2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

気候変動, 環境, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

本校は、1973年の開校以来、「他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしない」との平和の信条を堅持する世界市民の育成に取り組んできました。平成29年よりユネスコスクールとなり、持続可能な開発のための教育(ESD)を通し、平和に貢献するグローバルリーダーとしての①使命感、②共感力、③問題解決への創造力の育成に力を注いでいます。
そのため、ESDに関わる「環境・開発・人権・平和」の4分野を取り上げ、全校生徒が数人のチームに分かれ、地球的課題の解決方法を探るGRIT(Global Research & Inquiry Time) =総合的な探究の時間の実施と、大学教授や専門家による地球的課題を学ぶ基礎講座UP(University Partnership) クラス、グローバル・シチズンシップ・セミナー(Global Citizenship Seminar)の開催を行っています。

探究の成果発表については、2年生がGRITポスターセッションを開催。1年間のGRITで探究してきた成果をポスターにまとめ、講堂・大体育館でポスターセッションを行いました。SDGs達成に向けたアイデアなど、それぞれがユニークな発表を行いました。
また、例年行っておりますGRITの集大成となる学年模擬国連は、「パンデミックに関する国際指針の採択」をテーマとして、11月13日にクラス単位で開催しました。

SDGs達成に向けての取り組み
昨年度は、学園生から教職員まで一人ひとりが、SDGs達成を促す実行可能な目標である「My SDGs」を掲げ、行動を起こしていくことを目的に、「My SDGs in Action」を立ち上げました。まずは、身近な達成目標を掲げ、私たちの意識を変えていくことで、SDGs達成に向けたうねりを大きくしていこうと考え、2020年10月末よりスタートしました。
今年度は、SDGsに取り組む意義をより深い視点から理解することを目的に、アフリカ日本協議会 国際保健部門ディレクターとして活躍されている稲場 雅紀 氏に講師をお願いし、「SDGs 先の見えない時代から新しい時代への道しるべ」と題して、グローバル シチズンシップ セミナーを開催しました。参加した生徒からは、SDGs達成に向けて具体的な行動に取り組みたいとの決意を記した感想が多く寄せられました。

① 環境教育に関わる取り組み
GRITの時間において、世界の環境問題を学習。加えて発足以来、連続参加を続けているNASA(アメリカ航空宇宙局)の教育プログラム「アースカム」を通した地球規模の環境観察や地域の環境保全活動をリードする、蛍の育成にも継続して取り組みました。

1月28日・7月12日の2回にわたって、Green Climate Fund(緑の気候基金)で気候変動問題に取り組んでいる富永文彦氏に講師を担当していただき、「気候変動と私たちにできること」とのテーマでUPクラスを開催しました。本校の創立者が毎年発表している「SGI提言」の中で触れた「気候変動」の問題をわかりやすく解説していただき、知識を深めました。

11月6日、枚方市役所 環境制作室主催の「地球温暖化についてのワークショップ」に代表生徒2名が参加し、枚方市内の高校生、大阪産業大学の学生とディスカッションを行いました。

令和3年度高校生・私の研究発表会(神戸大学サイエンスシップ 主催)に理科環境部が参加し、日頃、取り組んで来た研究の成果「校内の池の水質調査及び改善」を発表。兵庫県生物学会奨励賞を受賞しました。

② 開発教育に関わる取り組み
1・2年生ではSDGsやフェアトレードを学び、ウルグアイのムヒカ元大統領のスピーチや国際機関に勤務する卒業生の話を通し、開発に必要な心を学びました。

2021年1月16日、認定NPO法人テラ・ルネッサンス 創設者・理事・事務局長の鬼丸 昌也 氏に講師を担当していただき、「平和をつくるを仕事にする 〜地雷や子ども兵問題に取り組んで〜」のテーマのもと、グローバルシチズンシップセミナーを開催しました。
アフリカで起こっている紛争や貧困問題の原因が、私たち先進国の生活に深く関わっていることを教えていただき、これからどのような生き方をするべきか、改めて考える機会となりました。

③ 人権教育に係わる取り組み
英語による地球的課題探究プログラム=LC(Learning Cluster)に所属する生徒が、2020年から取り組んでいる「世界の人権問題」について探究し、成果をまとめました。

