2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

聖心女子学院初等科

本校は、「一人一人がかけがえのない存在であること」を学校理念とし、ESDを「世界の一員としての連帯感と使命感をもって」と捉え、ESD、SDGsの実践を通して社会に貢献できるための力の育成を目標とした。
具体的には、国際理解、環境、人権を柱に、①ハイチ・デー(募金活動)の活動、②海外の姉妹校との文通の活動、③環境に関わる学習、④特別支援学校との交流・聴覚障害をもつ卒業生との交流、⑤フィリピンの貧困に苦しむ方々への支援活動、⑥東日本大震災の被災地へのクリスマスカード送付、⑦難民に古着を提供 等を行った。

①ハイチ・デー(募金活動)の活動[国際理解、平和・人権、環境、気候変動]
昼食のお弁当をおにぎりなど簡素なものとし、おかず分、 日頃のおこづかいの節約などで貯めたお金を募金する。1984年ハイチより来日された日本人シスターより、貧困に苦しむハイチの現状を知った児童達により始められた。児童会の活動として年3回全校参加で行う。
寄付金はハイチやフィリピン他、支援を必要としているアジア、アフリカの地域で働く聖心会シスターのもとに送る。困難な状況をおにぎり弁当を通して共有し、送り先の状況についても学ぶ。今年度は、特にハイチで大地震が起きたことをニュースで知った児童会役員を中心に緊急募金を行い、日本赤十字社と国際NGOのPeace Winds Japanを通して送金した。
7月5日、12月6日、3月7日に実施。緊急募金は、9月28日実施。

②海外の姉妹校との文通の活動 [ 国際理解 ]
聖心姉妹校の世界に広がるネットワークを活かして、姉妹校間での継続的な交流活動を行い、世界に向けて視野を広げ、お互いの文化・生活の違いや多様性に気づき、 世界の一員として生きる意識を深める。英語科の授業で学んだことをもとに、英文の手紙による交流を行い、関係を築くことを楽しむ。
教師の指導のもとに、自己紹介、日本の生活の紹介などの手紙を書く。日本についての理解も深める。また、児童の委員会活動のひとつである 国際もゆる(委員会)でも日本からの発信をする。今年度は、コロナ禍だからこその取り組みとして、オーストラリアの姉妹校に学校紹介の動画を配信、国際ガールズデーにあった姉妹校の企画に参加、英語の授業で調べた日本の地域文化の紹介ビデオも作成し送信するなど姉妹校を中心とする交流が深められた。
英語科授業での活動、海外転出児童との交流、国際もゆる(委員会)での活動
アジア諸国、アメリカ、カナダ、アイルランド 他
③環境に関わる学習 [ 環境・生物多様性 ]
今年度は、5、6年生で行っている清里と4年生の富士山麓での宿泊校外学習は中止となり環境教育プログラムへの参加はできなかったが、2年生生活科で近隣にある国立科学博物館附属自然教育園で観察会を行った。手を入れていない自然溢れる環境の中、そこに生きる生物とその多様性について学び、その後の活動に活かした。

2年生国立博物館附属自然教育園 観察会 4月16日、6月22日、11月12、1月14日
都内でありながら、豊かな自然に恵まれた国立博物館附属自然教育園を散策し、昆虫や植物などの生態について学ぶ。観察を通して、自然を味わう感性も育む。

④特別支援学校との交流 ・聴覚に障がいをもつ卒業生の話を聞く[人権 ]
視覚障害のある児童・ 生徒との交流を通して、障害のある方々への理解を深め、共に生きる姿勢を育てる。放送委員会は、音声にかかわる活動という観点から、視覚障害のある方々との交流を行っている。
11月16日 久我山青光学園寄宿舎とオンラインで交流
視覚に障害があるとは、 どのようなことか、 障害のある方と共に生きるにはどのようにしたらよいかについて具体的に学んだ。今年度は、オンラインを通しての交流とはなったが、互いに自己紹介し合い豊かな時間を過ごした。
また、例年、5~8年生が「知らない世界に目を向けよう」をテーマに様々な方を招いて講演会を実施している。今年度は、NHKでプロデューサーとして活躍する卒業生を招き、聴覚障がいを持ちながらも働く姿や前向きな言葉に、障がいに対する思いを新たにした。

⑤フィリピンの貧困に苦しむ方々への支援活動  [ 国際理解 ]
音楽道具袋、辞書カバー聖書カバーのフェアトレード品の購入
フィリピンにある聖心会が貧困に苦しむ家庭を対象にして運営している現地の幼稚園の保護者ならびに卒業生の保護者に、児童が使用する音楽道具袋(1年生)、辞書カバー、聖書カバー(5年生)の製作を委託し、フェアトレード品の購入を進めている。保護者会で意図・趣旨を説明し、保護者の理解を得て、購入を通じて経済的な自立支援に協力してもらっている。
上記⑤の活動は上記①のハイチ・デーの活動と同じ地域のものなので、児童は色々な角度から継続的に学ぶことができ、理解を深め、 親近感をもってかかわることができている。共生の意識を高める重要な要素となっている。

⑥東日本大震災の被災地にクリスマスカード送付 [環境・エネルギー・人権]
キリスト教の学校として、毎年クリスマスをお祝いする行事がある。今年度は、被災地をはじめとする、日本、世界の人々へ全校児童でクリスマスカードを作成し贈る活動をした。

⑦ユニクロ主催の「服のちからプロジェクト」参加 [国際理解、平和・人権、環境]
同じキャンパスにいる高等科生徒会と共同で、リサイクルした服を集め、難民に届ける活動を行った。その活動を通して、難民や平和、人権について学ぶ。また、リサイクル活動は地球環境にも繋がることを行動することで身に着けていく。

