2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 気候変動, 環境, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等

本校は、1973年の開校以来、「他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしない」との平和の信条を堅持する世界市民の育成に取り組んできました。平成29年よりユネスコスクールとなり、持続可能な開発のための教育(ESD)を通し、平和に貢献するグローバルリーダーとしての①使命感、②共感力、③問題解決への創造力の育成に力を注いできました。
そのため、ESDに関わる「環境・開発・人権・平和」の4分野を取り上げ、全校生徒が数人のチームに分かれ、地球的課題の解決方法を探るGRIT(Global Research & Inquiry Time) =総合的な探究の時間の実施と、大学教授や専門家による地球的課題を学ぶ基礎講座UP(University Partnership) クラス、グローバル・シチズンシップ・セミナー(Global Citizenship Seminar)の開催を行っています。
上記の取り組みによって、ESD並びにユネスコスクールの活動に関心を持った生徒9名が、「ユネスコスクール オンライン近畿地方大会子どもフォーラム」に参加。11月1日・8日、15日の3日間にわたり、近畿のユネスコスクールに通う児童・生徒の皆さんとともに持続可能な学校・地域社会・世界づくりに向けた取り組みについて考え、「近畿ユネスコスクール子ども宣言」作成に携わりました。

【GRIT(Global Research & Inquiry Time = 総合的な探究の時間)の取り組み 】
GRITにおいては「地球的課題のリサーチと探究」というテーマのもと、学年に応じた取り組みを行っている。
1年次は「環境・開発・人権・平和」の4分野に関わる地球的課題を提示して、学び考えるプログラムを中心としている。(インプット中心)
本年度は「環境」においては校内の水質調査や木々の生育などの身近な自然環境から環境問題を考える校内フィールドワークを行った。
「開発」は「世界がもし100人の村だったら」を40人程度のクラスバージョンに置き直したプログラムや、フェアトレードを学びながらの貿易ゲームを行った。
「人権」は自分たちの理想な町づくりをした後、その町が「世界人権宣言」や「子どもの権利条約」に則った街づくりができているかを検証するワークを行った。
「平和」はAI兵器、核兵器に関しての最新事情について学び深めた。
学年末は、一旦、地球的課題から離れ、リサーチや探究の方法を学び、自分たちの身近なリサーチクエスチョンについて、文献を基に調べて発表するプログラムを行っている。
2年次は1年次に行った地球的課題の中でもSDGsを中心に絡めたリサーチクエスチョンを考える。そのリサーチクエスチョンを1年間深め続けて、学年末で発表会を行うプログラムとなっている。(アウトプット中心に移行)
本年度はそのリサーチクエスチョンを深めるために、創価大学の教授に対面、オンラインと2回その内容を発表し、アドバイスをいただいた。また、各専門分野の人にインタビュー等を行うオンラインフィールドワークを、グループごとに行ってもらった。発表直前には、大学院生にも入ってもらい、発表の中身や方法などのレクチャーをしていただいた。最後にはポスターセッションを1年生の前で行い、自分たちの成果を後輩に伝えている。
3年次は相手と意見を交換した後、合意形成をしていくプログラムとなっている。(合意形成を目標)
まずはクラスで12カ国の仮想国に分かれ、核軍縮に関するシミュレーションを行う。その経験を踏まえて本年度は、本校の模擬国連部のメンバーを中心に、学年全員が87カ国のグループに分かれて模擬国連を開催。「気候変動と気候変動に対するレジリエンス強化の実現」というテーマのもと、各国がどのような事情を抱えているかを調査。利害などがぶつかり合う中どの様に合意形成を図っていくかという事が最大のテーマになる。10月、11月には学年全員が一堂に会してリアル模擬国連を開催。活発な議論が交わされ、最後はこの内容に関するレポートをまとめた。

【UP(University Partnership) クラス(大学教授や専門家による地球的課題を学ぶ基礎講座)の取り組み】
・5、6月 (連続講座)「平和の文化」と人間の安全保障」 創価大学・中山雅司教授(平和分野)
・7月 「経済学の話」「統計学の話」 東京大学・藤井大輔特任講師(開発分野)
・9月 「気候変動とレジリエンス」 Green Fund富永文彦氏(環境分野)
・10月、11月 (連続講座)「アフリカの現状を踏まえた持続可能な開発を考える」 創価大学・西浦昭雄副学長(開発分野)
・12月 「仕事の心理学」 マンチェスター大学・大野正勝講師(人権分野)
・1月 「Amazing Challenge~ゆめをかたちに~」 陸前高田企画株式会社・村上清代表取締役(開発分野)

