2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 気候変動, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 貧困

本校は、1973年の開校以来、「他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしない」との平和の信条を堅持する世界市民の育成に取り組んできました。平成29年よりユネスコスクールとなり、持続可能な開発のための教育(ESD)を通し、平和に貢献するグローバルリーダーとしての①使命感、②共感力、③問題解決への創造力の育成に力を注いできました。

そのため、ESDに関わる「環境・開発・人権・平和」の4分野を取り上げ、全校生徒が数人のチームに分かれ、地球的課題の解決方法を探るGRIT(Global Research & Inquiry Time) =総合的な探究の時間の実施と、大学教授や専門家による地球的課題を学ぶ基礎講座UP(University Partnership) クラス、グローバル・シチズンシップ・セミナー(Global Citizenship Seminar)の開催を行っています。

上記の取り組みによって、ESD並びにユネスコスクールの活動に関心を持った生徒9名が、「ユネスコスクール オンライン近畿地方大会子どもフォーラム」に参加。11月1日・8日、15日の3日間にわたり、近畿のユネスコスクールに通う児童・生徒の皆さんとともに持続可能な学校・地域社会・世界づくりに向けた取り組みについて考え、「近畿ユネスコスクール子ども宣言」作成に携わりました。

新型コロナウイルス感染症による影響で、学年末、1学期の活動が一切できず、年間計画の変更を余儀なくされました。また、宿泊を伴う活動ができなかったため、2020年3月以降のフィールドワークは一切中止となり、オンラインによる交流にとどまりました。

3年生は、GRITの集大成となる模擬国連を開催することができませんでしたので、代替の取り組みとして、「新型コロナウイルス感染症の社会への影響」をテーマに、学年全員が探究活動に挑戦し、それぞれの成果を論文にまとめました。

SDGs達成に向けての取り組み

本年度の新たな取り組みとして、学園生から教職員まで一人ひとりが、SDGs達成を促す実行可能な目標である「My SDGs」を掲げ、行動を起こしていくことを目的に、「My SDGs in Action」を立ち上げました。まずは、身近な達成目標を掲げ、私たちの意識を変えていくことで、SDGs達成に向けたうねりを大きくしていこうと考えています。10月末よりスタートしました。

① 環境教育に関わる取り組み

GRITの時間において、世界の環境問題を学習。加えて発足以来、連続参加を続けているNASA(アメリカ航空宇宙局)の教育プログラム「アースカム」を通した地球規模の環境観察や地域の環境保全活動をリードする、蛍の育成にも挑戦しました。

② 開発教育に関わる取り組み

1・2年生ではSDGsやフェアトレードを学び、ウルグアイのムヒカ元大統領のスピーチや国際機関に勤務する卒業生の話を通し、開発に必要な心を学びました。

③ 人権教育に係わる取り組み

英語による地球的課題探究プログラム=LC(Learning Cluster)に所属する生徒が、世界の人権問題について探究し、成果をまとめました。また、10月2日、10月17日、11月13日の3回にわたり開催された、アメリカ創価大学の副学長 ケビン・モンクリーフ博士と職員のマヤ・グナセハランさんとのオンラインによる特別セッションを通し、「アメリカ社会で起きている人種差別の現状」というテーマにもとづき、キング牧師やローザ・パークスさんなどの、人種差別と戦った国民運動について学びました。参加した生徒全員が人権について活発な意見を交わし、問題意識を大いに高めることができました。

1年生のGRITでも「黒人差別問題・表現の自由と人権」を取り上げ、世界の現状を学ぶとともに本校の創立精神と照らし合わせて、解決に向けた方途をさぐる議論を行いました。

2年生のGRITでは、多くのグループが「人権」に関わる問題を取り上げ、学年末のまとめに向けて探究活動を続けています。また、UPクラスにおいては、創価大学法学部の中山雅司教授に「『平和の文化』と人間の安全保障」のテーマで、3回にわたる授業を担当していただき、生徒は人間の尊厳や人権・人道に立脚した21世紀世界の秩序構築の可能性と課題について考察しました。全学年を通じて「人権」に対する問題意識が高まり、2学期末の生徒総会では、議題の一つとして取り上げ、全員で討議しました。

④ 平和教育に係わる取り組み

2020年1月26日〜2月1日の7泊5日の日程で、第5回目となるSGH海外フィールドワークを実施しました。アメリカ創価大学(SUA)をはじめ、UCLAやカリフォルニア大学アーバイン校、サンディエゴ大学クロック平和研究所等の全米屈指の名門校・研究所並びにウォルドルフ学校、グラウアースクールを訪問し、第一線で活躍する研究者や現地の学生とのセッションを行いました。核兵器廃絶に向けた提言等、これまでの探究の成果を示すとともに活発な議論を交わすことで、さらに深い学びへと結びつけることができました。

GRITにおいて、1年生は、AI兵器について学び、ますます非人道的な様相を呈する戦争の問題について深く考察し、3年生は、全クラスで「核・軍縮シミュレーションゲーム」を行い、平和と核廃絶への意識を高めました。

来年度の活動計画

来年度の活動計画

① 「環境・開発・人権・平和」に関わるGRIT(総合的な探究の時間)では、SDGs(持続可能な開発目標)の中からコアなテーマを見つけ、数名のチームで行う探究活動をさらに活発にしたい。新型コロナウイルス感染症の影響で、恒例の3年生全員による学年模擬国連開催については未定であるが、いずれにせよ、GRITの集大成となり得る、価値あるものにしていきたい。

② UPクラスでは、新たな分野、新たな講師、新たな提携大学等を開拓し、オンラインを通じて海外からも講義をしていただける取り組みを考える。

③ フィールドワークについては、宿泊を伴う形ではできないが、近隣地域に限定し、日帰りで人権、平和、防災にかかわるテーマでのフィールドワークを実施したい。

④ 地元交野市の中高生とともに核廃絶署名など、「平和」への活動を行う。

⑤ 世界のユネスコスクールとのネットワークを活かす取り組みの1つとして、他校と連携して「環境・開発・人権・平和」に係るイベントを作り上げたい。

⑥ 2020年度よりスタートさせた「My SDGs in Action」をさらに発展させたい。