- でんえんちょうふがくえんちゅうとうぶ・こうとうぶ
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田園調布学園中等部・高等部
- Den-en Chofu Gakuen Junior & Senior High School
- 種別中等教育学校または中高一貫校等 地区関東地区
- 主な活動分野減災・防災, 環境, 国際理解, 平和, 人権
所在地 | 〒158-8512 東京都世田谷区東玉川2-21-8 |
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電話番号 | 03-3727-6121 |
ホームページ | https://www.chofu.ed.jp/ |
加盟年 | 2012 |
2023年度活動報告
減災・防災, 環境, 国際理解, 平和, 人権, 貧困
本校は教育理念として「捨我精進(自分本位の我を捨て、目標に向かって努力し続けること、他人(ひと)よかれと行動すること)」を掲げ、またESDへの関わりを通して「広い視野を持ち、よりよい社会の実現に向けて常に探求できる人」を育てようと努めている。今年度行った主な活動を①「人権・平和・国際理解・貧困」、②「環境・生物多様性」、③「減災・防災」に分け、以下に活動報告を記載する。
①「人権・平和・国際理解・貧困」に関わる活動
・高等部1年学習体験旅行(5泊6日/3月に実施)
例年3月、高等部1年生が九州の各地を巡り、現地の方々の話を伺いながら様々な切り口で学びを深める。鹿児島において薩摩焼陶工第15代沈壽官氏の話を伺い、九州の朝鮮陶工や薩摩焼の歴史、これからの時代の国際理解について考えを深めた。長崎では、被爆者の方々から直接話を伺い、それぞれの研究テーマをもとにフィールドワークを行った。
国語の授業では、学習体験旅行の事前学習と関連させ『故郷忘じがたく候』(司馬遼太郎)、『祭りの場』(林京子)を読み、平和や国際理解に関してディスカッションをしながら読解を行った。
・フィリピンの学生とのオンライン交流
フィリピン現地の同年代の学生と、オンラインでの交流会を数回実施した。それぞれの国の学校の魅力や、自分たちの住む地域の紹介などをテーマに、少人数のグループでの話し合いを行った。来年度5月にはフィリピンから学生が本校を訪れ、また8月にはこちらから現地に赴くことが予定されるなど、国際理解の輪を広げる活動となった。
・トビタテ!留学JAPAN
例年本校から選考に応募しているが、今年度も生徒1名のプランが採用され、ルワンダに赴き活動を行った。活動内容は現地のシングルマザーに対する支援を目的としたもの。今後本校の生徒への活動報告と情報交換も実施予定である。
・カナダ・オーストラリアホームステイ
中等部3年生では、コロナウイルスの影響で長く中止となっていたホームステイが再開され、カナダ・オーストラリアそれぞれの国の家庭にお世話になった。現地の風土に触れ、食や文化などをコミュニケーションの中で学んだ。
・トルコ・シリア地震募金
2023年に発生したトルコ・シリア地震を受け、生徒会執行部・評議委員会の呼びかけによる募金活動を行った。単に募金を行うだけでなく、募金が必要となる背景などを全校に訴えかける放送を行うなど、理解を求めた。募金はユニセフを通じて現地に送った。
・探究
本校では2022年度より「探究」の授業が導入されている。生徒の興味関心に基づき、様々な観点や方法での研究を進めており、「社会的・国際的な課題」の解決に向け取り組んでいる生徒も多く見られた。活動の内容は多岐にわたるが、以下に国際理解に関連する活動の一例を挙げる。
・バリ島研修(4泊5日/3月)
探究の活動の一環として、バリ島での研修を行った。高等部1年生30人が参加した。オーバーツーリズムの実態調査を目的とし、現地を視察しながら課題解決に向けたフィールドワークを進めた。現地グリーンスクール生徒と共に取り組みを行った。また研修の準備段階として、事前研修を5回行っている。
