• かんさいそうかこうとうがっこう
  • 関西創価高等学校

  • Kansai Soka Senior High School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野減災・防災, 気候変動, 環境, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等

所在地 〒576-0063 大阪府交野市寺3-20-1
電話番号 072-891-0011
ホームページ https://sites.google.com/soka.ed.jp/kansaicampus/
加盟年 2017

2023年度活動報告

活動分野

減災・防災, 気候変動, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 持続可能な生産と消費, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

本校は、1973年の開校以来、「他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしない」との平和の信条を堅持する世界市民の育成に取り組んできました。2017年よりユネスコスクールとなり、持続可能な開発のための教育(ESD)を通し、平和に貢献するグローバルリーダーとしての①使命感、②共感力、③問題解決への創造力の育成に力を注いできました。
そのため、ESDに関わる「環境・開発・人権・平和」の4分野を取り上げ、全校生徒が数人のチームに分かれ、地球的課題の解決方法を探るGRIT(Global Research & Inquiry Time) =総合的な探究の時間の実施と、大学教授や専門家による地球的課題を学ぶ基礎講座UP(University Partnership) クラス、グローバル・シチズンシップ・セミナー(Global Citizenship Seminar)の開催を行っています。
特に今年度は上記の取り組みを通じ、「創造性豊かな世界市民の育成に向けて『学び得た知識が人生の知恵として生きる学園』に!」を目標に掲げ、一つ一つの取り組みが生徒たちの高校生活の大事な学びの場となるように取り組みました。生徒たちも世界に目を向けてみれば、ウクライナ危機に関する報道が連日続く中で、「平和」について全校生徒が意識をもって学び続けた中、7月26日から8月1日までアメリカ・カリフォルニア州ミドルベリー国際大学院モントレー校で開催された「高校生による軍縮不拡散教育会議」に参加し、Bringing Intersectional Approaches to Youth Education for Nuclear Disarmament and Nonproliferation(若者のための核軍縮・不拡散教育への分野横断的なアプローチ)をテーマに積極的に取り組むことができました。また12月18日に開催された全国高校生フォーラムには、代表生徒4人が The path to boosting people’s recognition about the threat of nuclear weapons (「核兵器の脅威に対する意識底上げのための方途」)をテーマにポスターセッション、プレゼンテーションを行いました。大変充実した取り組みになったと、参加した生徒たちにとっても、大変充実した取り組みとすることができました。

【GRIT(Global Research & Inquiry Time = 総合的な探究の時間)の取り組み 】
GRITにおいては「地球的課題のリサーチと探究」というテーマのもと、学年に応じた取り組みを行っている。

(高校1年)
・1年次は「環境・開発・人権・平和」の4分野に関わる地球的課題を提示して、学び考えるプログラムを中心としている。(インプット中心)
本年度は「環境」においては校内の水質調査や木々の生育などの身近な自然環境から環境問題を考える校内フィールドワークを行った。
「開発」は「世界がもし50人の村だったら」を40人程度のクラスの生徒数に置きかえたプログラム、フェアトレードを学びながらの貿易ゲームを行い、「もっと世界を知り、人々がどんな生活を送っているのかを知りたい、学びたい」という探究心を養うことができました。
「人権」は自分たちの理想な町づくりをした後、その町が「世界人権宣言」や「子どもの権利条約」に則った街づくりができているかを検証するワークを行いました。
「平和」はAI兵器、核兵器に関しての最新事情について学び深めることができました。
また今年度は、これらの4分野に通底するであろう「構造的暴力」とは何か?といったことも学んだ上で、自分たちが身近にある構造的暴力を発見し、どの様にしたら解決できるのかということを考える中で、自分たちの生き方を見つめ直す授業も展開した。
学年末は、地球的課題から離れ、リサーチや探究の方法を学び、自分たちの身近なリサーチクエスチョンについて、文献を基に調べて発表するプログラムを行う予定にしている。学年間交流を行い、2年生の活動をポスターセッションを通じて学習する予定にしている。