⑧SDGsカレンダーの配布。[国際理解、平和・人権、環境、気候変動、エネルギー] 児童会の自主的活動として、全クラスにカレンダーを配布し、SDGsの活動を呼びかけ、行動に移すことに繋げた。半年間で活動は終了したが、各クラスでは継続して取り組む活動も多く、主体的に行動するきっかけとなった。

聖心女子学院中等科

教育理念にある「世界の一員としての使命感と連帯感をもってより良い社会を築くことに貢献する」に基づき、カトリック学校として、すべてのいのちはつながっているという視点をもって、視野を広げ、自分たちにできる活動を実践していく。

SDGsについて全校で取り組みを深めている。中等科としては、高等科生の活動に倣いながら実践を深めている。

引き続き今年度もコロナ禍により実際に出向いていく活動は制限されたが、オンラインの活動を充実させることができた。

①ジェンダー平等 女子校としてジェンダー平等についての学びを深めた。制服にスラックスが導入された。高等科生と協力して、世界の女子の教育の不平等解消のための募金活動を継続して行った。

②中3生は校外学習をオンライン形式で行い、奈良の歴史と文化遺産について学びを深めた。

③中2生が文化祭において、SDGsをテーマに取り組み、フードロス、気候変動による災害・飢餓の問題について動画を作成した。

④中1生は「ハンナのかばん」のテーマで、ホロコーストについて学び、平和について考えを深めた。

聖心女子学院高等科

教育理念にある「世界の一員としての使命感と連帯感をもってより良い社会を築くことに貢献する」に基づき、カトリック学校として、すべてのいのちはつながっているという視点をもって、視野を広げ、自分たちにできる活動を実践していく。

SDGsについて全校で取り組みを深めている。様々な領域ついて取り組みを深めることができ、生徒の中に意識が定着している。

引き続き今年度もコロナ禍により実際に出向いていく活動は制限されたが、オンラインの活動を充実させることができた。

①ジェンダー平等  女子校としてジェンダー平等について学びを深めた。特に聖心姉妹校と共同で研究を進めた。制服にスラックスが導入された。多様性についても意識を高めた。奉仕活動委員会では、世界の女子に対する教育の不平等解決を目指して募金活動を継続して行った。

②子どもの貧困問題 生徒会が企画して、講演会を実施した。同世代の貧困の現実について学びを深めた。

③カンボジア学習 例年は体験学習として現地での研修を行ってきたが、今年度はオンラインで交流を深めた。世界の多様な現実について学んでいる。8月のユネスコスクールの現地との交流会に参加し、識字教育の現状を知ると共に、他校との交流も深めることができ、非常に有益な機会だった。

④プラスチックフリーキャンパス  エコロジカルな消費を目ざして、プラスチック削減の活動に取り組んでいる。様々なアイディアをもってプラスチックの現実に迫っている。

⑤持続可能な生産と消費 バレエシューズ、衣服など身近なものから持続可能性な消費のありかたについて検討し、リサイクル商品の開発のアイディアを出した。実現の可能性を模索している。

⑥高2生の校外学習で長崎をとりあげ、原爆、平和について学びを深めた。

⑥高3生のボランティア活動の一つとして、ハンセン病の元患者の方々のための朗読活動を始めた。ハンセン病についても学び、差別の問題について意識を深めた。

来年度の活動計画

聖心女子学院初等科

2022年度活動計画

活動内容に記載した点を更に広げていく。また、新たなプロジェクトには積極的に参加する。

①ハイチデ―(募金活動) ハイチだけでなく、コンゴやケニアにも関心をもって繋がる。

②海外姉妹校との交流 インターネットを介しての活動が可能となっている昨今、さらに進めていきたい。

③環境学習の充実 コロナ禍で校外活動ができない2年間である。来年度は自然環境や生物の多様性に関わる機会を増やしたい。

④特別支援学校との交流 コロナ禍でオンラインによる交流であるが、互いが楽しめるようなゲームを工夫するなど新たな活動となっている。

⑤フィリピンの貧困に苦しむ方への支援活動 自分たちと立場が違う世界の人々に目を向け、共生の必要性を考える。

⑥東日本震災被災地との交流 クリスマスカードの送付により繋がる

⑦難民支援活動 難民を助ける活動への参加

⑧SDGsがあたり前にある生活を継続 周囲にも呼び掛ける

聖心女子学院中等科

来年度も教育理念とカトリック的視点に基づいて、学校活動全体を通して、生徒が視野を広げ、世界の人々と共に生きる姿勢を深めるよう、活動を進めていく。

①学校全体でSDGsに取り組む。

②女子校としてジェンダー平等の意識、多様性について学びを深める。異なる状況にある世界の女子について連帯感を育む。

③校外学習を通して、文化遺産、自然環境の保全についての学びを深める。

④「ハンナのかばん」の活動を継続し、平和について学ぶ機会とする。

聖心女子学院高等科

来年度も教育理念とカトリック的視点に基づいて、学校活動全体を通して、生徒が視野を広げ、世界の人々と共に生きる姿勢を深めるよう、活動を進めていく。2021年に行った活動を継続していくが、特に以下の点に取り組む。

①学校全体でSDGsに取り組む。

②女子校としてジェンダー平等の意識、多様性について学びを深める。異なる状況にある世界の女子について連帯感を育む。

③長崎校外学習を通して、文化遺産、自然環境の保全についての学びを深める。

④カンボジア学習を継続して行う。

⑤生徒の多様なアイディアを活かし、自主的な活動を促していく。

⑥他のユネスコスクールとの交流も深めるよう模索する。