• やまのうちちょうりつみなみしょうがっこう
  • 山ノ内町立南小学校

  • Yamanouchi Municipal Minami Elementary School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野生物多様性, 海洋, エネルギー, 環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 福祉, 健康, 食育, エコパーク

所在地 〒381-0402 長野県下高井郡山ノ内町大字佐野1181番地1
電話番号 0269-33-3602
ホームページ http://www.town.yamanouchi.nagano.jp/kyoiku/minamisho.html
加盟年 2017

2023年度活動報告

活動分野

生物多様性, エネルギー, 環境, 福祉, 健康, 食育, エコパーク

はじめに
本校はユネスコスクールとして,国内のESDの推進拠点という役割を意識しながら学習活動を展開しようとしている。私たちはESDを,地域学習,環境学習といったものにとどまらず,地域と共に学び,地域に貢献するための行動化を促す学びであると考える。それが地域の持続可能性を高めることであり,子どもたちにとっても将来の幸せを追究することにつながると考えている。今年度は目指す子ども像を次のように設定した。
〇 複数の事象の関連性に目を向け,課題の解決に向けて多様な他者と協働する子ども
〇 課題を発見し,自分の問題としてとらえ、本当かと問い直し,多面的に考えを深める子ども
〇 身の回りの他者と関わりながら,自分の世界を広げていく子ども
〇 豊かな原体験の中で,自分のやりたいことを満たし互いを認め合う子ども
今年度も総合的な学習の時間や生活科と他教科との関連性を考慮しながらESDカレンダーを作成し、目指す子どもの姿に迫っていきたいと考えた。
各学年の学習
1年生テーマ 「はたけはおいしいね ~栽培活動を通して~」
外で遊ぶこと、自然に触れ合うことが大好きな一年生、また、調理をしたり、食べたりすることが大好きな一年生。また、兄姉の話から、アサガオの一人一鉢栽培に、とても期待していた。当初は、「おさんぽ」から校外での活動を計画したが、子どもたちの興味関心から、「作って食べる」活動を中心に仕組んだ。
最初は自分たちがおいしく食べることだけを考えていた子どもたちが、「アサガオの種、来年の一年生にあげたいな。」「読み聞かせをしてくれた3年生にポップコーンをつくってあげたいな。」と他者への意識に広がっていった。特に、兄弟学級の6年生に対しては、「一緒におでんパーティーをしたいな」「僕たちがおいしかったキャラメル味のポップコーン、あげたいな」と様々な活動を願うようになっていった。
コロナの関係で「食」に対しての規制が大きく、子どもたちの願い通りの活動がなかなかできずにいる。しかし、今年の体験が2年生でのりんご作りにつながっていくことと思う。さらに、自然豊かな地域でのこの活動が、地域の特徴への理解、さらには地域への愛につながっていくものと願っている。

2年生テーマ 「りんごを育てよう」
子どもたちは、4月にりんごの畑に行ってもりんごの木に触れることなく、これから始まる学習に見通しや関心を持てずにいた。ところが、6月の摘果活動で初めてりんごの木に触れ残したい実を選んでから様子が変わり、学習に主体的になっていった。りんごに働きかけたことで、自分たちのりんごを大切に育てたいと思ったのではないかと考えられる。その後、子どもたちはりんご栽培に関する図書を探し、その記述や聞き調べたこと、生活経験を基に自分たちにできることが何かについて考え合った。このときに「りんごの観察をしていただけでは、りんごを育てることができない」ということを語っていた。本学習のよさは次の点が挙げられる。①りんごに働きかける活動が、子どもたちにりんごを大切に育てたいという思いを生み、自分たちができることについて考え活動する姿を育てる。②子どもたちが多くの人によって支えられ、県内外の方々とつながっていることを感じた。③自分たちで考え自己決定しながら歩む学習を大切にしてきたことにより、子どもたちにみんなで考え合おうとする姿が育ってきた。課題は、大人の力を借りなければりんごの栽培ができないことである。