【LC(Learning Cluster)の取り組み】
1学期は4月〜6月を中心に、「世界市民とは」をテーマに、ディスカッションやプレゼンテーションなどを通して学び深めました。世界市民にとって重要な  5つの探求分野とそれに関連するSDGsを設定し、3-4人のグループに別れ更にリサーチを行いました。
グループ1:生命の相関性 SDGs16(テーマ:核廃絶)
グループ2:クリティカル・シンキング SDGs5(テーマ:ジェンダー平等)
グループ3:善悪の価値観 SDGs16(テーマ:児童虐待)
グループ4:対話 SDGs4(テーマ:教育におけるクリティカルシンキング)
グループ5:敎育 SDGs4(テーマ:比較教育:カナダと日本の教師観)
7月には、LC Special Weekと称し、夏季オンラインFWを実施。1学期の学びの総括として、世界を舞台に活躍される研究者による特別授業を実施。
・藤井大輔 東京大学特任講師、「世界市民と経済」について特別講座
・ポール・シャーマン カナダ ゲルフ・ハンバー大学 世界市民に関する創価教育研究所 所長、「世界市民と創価教育」について特別講座
・オリビエ・ウルバン 民音音楽研究所所長、「SGI平和提言と世界市民」について3日間のワークショップ
2学期は1学期の学びをベースに、グループを編成して5つのリサーチを設定。カナダのゲルフ・ハンバー大学のリサーチアシスタントも各グループに加わり、共同研究を開始。8回に渡るオンライン交流会を通して、ゲルフ・ハンバーの生徒とグループリサーチを進めることができました。

【カンボジアオンラインスタディツアー】
本年度の新たな取り組みとして、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟主催のカンボジアオンラインスタディツアーに参加した。現地に暮らす人々とオンラインで交流し、主に教育・国際協力の視点からカンボジアが抱える諸課題を学び、コロナ禍において自分たちができることを考え、行動し、国際理解を深めることができました。2日間に渡るオンラインスタディツアーでは、1日目は現地を案内してもらい、生活の様子や、学校教育を様々な理由により受けれことができなくなった人たちへの学習支援施設である「寺子屋」で学ぶ学習者と絵を通して交流することができました。事後活動としては、学んだことを学校行事の際にポスターにまとめて掲示したり、寄付活動を呼びかけたりして、理解と共感の輪を広げることができました。

【防災・減災に関する探究活動を通じての世界市民教育】
2022年6月に高校3年生が教育研修旅行の3展開するプログラムの一つとして、高知県の黒潮町を訪問し、防災学習を体験しました。事前学習として「議事喪失体験プログラム」も実施しました。2023年3月には東日本大震災の被災地を代表生徒が訪問する「東北フィールドワーク」を実施予定。全校生徒で震災復興について被災の体験者災害復興の専門家から学ぶ機会を設けるため、1月に「グローバルシチズンシップセミナー」として震災復興における自治体やコミュニティと政府との関係や外国政府との関係、NPO/NGOの役割、民間企業の役割等について直接担当した経験をもとに、自治体や民間がSDGsの展開を推奨し、その普遍性と課題を研究されている村上清氏を講師に招き、全校生徒で学習しました。

【国際デーの取り組み】
・ユネスコスクール 里山保全の取り組み(10/23)
環境保全の取り組みを、交野市県境衛生課や交野市環境基本計画推進会議と連携して里山保全の竹林整備を実施した。
・「国連デー」(10/24)を記念して、高3学年模擬国連(10/29、11/12)
気候変動と気候変動に対するレジリエンス強化の実現」というテーマのもと、3年ぶりに学年全員が一堂に会してリアル模擬国連を開催。
・「世界津波の日」(11/5)を記念して、全校避難訓練(11/2)
・「国際寛容デー」(11/16)を記念して、創立記念日記念講演(水谷修氏)
・「みどりネット」の会議に参加(1/12)
「交野市の抱える問題の解決に貢献したい」「教室での学びで終わらず実践に移せる 生徒に育てたい」と訴えたところ、大きな期待を寄せて頂いた。

来年度の活動計画

来年度の活動計画
① 「環境・開発・人権・平和」に関わるGRIT(総合的な探究の時間)では、SDGs(持続可能な開発目標)の中からコアなテーマを見つけ、数名のチームで行う探究活動をさらに活発にしてまいります。恒例の3年生全員による学年模擬国連はぜひ開催したいと思っています。GRITの集大成となり得る、価値あるものにしてまいります。
② UPクラスでは、新たな分野、新たな講師、新たな提携大学等を開拓し、オンラインを通じて海外からも講義をしていただける取り組みを考えます。
③ フィールドワークについては、従来の広島、東北、東京、海外の4フィールドワークを復活させます。また、日帰りで人権、平和、防災にかかわるテーマでの関西フィールドワークを実施します。
④ 地元交野市の中高生とともに核廃絶署名、里山保全活動など、地域を意識した取り組みを行います。
⑤ 世界のユネスコスクールとのネットワークを活かす取り組みの1つとして、他校と連携して「環境・開発・人権・平和」に係るイベントを開催します。
⑥ SDGs達成に向けた活動を新たに立ち上げたいと思います。