の変化を学ぶ。
5年時に持ち帰ったピース オブ フォレストを持参し、森の中に植林する。児童の中には1年間育てることができず、枯らしてしまった者もあり、植物の成長の難しさ、 自然と人とのかかわりの難しさについても学ぶ。
④特別支援学校との交流、
視覚障害のある児童・ 生徒との交流を通して、障害のある方々への理解を深め、共に生きる姿勢を育てる。放送委員会は、音声にかかわる活動という観点から、視覚障害のある方々との交流を行っている。
11月12日 久我山青光学園寄宿舎への訪問交流
視覚に障害があるとは、 どのようなことか、 障害のある方と共に生きるにはどのようにしたらよいかについて具体的に学んだ。
⑤東日本大震災被災地支援の活動[環境、 工ネルギー、 人権]
2019年12月、岩手県釜石市教育委員会を通じて、釜石市内幼稚園、小学校、中学校にクリスマスカードと図書券のプレゼントを贈った。初等科で約550通集まり、全校では約940通集まった。この活動は、震災の起きた2011年より継続されている。
釜石市には、保護者父親有志が春・秋に継続的にボランティアに行つており、児童・生徒も父親と一緒に参加している。
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染の被害を受けた福島県南相馬市立大甕小学校の女子児童との文通交流も初等科生有志によって継続されている。訪間の際に配布された。返信もあり、 継続的な交流となってきている。
また、6月に聖心女子大学を会場にして行われる「震災復興チャリティーデー」へ有志参加をしている。
⑥フィリピンの貧困に苦しむ方々への支援活動[国際理解]
音楽道具袋、辞書カバー聖書カバーのフェアトレード品の購入
フィリピンにある聖心会が貧困に苦しむ家庭を対象にして運営している現地の幼稚園の保護者ならびに卒業生の保護者に、児童が使用する音楽道具袋(1年生)、辞書カバー、聖書カバー(5年生)の製作を委託し、フェアトレード品の購入を進めている。保護者会で意図・趣旨を説明し、保護者の理解を得て、購入を通じて経済的な自立支援に協力してもらっている。
上記⑥の活動は上記①のハイチ・デーの活動と同じ地域のものなので、児童は色々な角度から継続的に学ぶことができ、理解を深め、 親近感をもってかかわることができている。 共生の意識を高める重要な要素となっている。
聖心女子学院中等科
本校は「世界の一員として連帯感と使命感をもって、より良い社会を築くことに貢献する」、を学校理念として、ESDをグローバルマインド育成に不可欠な指標と捉え、その実践を通して、共生の視点と主体的に課題解決に取り組む力の育成を目標とした。2018年度からSDGsに着目し、SDGsへの意識は定着したものとして、2019年度はアクションを起こすことを目指した。日常生活や校内の様々な活動とSDGsの関連について考えて生活する姿勢を育成した。ペットボトル、レジ袋、ストローの不使用など実践している。5月に国谷裕子氏によるSDGsについて、11月には日本エシカル協会の末吉里花氏によるエシカル消費についての講演を聴き、自分達に何ができるか考えた。
①国際理解に関わる活動
2019年度はアメリカ、カナダ、台湾、韓国、オーストラリア、メキシコ、アイルランドの11校との交流活動を実施し、約40名を受け入れた。様々な国の生徒と接して、文化的多様性に対する意識が向上し、国際交流を日常的なものとして意識することができた。
②持続可能な生産と消費に関わる教育
中等科3年生が青森県南部町三八地区で農業体験を行った。農家に生徒4人一組で2泊し、東京の都会生活者である生徒たちが農業の実際に触れ、農産物の収穫までの苦労を知ることにより、より賢明な消費者となることを目指す。また、都会と農村の生活の違いを知ることで、日本の社会の多様性を知る。農家の人々との交流、生産の苦労、日本の農業の実際を学んだ。事前・事後学習により、体験を学びとして深めた。
中等科2・3年生は本校初等科5・6年生と合同で、日本エシカル協会の末吉里花さんの講演を聴き、自分たちが買ったり、手にするものが、どのように環境に関わり、世界と関わるかについて学んだ。どのように商品を選ぶことが地球全体のためになることなのかを考える機会とした。
③人権・平和に関わる学習
中等科1年生の総合的学習において、「ハンナのかばん」の活動を行った。「ハンナのかばん」は、第2次世界大戦中に迫害されたユダヤ人少女の所持していたかばんをもとにホロコーストについて書かれた本で、著者であり、NPO法人ホロコースト教育資料センター理事である石岡史子氏を真なき、講演会を行った。生徒は事前に本を読み、ホロコーストについて学ぶ。話し合いも行い、人権意識を高め、個性の多様性を認めることへと視野を広げる活動とした。
④福祉に関わる学習
奉仕活動・ボランティアは全校的な活動としている。弱い立場にある人々への意識を高め、実践に取り組んでいる。
中等科2年生の総合的な学習では、「いのち」を大きなテーマとし、障害のある人々との共生の姿勢の育成を目指した。視覚障害について専門家を招き、点字を学び、障害のある方の体験談も聞く機会を設けた。筑波大付属視覚特別支援学校の文化祭を訪問し、視覚障害のある生徒達の活動を見学した。中等科3年生は高齢者体験も行い、車いす実習、疑似体験も実施し、共感できる姿勢の育成に努めた。学級ごとに高齢者施設を訪問した。立場の異なる人々と共に生きる姿勢を育むことに努め、生徒が個人でもボランティアに取り組み、関わりを持つことのできる力をつけることを目指した。
