2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 気候変動, 環境, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等

本校は、1973年の開校以来、「他人の不幸の上に自分の幸福を築くことはしない」との平和の信条を堅持する世界市民の育成に取り組んできた。平成29年よりユネスコスクールとなり、持続可能な開発のための教育(ESD)を通し、平和に貢献するグローバルリーダーとしての①使命感、②共感力、③問題解決への創造力の育成に力を注いできた。
そのため、ESDに関わる「環境・開発・人権・平和」の4分野を取り上げ、全校生徒が数人のチームに分かれ、地球的課題の解決方法を探る探究型総合学習GRIT(Global Research & Inquiry Time)と、大学教授や専門家による地球的課題を学ぶ基礎講座UP(University Partnership) クラスを開講している。
上記の取り組みによって、ESDに関心を持った生徒が、「第9回ESD国際交流プログラム」に応募。参加者8名のうちの一人に選ばれ、3月24日(日)から29日(金)までドイツ・ハイデルベルグとフランス・パリに派遣され、現地のユネスコスクールとの交流の他、UNESCOパリ本部・UNESCO日本政府代表部・三菱UFJ銀行パリ支店などを訪問した。帰国後、学内での報告会を通して、ESDやユネスコスクールの重要性を強く訴えたため、生徒の意識は大きく変容した。
① 環境教育に関わる取り組み
GRITの時間において、世界の環境問題を学習。加えて自然豊かな本校のキャンパスを10のエリアに分け、池の水質調査や植物の生態や分布などフィールドワークを実施。また、発足以来、連続参加を続けているNASA(アメリカ航空宇宙局)の教育プログラム「アースカム」を通した地球規模の環境観察や地域の環境保全活動をリードする、蛍の育成にも挑戦した。
② 開発教育に関わる取り組み
高校3年のGRITにおいて、「貧困により教育を受けられないすべての子どもへの公平かつ質の高い初等教育の実現」をテーマに学年350名全員による模擬国連を実施。数名が1国の大使となり、100カ国が一同に集まり国連総会を行った。生徒たちは担当国について徹底してリサーチし、自国の利益は当然のことながら、世界の視点から問題解決すべき事を学び、「教育」をめぐる課題について探究した。1・2年生ではSDGsやフェアトレードを学び、ウルグアイのムヒカ元大統領のスピーチや国連大学に勤務する卒業生の話を通し開発に必要な心も学んだ。
③ 人権教育に係わる取り組み
世界の人権問題を調べ、ポスター発表会を行った。また身近な問題として「いじめといじり」をテーマにディスカッションを行った。またUPクラスにおいて大学教授より3回にわたり「21世紀の平和と人間の安全保障」について特別講義を行って頂き、人間の尊厳や人権・人道に立脚した21世紀世界の秩序構築の可能性と課題について考察した。GRITでは多くのチームが「人権」に関わる問題を取り上げ、その実態と対策を発表するなど、生徒の意識は大きく向上した。
④ 平和教育に係わる取り組み
広島でのフィールドスタディツアーの取り組みとして「核廃絶署名」を最寄りの駅やスーパー前で実施。さらに平和意識調査を友人や一般人を対象に行った。その上で核兵器の現在や広島長崎の被爆の実態についてリサーチし、「核・軍縮シミュレーションゲーム」など行い、平和と核廃絶への意識を高めた。

来年度の活動計画

① 「環境・開発・人権・平和」に関わる探究型総合学習GRITでは、SDGs(持続可能な開発目標)の中からコアなテーマを見つけ、数名のチームで行う探究活動をさらに活発にしたい。その集大成である高校3年生による学年模擬国連については、2019年度はSDGsにも取り上げられている「教育」にテーマを絞った。2020年度もSDGsに深く関わる問題をテーマにして取り組みたい。
② UPクラスでは、新たな分野、新たな講師、新たな提携大学等を開拓し、ICTを駆使し海外からも講義をしていただける取り組みを考える。
③ 広島・東京・東北のフィールドスタディツアーの参加生徒を増やし、各地で取り組んでいるESDの学びを実際に体験できるようなプログラムを考えたい。
④ 地元交野市の中高生とともに核廃絶署名など、「平和」への活動を行う。
⑤ 世界のユネスコスクールとのネットワークを活かす取り組みの1つとして、他校と連携して「環境・開発・人権・平和」に係るイベントを作り上げたい。