(高校2年)
・2年次は1年次に行った地球的課題の中でも、SDGsを中心としたリサーチクエスチョンを作成し、探究活動を進める。そのリサーチクエスチョンを1年間深め続けて、学年末に後輩に1年生を対象にした発表会を行うプログラムを予定している。(アウトプット中心に移行)
本年度はそのリサーチクエスチョンを深めるため、創価大学の教授陣に協力をいただき、オンラインでプレゼンテーションを行い、様々なアドバイスをいただく機会を設けました。また、各専門分野の人にインタビュー等を行うオンラインフィールドワークを、グループごとに実施しました。発表直前には、大学院生にも協力をいただき、発表の中身や方法などのレクチャーをしていただいた。最後にはポスターセッションを1年生の前で行い、自分たちの成果を後輩に伝えている。
(高校3年)
・3年次は相手と意見を交換した後、合意形成をしていくプログラムとなっている。(合意形成を目標)
まずはクラスで12カ国の仮想国に分かれ、核軍縮に関するシミュレーションを行う。その経験を踏まえて本年度は、本校の模擬国連部のメンバーを中心に、各クラスを20カ国のグループに分け、生徒がそれぞれの国の大使となって模擬国連を開催した。「温室効果ガス排出量削減」のテーマのもと、各国がどのような事情を抱えているかを調査。利害などがぶつかり合う中、どの様に合意形成を図っていくかという事が最大のテーマになる。一年の取り組みの最後には各クラスで模擬国連総会を開催。活発な議論が交わされ、各人が世界の諸課題と国連の仕組みについて理解を深めた。

【UP(University Partnership) クラス(大学教授や専門家による地球的課題を学ぶ基礎講座)の取り組み】
・1月 「Amazing Challenge~ゆめをかたちに~」 陸前高田企画株式会社・村上清代表取締役(東北大学・村上清特任教授;開発分野)
・2月 「アフリカ-タンザニア-と『住民参加型開発』-点と点を結んで―」 大阪大学大学院 角正美さん(海外青年協力隊)
・5、6月 (連続講座)「人間の安全保障」 創価大学・中山雅司教授(平和分野)
・7月 「経済学・統計学入門」 経済産業研究所・藤井大輔研究員(開発分野)
・9月 「性のスペクトラムについて」 同志社大学 i-seekチーム(人権分野)
・10、11月 (連続講座)「開発・国際協力について」 創価大学・佐々木 諭教授(開発分野)
・12月 「『創価教育』について」 デポール大学池田大作研究所・犬飼希望研究員(教育分野)

【LC(Learning Cluster)の取り組み】
1学期では、「核兵器廃絶」をテーマに、ディスカッションやプレゼンテーションを通じて学びました。夏には、長崎フィールドワークを実施し、専門家や被爆者とのセッションを通して理解を一層深めました。2学期には、1学期の学びを基にし、グループを編成して5つのリサーチを計画しました。カナダのゲルフ・ハンバー大学のリサーチアシスタントも各グループに参加し、共同研究が始まりました。5回にわたるオンライン交流会を通じて、ゲルフ・ハンバーの学生たちと共にグループリサーチを進めることができました。3学期には、海外フィールドワーク、小学校訪問、ゲルフ・ハンバー大学の来校、そしてオンラインシンポジウムを通して、研究の成果を発表する予定です。

【国内FW、海外FWの実施】
・開発FW(東北)(2023年3月実施)
東日本大震災が起きた東北方面を訪れ、将来起こりえる南海トラフ地震の被害を最小限に抑えるためにどのような備えが必要なのか、どのような防災教育・減災教育を行うことで震災への対策を促すことが可能かをテーマに、2泊3日で探究活動を実施しました。初日は東北大学で2Gに分かれて講義を受講。一つは佐藤健教授の免震耐震構造のしくみについての講義を、もう一つは高橋英志教授による環境ナノ粒子の講義を受講しました。受講後、お互いに学んだことを共有することができました。2日目には震災で大きな被害を受けた陸前高田市を訪れ、これまで復興を目指した取り組みを学習。最終日には仙台市内にあるウルスラ学院英智高等学校の生徒との交流会に参加し、フィールドワークを通して探究したことを発表しました。