日常的にも、奉仕活動委員会の活動として、高等科と協力し、毎月の募金、リサイクル活動などを行い、支援の実践としての成果をあげることができた。
聖心女子学院高等科
本校は、「世界の一員として連帯感と使命感をもって、より良い社会を築くことに貢献する」ことを学校理念として、ESDをグローバルマインド育成のための諸活動に不可欠な指標と捉え、ESDの実践を通して、共生の視点と主体的に課題解決に取り組む力の育成を目標とした。その一環として2019年度は特にSDGsに着目し、従来のESDの活動をより一層活性化した。2030年の世界を担う者としての主体的な姿勢の育成に努めることを目指した。
SDGsへの意識付けとして、卒業まで継続して課題とする項目を各学年に指示した。日常生活や校内の様々な活動がSDGsとどのように関連しているかについて考えて生活する姿勢を育成した。
具体的には、文化的・宗教的多様性、平和の構築、持続可能な発展を柱に、①国際理解に係わる活動、②平和の構築に係わる教育、③世界遺産に係わる学習、④福祉に係わる学習を行った。
① 国際理解に係わる活動
2019年度は、アメリカ、カナダ、オーストラリア、台湾、韓国、アイルランド、メキシコの11校の学校との交流活動を実施し、約40名の外国人を受け入れることができた。年間を通じて様々な国の生徒と交流することにより、文化的多様性に対する意識が向上し、国際交流が学校生活における日常的なものとして意識されるようになった。語学研修として、高等科1・2年生対象にオーストラリア語学研修を実施し、現地の学校に通い、ホームステー生活を通して英語力を高め、国際感覚を養った。また、海外体験学習として、高等科2・3年生対象にカンボジアへの研修旅行を実施し、様々な現実に触れ、現地の子どもたちや高校生と交流する機会をもち、持続可能な発展について考える活動とした。
② 平和の構築に係わる教育
高校2年生で長崎研修旅行を実施し、被爆体験者の講話、原爆資料館の見学を通し、平和の構築について学ぶ機会とした。
上記カンボジア体験学習においても、ポル・ポト政権時代・内戦もテーマとし、事前学習の上に史跡を訪れて現場から学ぶ姿勢で、平和の構築の重要性を学ぶ機会とした。
③ 世界遺産に係わる学習
長崎研修旅行では長崎、天草、平戸のキリシタン遺跡の見学を行った。
カンボジア体験学習において、アンコールワット遺跡群を見学し、遺跡修復について現地の専門家から学ぶ機会をもった。実際に修復体験も行った。
④ 福祉に係わる学習
奉仕活動・ボランティアは全校的に係わる重要事項としている。弱い立場にある人々への意識を高め、実践できる活動に取り組んでいる。
継続的な活動として、各学年においてテーマをもって活動している。中等科2年生では、障害のある人々について学習し、交流活動を行う。中等科3年生では、高齢者について学び、施設訪問も行う。この経験を活かし、高等科では高齢者施設への訪問、身体障害・知的障害のある方々の施設での宿泊ボランティアを実施している。日常的にも、奉仕活動に係わる委員会の活動として、毎月の募金、リサイクルなどを行い、支援の実践としての成果を上げることができた。
来年度の活動計画
聖心女子学院初等科
活動概要に示した以下の6つの項目について、さらに発展させていく。
① ハイチ・デー(募金活動)の活動
②海外の姉妹校との文通の活動[国際理解]
③環境に関わる学習[環境・生物多様性]
④特別支援学校との交流、
⑤東日本大震災被災地支援の活動[環境、 工ネルギー、 人権]
⑥フィリピンの貧困に苦しむ方々への支援活動[国際理解]
聖心女子学院中等科
2020年度は本校の理念に基づき、グローバルマインドを育てる教育の一環としてSDGsについて一層の理解を深め、実践活動を促し、生徒が主体的に取り組む姿勢を育てる。全校的にSDGsについて意識を高め、日常的に取り組み、各教科、諸活動においても創意工夫を求めたい。よい取り組みについては全校的に共有していく。SDGsを通して、生徒の課題解決能力を高め、世界の課題に主体的に取り組む姿勢を育てたい。
学校全体としてSDGsに基づく運営を目指し、再生可能な電力使用、プラスティックフリー化を進める。
継続的に実施してきた活動も実践しながら、ユネスコスクールとしての観点からの見直しをはかり、グローバルな視点から本校の教育を捉え直したい。それにより、目先の結果にとらわれず、アクティブに活動する、グローバルマインドをもった女子を育てることを目指していきたい。
聖心女子学院高等科
2020年度も本校の理念に基づき、グローバルマインドを育てる教育の一環としてESD、特にSDGsについて一層の理解を深め、実践につながる活動を促し、生徒が主体的に取り組む姿勢を育てる。全校的にSDGsについての意識を高め、日常的な取り組み意識とし、各教科、諸活動においての創意工夫を求めたい。よい取り組みについては全校的に共有していく。SDGsを通して、生徒の課題解決能力を高め、世界の課題に主体的に取り組む姿勢を育てたい。
学校全体としてSDGsに基づく運営を目指し、再生可能な電力使用、プラスティックフリー化を進める。
継続的に実施してきた活動も実践しながら、ユネスコスクールとしての観点からの見直しをはかり、グローバルな視点から本校の教育を捉え直したい。それにより、目先の結果にとらわれず、アクティブに活動する、グローバルマインドをもった女子を育てることを目指していきたい。