2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED), その他の関連分野








横浜シュタイナー学園 2022年度活動概要

私たちは、SDGsやESD for 2030への取り組みを〈世界の全体性を人間に取り戻す教育アプローチ〉と捉えなおし、カリキュラム、教授法に始まり、クラス編成、保護者を巻き込んだ学校運営までを包括するホールスクールアプローチにより、それを実現しています。

  • 物語と豊かなイメージによって多様性をもつ世界像を自らの裡に育む学び
  • 学びのモチーフを、詩、歌、身振り、絵画、演劇などの芸術的な要素のなかで扱い、その芸術的な活動(意志的要素)と、そこから生まれる情操(感情的要素)を通して、生き生きと内面に下ろしてく学び
  • 競争や比較されることのない安心感の上に、ありのままの自分を肯定し、のびのびと能力を伸ばすことのできる学び
  • ひとまとまりの単元を数週間連続して扱うことで、その世界に没入する深い学び
  • 年度をまたがる長いスパンで学びを構築することで、ゆったりと安心して歩を進めていく学び
  • 以上のすべてから生み出される力強い内発性に基づく学び
  • そして、何よりも自らの裡に深く豊かな精神性を育み、それを自覚し、他者の精神性、世界の精神と交歓していく学び

このような学びこそが、内面の充足を促し、現代社会に広がる物質的な飢餓感から来る大量消費とエネルギー依存克服の決め手であると実感しています。今年度もこの学びをしっかりと展開することができたことを確認するとともに、以下に今年度の活動計画ごとの振り返りを行います。

※ 〈世界の全体性を人間に取り戻す教育アプローチ〉については2023年度活動報告をご参照下さい。
〈世界の全体性を人間に取り戻す教育アプローチ〉

  1. 横浜北部最大の里山での環境保全活動

    7年生による田の畔付け

    横浜北部最大の里山「にいはる市民の森」での教育活動は多岐に及んでいますが、昨年度より高学年合同の里山保全活動が、にいはる里山交流センターのご協力により始まりました。昨年度は、高齢者が入りにくい急斜面でのセイタカアワダチソウ駆除を行いましたが、今秋、作業した斜面にほとんど生えず、この取り組みが非常に効果的であることがわかりました。交流センターの方からも、「とてもありがたい結果で、これからもぜひお願いしたい」とコメントをいただきました。今後も植生がどうなっていくのか観察を続け、作業を継続していきます。

    今年度は、3年生がお借りしている田んぼとは別に、谷戸田を守る会の広い田んぼで田んぼの畔付け、田の草取り、稲刈りを7年生が行いました。これらは里山における田んぼの意義について体験的に学ぶ貴重な機会となりました。加えて、新治市民の森愛護会との協働として、竹林の整備と利活用を学ぶことを目的として、竹の切り出し、竹炭づくりの見学、竹炭に使う竹の準備作業を行いました。愛護会の方からは、「中学生という時期に地域の里山の現状や課題について学び、実際に身体を動かして課題解決のための作業することは、大変意義があることだと思う」と、里山保全活動のへの後押しもいただき、二つの活動は2023年度も活動継続が決まっています。

    活動の詳細は、地域課題への取り組みをまとめた資料をご覧下さい。

  2. 体験型『暮らしと仕事』学習プロジェクト

    今年の3年生は竪穴式住居づくりに挑戦しました

    【参考】

    第13期SDGsアシストプロジェクト
    横浜シュタイナー学園「循環型社会理解の基礎となる体験型『暮らしと仕事』学習プロジェクト」

    今年度は、第13期SDGsアシストプロジェクト助成に採択していただき、その助成で購入した道具を用いてプロジェクトに取り組んだほか、高学年の公園愛護活動でも道具を活用させていただきました。

    第1期生の時代に同じプロジェクトを経験した教員が第16期生とともに今回のプロジェクト(牧畜、稲作、畑作、竹林の竹を使った家づくり)に取り組んだが、交流センターとの関係が構築された結果、第1期の時代にはできなかった豊かな里山活動ができたと感激していました。子どもたちも、全身を使った教室外活動を存分に体験し、一回り大きくなった1年となりました。

  3. カリキュラム研究 → 定期レビュー

    昨年に計画したカリキュラム研究は、今年度、定期レビューの対象になったことから、レビューへの対応に振り向けることにしました。定期レビューの結果報告を以下に公開しています。

    2022年度定期レビュー結果報告

  4. その他(保護者の活動など)

    昨年に引き続き、イスラム教・イスラム文化の学び、保護者による校舎の改装プロジェクトなども多数実施し、豊かなホールスクールアプローチの実践が行えたと思います。また、新型コロナ感染症への対応についても、横浜シュタイナー学園の対話文化を活かして、ホールスクールで取り組んできたことを付記します。

以上をもって、昨年立てた活動計画の多くが達成されたことをご報告いたします。

以上、2022年度活動概要(年次報告)


来年度の活動計画



横浜シュタイナー学園 2023年度活動計画

ホールスクールアプローチで取り組む〈世界の全体性を人間に取り戻す教育アプローチ〉を来年度も継続して取り組み、さらなる深化を目指します。その中から、今回の計画書では、以下の取り組みに焦点を当て、報告書で振り返ります。

  1. 〈暗示型ホールスクールアプローチ〉見える化プロジェクト

    今年度の定期レビューの経験も踏まえ、来年度はASPNetの役割、SDGs、ESD for 2030について教員全員で学び直し、ユネスコスクールとしての横浜シュタイナー学園を振り返る取り組みを行います。この取り組みは、次の手順を踏んで実施します。

    1. ユネスコスクールの目標や理念を学び直す研修を実施

      • ユネスコ成立の背景とユネスコ憲章
      • 学習の4つの柱(ドロールレポート)
      • ESDおよびESD for 2030
      • SDGs
      • SDGs達成に貢献するための学びの3領域

        1. 地球市民教育(GCED)と平和・非暴力の文化
        2. 持続可能な開発のための教育(ESD)と持続可能なライフスタイル
        3. 異文化間学習と文化の多様性および文化遺産の尊重

      これらを復習した後、以下について検討する

      • これらが学園の教育の実践や理念とどのように呼応し合うか
      • ユネスコスクールとして意識すべき要素
      • サステイナブルスクールとして地域社会に発信、連携していくべき要素
    2. 成果を学園紀要「野ばら」にまとめる
    3. 紀要をユネスコスクール関係者などに贈呈し、フィードバックしていただく
    4. ユネスコスクール関係者や地域の方々を対象に公開報告会を開催する。ユネスコスクールの大会などでも積極的に報告を行う

    なお、上記プロジェクトを、第14期SDGsアシストプロジェクト助成に申請しました。

  2. サステイナブルな社会基盤構築のためのネオICT教育形成プロジェクト

    9年生のコンピュータエポック

    ICTテクノロジーの活用がサステイナブルな社会の基盤のひとつに数えられることは共通認識になっていると思いますが、その導入の学びについては多様な取り組みがあってしかるべきだと考えます。そこで、横浜シュタイナー学園が10年にわたって取り組んでいる革新的なコンピュータとインターネットの学びについて報告にまとめます。

  3. 保護者から始まる海と気候変動プロジェクト

    保護者も学校づくりを支える横浜シュタイナー学園の特徴を活かし、海と気候変動について考え、取り組んでいく保護者イニシアティブを学園としてサポートしていきます。

  4. その他

    その他の取り組みについては、すべて継続事業とします。

以上、2023年度活動計画