2021年1月27日には、公民権運動の大指導者、マーティン・ルーサー・キング博士の愛弟子である、アメリカ・モアハウス大学キング国際チャペルのローレンス・カーター所長との特別オンラインセッションを開催しました。
今回の特別セッションの第1部では、LC(Learning Cluster)メンバーを対象に「世界市民」についての講演を、第2部では全校生徒を対象に「命の繋がり」について、記念のスピーチをしていただきました。生徒は、宗教や人種など、全ての差異を超えて、同じ地球に住む人間として関わっていくことが大切だということを学びました。

1年生のGRITでも「あだ名は是か非か」のテーマで「人権 シナリオディベート」を行い、「いじめといじりの違い」について学年全体で考えました。2年生のGRITでは、多くのグループが「LGBTQ(性的マイノリティ)」などの「人権」に関わる問題を取り上げ、学年末のまとめに向けて探究活動を続けています。

④ 平和教育に係わる取り組み
GRITにおいて、1年生は、核兵器禁止条約・原水爆禁止宣言について学び、核拡散の背景にある考えと核軍縮に向けた動きについて基本的な流れを学習ました。3年生は、全クラスで「核・軍縮シミュレーションゲーム」を行い、平和と核廃絶への意識を高めました。

8月5日~7日、2泊3日の日程で2年ぶりとなる広島フィールドワークを実施しました。
1日目は、大久野島・毒ガス資料館と国立広島平和資料館を見学し、戦時中の毒ガス被害や原爆被害の実相とこれからの国際社会の在り方について学びを深めました。
2日目は、原爆死没者慰霊碑に献花を行い、平和式典をテレビで視聴後、袋町小学校や本川小学校などの被爆建物を見学。また、平和公園内の碑などに込められた意味を学習しました。原爆死没者追悼平和祈念館では、被爆体験記朗読会に参加し、原爆による被害を追体験しました。
3日目は、広島女学院主催のピースフォーラムにオンラインで参加し、東京校を含めた8校と交流ができました。また、広島創価学会の平和委員会の皆様とも交流させていただき、会館の展示を見学等、大変有意義な時間を持つことができました。
酷暑の3日間ではありましたが、生徒は元気に動き、学び抜くことができました。
フィールドワーク後も放課後の時間を利用し、参加生徒が集まって「核兵器廃絶」についての研鑽を継続して行っています。

模擬国連部の代表が、兵庫県の淡路夢舞台国際会議場で11月13日・14日の2日間にわたって開催された第15回全日本高校模擬国連大会に参加し、「核軍縮・核不拡散」について論じました。

国際交流
5月24日、オンラインによる「ホセ・リサール生誕160周年記念グローバルセミナー」を開催しました。フィリピンと東京・関西の創価学園両キャンパスの3地点をオンラインで結び、200名を超える東西の学園生、教職員が参加しました。リサール協会のエリフ・イバニェズ会長が、「リサール:熱心な向学の心と、何事にも挑みゆく強くたくましい心」と題して講演。ホセ・リサールの生涯を通して、幼少期からの強い好奇心やひたむきな努力、そして勇気ある行動や祖国の平和への信念についてお話をしていただきました。世界市民を希求する学園生にとって、学びの多い有意義なセミナーとなりました。

8月14日、ブラジル創価学園主催TOK発表会に東西創価高校生の代表がオンラインで参加し、プレゼンテーション交流を行いました。有意義で大充実の交流となりました。
第一部のブラジル学園生による発表には、視聴のみでしたが、東西学園より100名を越す参加がありました。
第二部には、東西学園生42名がブラジル創価学園生とのディスカッションに参加し、英語でグループ討議を行いました。

来年度の活動計画

来年度の活動計画
① 「環境・開発・人権・平和」に関わるGRIT(総合的な探究の時間)では、SDGs(持続可能な開発目標)の中からコアなテーマを見つけ、数名のチームで行う探究活動をさらに活発にしたい。11月には、GRITの集大成となる3年生全員による学年模擬国連を開催し、3年間の探究学習を完成させたい。
② UPクラスでは、新たな分野、新たな講師、新たな提携大学等を開拓し、オンラインを通じて海外からも講義をしていただける取り組みを考える。
③ フィールドワークについては、新型コロナウイルス感染症の感染状況を鑑み、実施を検討したい。現地への訪問が難しい場合はオンラインに切り替え、フィールドワークに相当する学習を行う。
④ 地元交野市の中高生とともに核廃絶署名など、「平和」への活動を行う。
⑤ 世界のユネスコスクールとのネットワークを活かす取り組みの1つとして、他校と連携して「環境・開発・人権・平和」に係るイベントを作り上げたい。
⑥ 2020年度よりスタートさせた「My SDGs in Action」をさらに発展させたい。