2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 福祉, 持続可能な生産と消費, その他の関連分野

当校は,「素直に思いをかわし合うこと」を研究テーマとして,これまでの教育活動をESDの視点で捉え直し,再編成していこうと考え,ESDの実践を通して,自らの思いを表出し表現していく力,多様な見方・考え方,批判的思考力の育成を目標とした。ESDでは「つなぎたい私たちの町のもの・ひと・こと」を全体テーマとし,2019年度は,生活科や総合的な学習の時間を柱に,①町に点在する共同浴場の魅力を見つめ直す学習,②地域を流れる「夜間瀬川」におけるコミュニティ作りや防災に関わる活動,③大根の栽培と利用から自他の健康について考える学習,④野菜づくりから始まった他学年と交流を深める学習などを行った。

① 町に点在する共同浴場(温泉)の魅力を見つめ直す学習(5年)

  5年生は子どもたちが「共同浴場(温泉)」を担任に紹介し,自慢の場所なのにどんな場所かよく分からないという現実に気づいたことで学習が始まった。子どもたちは何度も共同浴場に入り,共同浴場の「話しやすくて楽しい場所」という価値に気づいた。地域の方は,共同浴場をどうとらえているのか知りたいと考えた子どもたちは,保護者や地域住民にアンケートを実施した。結果を分析し,共同浴場が利用され続ける理由は,「人との関わりが生まれる場であるから」と結論付けたが,共同浴場を維持・管理する困難さとも直面した。今後は,アンケート結果を発信し,自分たちの考えたことを多くの方に伝える活動をすすめる。そして,どうすれば共同浴場が持続可能な地域資源となるか追究していく。

② 地域を流れる「夜間瀬川」におけるコミュニティ作りや防災に関わる活動(6年)

  6年生は4月から地域を巡った。そこで子どもたちは,空き家,廃旅館など地域の現実と出会った。探究課題について話し合った子どもたちは,地域巡りの中で触れた「夜間瀬川」を決めだし,「大人になっても地域の人が集まる夜間瀬川」を実現したいと考え,「高齢者」「堤防のつくり」を問題として,建設事務所,社会福祉協議会,信州大学などの協力を得て問題について考えを深めた。町子ども議会では「堤防へのベンチの設置」「花壇・プランターの整備」がコミュニティの場としての夜間瀬川の実現につながると提言した。管理面などで堤防へのベンチの設置が難しいという現実に直面した子どもたちは,話しやすい環境を整えることは,川に限らずどこでも大切だと考え,学校にベンチを置きたいと考え活動を始めた。

③ 大根を栽培・調理し栄養素の働きから自他の健康について考える学習(3年)

 3年生は飼育しているウサギのえさ代をまかなうために野菜を栽培し,販売する活動,その野菜を調理する活動を展開した。1,2年時に大根を通して動植物の連鎖について目をむけた子どもたちは,収穫した大根でサラダや味噌汁を作ろうと計画した。調理に使う食材を決定するにあたり「栄養素の3つの働き」について学習した。食品の組み合わせを決める場面では,一人ひとりが食生活や栄養素や家族のことを考えて食材を決め,これからの食生活に生かそうという意欲を高めた。

⑤ 野菜作りから始まった他学年との交流を深める学習(1年)

1年生は色々な野菜(じゃがいも・ポップコーン・大根など)を栽培した。収穫をすると日頃一緒に遊んでくれる6年生や他の学年の友だちにも食べてほしいと考え,ポップコーン屋さんを開き,全校にプレゼントしたいと願った。ポップコーンの作り方を2年生に教えてもらい自信が持てた子どもたちは,店の開店に向けて,包装紙,チラシ,引換券などを作り,各学年の教室を訪問して宣伝をした。当日は元気な声で呼び込み,活動を楽しんだ。活動後に届いたお礼の言葉を読み,喜んでもらえたことを実感し活動に手ごたえを感じた。

来年度の活動計画

2020年度は,SDGsとのかかわりを見通した活動を展開したい。そのために,グランドデザインや年間指導計画,ESDカレンダーの中にSDGsのどの目標につながる内容であるかを示していけるようにする。さらに,「ホールスクールアプローチ」が実現できるようにしていきたい。そのために学級での活動にとどまらず,児童会の環境美化委員会をESDの推進に児童が主体的にかかわるための委員会として設置し,収集活動や地域の清掃活動をする予定である。また,これまで以上にコミュニティスクール運営協議会との関連を強め,SDGsに加え地域の課題を見つめる活動(SDGs+α)という考え方で学習をすすめたい。また,職員にも子どもたちにもユネスコスクールの役割やとりくみが分かりやすい形で示せるよう検討している。