・DIVE(高等部1年・2年対象の探究プロジェクト)
一昨年の初年度は夏季休業を利用し、高等部1・2年生の希望者約50名を対象に、3日間の海外オンライン研修を実施した。昨年度は高等部1年生全員が、探究の授業の一環として研修を受けた。環境・貧困問題、多様性、獣医療、宇宙工学といった10テーマを選択し、それぞれの分野のスペシャリストとオンラインでワークショップ等に臨んだ。
②「環境・生物多様性」に関わる活動
・“届けよう、服のチカラ”プロジェクト
生徒会執行部・評議委員会の有志が主導し、“届けよう、服のチカラ”プロジェクトに参加した。有志生徒はプロジェクトの準備段階として、SDGsや募金の意義、回収した服の利用方法などについて学習し、その内容をもとに生徒への呼びかけを行った。本校の学園祭では生徒のみならず外部の来場者にも宣伝、呼びかけを行い、多数のリサイクル服を集めることができ、各国難民キャンプへの支援に繋げた。
・朝掃除、落ち葉掃き
中等部2年生が例年行っている。始業前の朝、担当生徒と担当教員が学校周辺の清掃を行った。年間を通して毎朝行われ、当番制で学年の全員が参加した。また秋口には、中等部3年生全体が協力し、学校周辺の落ち葉掃きも行っている。
・土曜プログラム
授業の無い土曜日に、年に数回実施される「土曜プログラム」では、生徒の興味関心にあわせて受講することができる様々な講座が用意されている。自然に関するプログラムでは、本校近くを流れる多摩川の自然や歴史、生態系、野鳥の観察などを通して、地域の自然に対する理解を深めた。
・高等部1年学習体験旅行
①にも記載した学習体験旅行では水俣を訪れ、現地の方の話を聞きながら、水俣病をはじめとする公害問題について学んだ。関連する学習として『苦海浄土』(石牟礼道子)を国語で扱い、また映画『MINAMATA―ミナマタ―』を視聴するなど、様々な視点から水俣病を理解する活動を行った。
・教員の取り組み
教職員でEMS委員会(田園調布学園中等部・高等部環境マネジメントシステム)を立ち上げ、環境問題への意識向上に努めている。総務部が中心となって定期的に校務センターの整理整頓の意識喚起を行い、またリサイクルボックスを整備し、ゴミの削減に努めている。
③「減災・防災」に関わる取り組み
・高等部1年 1日校外学習 東京都慰霊堂見学
東京都慰霊堂を訪れ、平和学習を行うとともに、関東大震災の被害やその後の防災観について学んだ。
・防災訓練
年に2回(今年度は5月、9月)に実施。地域別の緊急時下校グループによる下校訓練も行った。
来年度の活動計画
上記活動を単発の独立したものにせず、それぞれの活動が国際理解や環境理解などの意識に繋がっていくよう実践を続けたい。
「探求」の授業が大々的に導入されたことにより、学校全体や学年といった単位だけでなく、生徒個人が自身の興味関心に基づき、能動的に社会的・国際的な課題解決に取り組む流れが生まれている。学校としては、生徒発信の活動を幅広く後援し、国際社会の中での学園の役割を一人ひとりが意識して過ごせる環境作りを行っていきたい。
加えて「国際理解」に関しては、上記の通り海外の学生との交流が広がっており、来年度は日本とフィリピン現地での相互交流が予定されている。現在は調整中ではあるが、関わりのある北京第八中との交流会も計画されている。さらに、来年度より中等部3年の学習体験旅行は、例年の関西に加え、新たに「台湾・韓国」を行き先として選択できるよう準備を進めている。こちらに関しても、現地学生との相互交流が次年度に予定されている。こういった機会を新しく設けることで、生徒が国際理解に興味を持つきっかけをより多く用意していきたい。
環境への意識に関して、「“届けよう、服のチカラ”プロジェクト」は下級生への引継ぎを行い、来年度以降も継続しながらさらに規模を大きくできるよう計画をしている。上記活動報告に記載の通り、学校周辺の環境理解は継続して行いつつ、それを地域社会や日本の環境、ひいては世界の環境に目を向けることのできる活動へと拡大できるよう、生徒会執行部や委員会を中心に呼びかけを行っていきたい。