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加盟年 2012

2024年度活動報告

活動分野

環境, 食育

① オレンジの種

給食にオレンジの種が入っていて、種を見つけるなり「これ埋めたい!」と子どもから声が上がった。

その午後、植えてみることに。小道の土をスコップで掘り、オレンジの種を植え、「大きくなあれ」のかけ声でじょうろでお水をかけた。植えた直後に「芽、出てるかな」「見に行ってみようよ」とお友達同士で会話していた。その後も給食でスイカなど、種があるものを見つけると「埋めてみたい」と声が上がっている。小道の種は中々大きくならなかったのでプランターを用意して、オレンジとスイカの種を植えてみた。「何色の芽が出てくるかな」「どんなふうに大きくなるかな」と会話している様子があった。数日後に先にスイカの芽、次にオレンジの芽が出てきた。「スイカの芽が出てる!」「オレンジは遅かったね」と、日々プランターを観察しながら過ごしている。保育者が声をかけずとも、子どもたちでじょうろでお水をあげる姿が見られる。

継続して育てていたある日、「オレンジの葉っぱが虫に食べられてる…」と子どもから報告を受けた。よく見てみると、オレンジの葉っぱにアゲハ蝶の幼虫が二匹もくっついていた。これを機にクラス会議で「この虫に、オレンジの葉っぱをあげても良いか」と質問してみた。すると、「あげたい!!」が過半数だったがが数人の子は「あげたくない」と言っていた。その後、1人だけ頑なに「あげたくない」と主張する子がいたのでお話を聞いてみると「オレンジをみんなで食べたいから」と強い意志を持っていた。そこで、このオレンジの葉っぱはクラスで引き続き育て、幼虫にはみんなで葉っぱを持ち寄ることにして、クラスで飼うことになった。生活の中で、「これはテントウムシだよ」「イモムシ」「アオムシ」「アゲハの幼虫だよ」と、色々な考察が飛び交っている。

お外に出る時も「虫にあげる葉っぱを探しに行こう」と声が上がっったり、実が付いている葉っぱを指さして「これ食べるかも」と言っている姿がある。

② ひじきの旅

給食のひじき煮を見て「ひじきってどうやって取るのだろう」と疑問が湧いたとともに、ひじきは海の中にいるらしいというヒントを得てひじきへの興味がスタートした。調理室の先生から乾燥ひじきをもらうと、給食室前の海の中の様子のイラスト図を見に行き、その図のにひじきを探した。魚のヒレのヒダヒダや、お腹の鱗を削ったものがひじきなのではないかと予測を立てる。調理の先生から追加で乾燥「昆布」「ワカメ」をもらい、同様に図の中に探すが、見つからない。
すると、海の中の生き物であることにヒントを得て「水に入れて見たらどうか」と言いだす。水に入れた後に、もう一度海の中の様子のイラスト図を見に行き、その図を探す。やはり、魚の背びれを見てひじきではないかと発言する。同時に昆布やワカメは、正しいものを見つけられた。
なかなか見つからないひじきを探すために、身近な環境の中(公園等)にも出たが、近くの川にはそれらしき物は見つけられず、小さなチクチクの草を見て「(あえてこの公園にいるというなら)これかもしれない」と半信半疑で発言する子もいた。また「海にしかいないんだよ」と言う子もいた。
そんな中ひじき博士から電話が来て、写真を送ってくれたとのこと。到着を楽しみにしている。

   

来年度の活動計画

① オレンジの種

「何色の芽が出てくるかな」「どんなふうに大きくなるかな」と、どんな芽が出てくるか、未知の存在を各々イメージし、想像したものを共有している。
「スイカの芽が出てる!」「オレンジは遅かったね」と、二種類の種を埋めたことによって、種や芽、成長速度の違いに気づいていた。また、日々成長する芽の変化に興味をもっている様子が伺える。

1人だけ頑なに「あげたくない」「オレンジをみんなで食べたいから」と強い意志を持っている子がいて、みんなで「大きくなったら食べようね」とお話していたり、クラスで期待を持って育てていたので、その意見は尊重するべきだと思った。また、そうやって強い意志で期待を膨らませながら育てていた子がいることがとても嬉しく感じた。この活動で、種から植物、植物から生き物、またその餌の植物…と興味が色々な方向に広がっている様子が伺える。また、はじめは残飯になる予定だった種が、土に埋めて芽が出て成長して虫の食べ物になり、そこからまた命が成長する…という自然のつながりを経験できたことが子どもにとって良い経験だったと感じる。

今後は子どもの気づきに耳を傾け、虫の成長を一緒に観察して、育てることの難しさ、喜び、発見を共有していきたい。
また、種や植物への興味がどのように変化し、広がっていくのかにも着目し、提供していきたい。

② ひじきの旅

探すことを諦めてしまう児もいた一方で、答えが明確になっていない状態に思考が刺激され、水に入れたらどうかという気づきにつながった児もいた。水戻し後の姿を楽しみにしている。
水戻しのひじきをみても、チクチク細長いものに注目して、魚の背びれから予測はずれない。しかし、水戻しのワカメ、昆布に関しては、見かけが変わり、ヒラヒラと舞うような様子から正しいワカメ、昆布を見つけることができた。
身近な環境の中(公園の池、川)には、ひじきらしきものが見つからず、やはり海にしかいないのではないかという気持ちになっている。
川べりにいるチクチクの草や、チクチクのコケをさして、形が似ているという理由から「これなのかもしれない」と懸命に探す姿もある。
乾燥ひじきの形も、水戻しのひじきの形も黒くて細長いとい状態はあまり変わらない。水中に生息している生の姿とは少し違う様子であるゆえに、実物と写真を結びつけて考えることが難しい。
写真や図鑑などを通して、実際のひじきの様子を探っていきたい。

 

過去の活動報告