3年生テーマ 「山ノ内町のSDGs探検隊!」
昨年度のりんご販売の体験から、山ノ内町(南小学校区中心に)の良さを見つけたいと願い、町探検を通して町の良さなどを探してきた。南小学区には温泉や果樹園が多いことや、ソーラーパネルなどがあることを知り、豊かな水源がないと温泉や果樹園は作れないことから、水や電気は有限性があることに気づいてきた。また、そういった豊かな自然や住みやすい街を守るために、路上に落ちているゴミ問題をなんとかしたいという思いが強まった。昨年の3年生がゴミについて学習していたことや「応援!みんなのチャレンジ!」で川のごみ拾いをしている小学生の存在を知ったことから、「自分たちもゴミ拾いをしたい。」と願い、ゴミ拾い活動を始めたが、路上のごみが思った以上に多いことから、どうしたらよいかを考えた。はじめは「ポスターを貼るだけではゴミは減らない。」という意見が多く、隔週でゴミ拾い作戦をすることでごみが減ってきているように感じ、「自分たちが拾えばいい。」と考えていたが、町探検をする中で昨年の3年生が作成したごみのポスターを見つけ、「やっぱりポスターを貼ると、自分たちみたいに見る人がいて、ゴミをもっと減らせるかもしれない。」と考えが変わっていった。そこで、自分たちが拾ったごみを絵にかいて貼り合わせたポスターを作製した。ポスターに入れて伝えたい言葉も「なんでごみを捨てたらだめなのか、考えてもらえるような言葉にしたい。」という意見が出て、子どもたちの中で少しずつ環境への関心が高まっているように感じている。

4年生テーマ 「みんないきてる みんなでいきてる」
~みんなが安心してくらせる世界に~
歩きスマホの原稿が信毎にのるそうです。今までの障がいのある方のことを勉強してきて,それを根拠として考え「歩きスマホは危ない。危険だ。」と感じ,作文にして訴えたいと決め,そして作文を書くという行動を起こし投書しました。これは,今年南小学校が目指している「根拠を持って考え,決め,行動する。」姿そのものだと思いました。みなさんの投書を読んで歩きスマホがへるといいですね。(N030号のお便りから)

5年生テーマ 「志賀高原の豊かな自然を通して考える持続可能な町づくり」
田んぼの観察から始まり,7月の高原学習(志賀高原)やESD体験学習(笠ヶ岳)を通して,子どもたちの中に「志賀高原の豊かな自然を大切にしたい」という気持ちが強くなっていった。9月・10月には町役場の養田さんからエコパークのことや山ノ内の観光業などのお話を聞いたり,登山ガイドの清水さんからは志賀高原で増えている外来種の話を聞いたりした。その中で,「志賀高原の豊かな自然を守りながら,人口減少が続く山ノ内町をどう発展させていくか」ということの話し合い活動をした。結論を出すのは非常に難しいが,自分事として考えていきたい。

6年生テーマ「佐野遺跡の魅力再発見 竪穴住居をつくって地域の憩いの場にしよう」
私たちが住んでいる地域の魅力的なものといえば、志賀高原、渋温泉、湯田中温泉、スキー場など、南小学区にないものばかりが思い浮かぶ子どもたち。一方で、身近な地域には国指定の史跡「佐野遺跡」があるが、その価値を理解している子ども達は少ない。佐野遺跡を学ぶことを通して、「縄文人がこの土地に暮らしていたことに驚いた」や「自給自足のくらしは持続可能な社会づくりにつながっている」など遺跡に関心を寄せていた。子ども達からは、「土器をつくりたい」「住居を建てたい」という意見が寄せられたため、それらを課題としてどのようにすればよいか探究した。縄文人のくらしの知恵を知り、この豊かな土地の魅力を感じられることができた。

来年度の活動計画

・外部の有識者との連携体制
ESDカレンダーを作成しながら活動を進めているが、活動を展開していくにあたって、担任も何に焦点を当て、どんな活動をしていけば、ねらいが達成できるか、迷いや不安が多い。そこで、各学年の取り組みについて意見交換をする場を何回か設け、外部有識者(県生涯学習課指導主事)に入っていただきアドバイスを受けるようにしたい。活動への意味付けや考えられるこれからの展開について示唆をいただくことで、担任も自信をもって子どもたちと取り組むことができるようにしたい。
・交流活動の推進
多様な見方・考え方に触れる機会を大事にするということからも,来年度も子どもたち同士,職員間の交流の場を探りたい。それが価値観を揺さぶられる機会となるのではないだろうか。本校は陸域の小さな学校であるので,海域の学校,都市部の学校,温暖な地域の学校,本校と同様にユネスコエコパーク内の学校などとかかわりをもてるようにしていきたい。そのためにも,職員が積極的に研修などに参加し,つながりの輪を広げていくことを大切に考えていきたい。
・中学校との連携
中学校との連携の在り方も大きな課題である。まずは、お互いどんな活動をしているか知るところから始めたい。今年度はやまのうちESD交流会で6年生が活動したことを山ノ内中学校の先生にもオンラインで見ていただいた。ESDカレンダーを交換するなど、本校でも中学校の活動の様子について職員(内容によっては児童)も知ることで、小中9年間を見通したねらいや活動を決め出していきたい。

過去の活動報告