・平和FW(長崎)
本校初の長崎でのFWの実施となりました。長崎大学核兵器廃絶研究センターRECNAの吉田文彦センター長、被爆3世の語り部である原田小鈴様、核兵器防止国際医師会議の朝長副会長にお話を伺うことができました。また、高校生国際平和会議には代表メンバーがパネリストとして参加したり、今まで培った学びを同世代の方々と共有することができました。

・平和FW(広島)
「核廃絶をはじめとする平和の実現に向け、私には何ができるのか」をテーマに、核兵器及び戦争の悲惨さを学び、廃絶へ向けて自分たちにできる解決策を模索する目的とし、2泊3日で実施しました。8月5日には、広島平和記念資料館、広島原爆死没者追悼祈念館を見学。翌6日には広島平和記念式典に出席。最終日となる7日には、広島女学院主催のPeace Forumに参加し、同世代の人々と意見交換する中で、平和の連帯を築き、強め、世界平和を担う世代としての意識を高めることができました。

・環境FW(滋賀)
滋賀県高島市を舞台に実施。有機野菜の収穫作業を体験。EM菌を使った無農薬栽培について学んだ。また、エビの養殖と水耕栽培をかけ合わせたアクアポニックスや深清水地区のかばたを見学。朽木地区の山林を散策し、人間が自然の一部であることを深く学んだ。

・平和FW(アメリカ:CIF参加)
カリフォルニア州ミドルベリー国際大学院核不拡散研究所主催のクリティカル・イシューズ・フォーラム(高校生による核不拡散会議)に代表生徒2名が参加し、「核軍縮へ 文化の果たす役割」と題する発表を行った。核軍縮について、国境を越えて世界の友と語り合い、核廃絶への思いを深める機会となった。

【国際デーの取り組み】
・6月5日 世界環境デー
節電を通してCO2削減に挑戦し、気候変動の問題に関心を持つよう取り組んだ。気候変動の問題を解決するために自分に何ができるかを考え行動を起こす契機とすることを目的とした。6月12日(月)~16日(金)の5日間をキャンペーン期間とし、全校でどのくらいのCO2削減ができるかを目標とし、節電に挑戦し、昨年実績よりも実際に電力量を削減することに成功した。

・9月29日 食料のロスと廃棄に関する啓発の国際デー
まだ食べられる食品を廃棄せず、必要としているところへ届ける「フードドライブ」に取り組んだ。期間は9月19日(火)~22日(金)の4日間。お昼休みに回収場所を設けて実施。寄付された食品は地元交野市に届け、大阪府内の子ども食堂(交野市内では現在5か所が対象)やシングルマザー支援団体に配布された。

来年度の活動計画

① 「環境・開発・人権・平和」に関わるGRIT(総合的な探究の時間)では、SDGs(持続可能な開発目標)の中からコアなテーマを見つけ、数名のチームで行う探究活動をさらに活発にしてまいります。恒例の3年生全員による学年模擬国連は継続して開催したいと思っています。GRITの集大成となり得る、価値あるものにしてまいります。
② UPクラスでは、新たな分野、新たな講師、新たな提携大学等を開拓し、参加者増を目指します。
③ 2023年度に復活させたフィールドワーク(広島・東北・海外)をさらに充実させてまいります。また、日帰りで人権、平和、防災にかかわるテーマでの関西フィールドワークを実施します。
④ 地元交野市の中高生とともに核廃絶署名、里山保全活動など、地域を意識した取り組みを行います。
⑤ 世界のユネスコスクールとのネットワークを活かす取り組みの1つとして、他校と交流・連携して「環境・開発・人権・平和」に係るイベントを開催します。
⑥ SDGs達成に向けた活動をさらに充実させてまいります。

過去の活動報告