• とうきょうとりつみたこうとうがっこう
  • 東京都立三田高等学校

  • Tokyo Metropolitan Mita High School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野登録なし

所在地 〒108-0073 東京都港区三田1-4-46
電話番号 03-3453-1991
ホームページ http://www.mita-h.metro.tokyo.jp/site/zen/
加盟年 1960

2025年度活動報告

活動分野

生物多様性, 気候変動, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

(1)ユネスコ委員会を中心とした活動

本校のユネスコ委員会では、生徒が主体となり、バザー・寺子屋・衣料・新企画の各班に分かれて活動を行っている。
白珠祭では、フェアトレード商品の販売や来場者参加型の企画を実施し、国際協力や公正な貿易の意義を来場者と共有した。これらの取組による収益や募金は、国際支援へとつなげている。

また、衣料回収活動や書き損じはがき回収などの社会貢献活動を継続的に実施し、寄付の背景や支援の仕組みについて学ぶ機会を設けてきた。こうした活動を通して、生徒は「支援される側」ではなく、「支援する側」としての責任や視点を身につけている。
あわせて、国際協力団体の代表者を招いた講演会や校外研修への参加を通して、国際情勢や支援活動の現状を学び、平和や人権をめぐる課題について自分たちの言葉で考える力を養ってきた。

これらの活動は、単なる行事参加にとどまらず、生徒自身が課題意識を持ち、企画・運営・振り返りまでを担う点に特徴があり、ユネスコ精神を体現する実践として位置づけられている。

(2)グローバル市民デーの実施(1学年対象)

ユネスコスクールとしての学びを学校全体へ広げる取組の一環として、1学年を対象に「グローバル市民デー」を実施した。
前半では、「ユネスコ教育勧告カード型教材」を活用したワークショップを各クラスで行い、1年生のユネスコ委員がファシリテーターを務めた。企画段階から、2・3年生のユネスコ委員が助言を行い、問いの立て方や進行方法、ワークシートの工夫などを共に検討しながら準備を進めた。

ワークショップでは、多様性を体感する活動や対話を通して、「ユネスコが目指す平和や人権とは何か」「グローバル市民とはどのような存在か」といった問いに向き合い、生徒一人ひとりが自分の行動と結び付けて考える時間となった。

後半には、NPO法人「地球のステージ」代表の桑山紀彦氏を迎え、音楽と映像による特別講演を実施した。紛争地や被災地での医療支援の経験をもとに語られるメッセージは、生徒にとって、遠い出来事を自分の問題として捉え直す契機となり、「無関係な人など一人もいない」という言葉が深く心に残る学びの時間となった。

(3)港ユネスコ協会との連携による地域協働・校外活動の推進

本校は、地域のユネスコ活動推進団体である港ユネスコ協会と継続的に連携し、校外での学びや地域協働の機会を積極的に取り入れている。
2025年度には、港ユネスコ協会主催の講演会や多文化理解ワークショップへの参加に加え、スピーチコンテストやシンポジウムなどの行事運営に関わるボランティア活動にも生徒が参画した。

講演会では、現代社会における紛争や自国中心主義の問題を踏まえ、ユネスコ精神が掲げる「平和の文化」について学びを深めた。
多文化理解ワークショップでは、大学生や地域の参加者と協働しながら、文化の優越性や価値観の違いをテーマに対話を行い、多様な文化が共存する社会のあり方について考えた。

また、スピーチコンテストやシンポジウムへのボランティア参加を通して、生徒は国際理解や平和に関する取組を「支える側」として経験し、地域社会の一員として活動に関わる意識を高めた。
これらの実践を通して、「自分の価値観がすべてではないと気づいた」「一つの正義を押し付けるのではなく、対話を重ねることが大切だと感じた」といった声が聞かれ、ユネスコ憲章の理念を実感的に理解する機会となった。

(4)学校全体で取り組む国際理解教育の推進

本校では、ユネスコ委員会の活動にとどまらず、学校全体として国際理解と社会貢献意識を育てる取組を行っている。
国際協力団体の代表者を招いた国際理解講演会や、英語による落語講演会を実施し、世界の課題を知ると同時に、文化を通じた相互理解や多言語で表現することの意義について学ぶ機会を設けてきた。

また、校内掲示や講演会、ホームルーム活動におけるアクティビティを通して、国際理解や社会貢献に関する情報発信と意識啓発を継続的に行っている。

修学旅行では台湾を訪問し、現地での体験学習や交流を通して、異なる文化や歴史、価値観に直接触れる機会を設けた。
さらに、大使館訪問も計画しており、外交や国際関係の現場に触れる学びを通して、国際社会の一員としての視野を広げることを目指している。

(5)探究活動を通じたユネスコ的学びの展開

本校では、1・2学年で探究活動を実施しており、SDGsや国際的課題、社会的課題をテーマとした探究が数多く行われている。
生徒は、自ら問いを立て、調査・考察・発信を行う中で、環境問題、貧困、教育、ジェンダー、健康、スポーツと社会の関係など、多様なテーマに向き合っている。

ユネスコ委員会で培われた視点や問題意識が探究活動へと広がり、また探究で得た学びが委員会活動に還元されるなど、学校全体としてユネスコ的学びが循環している点は、2025年度の大きな特徴である。

来年度の活動計画

2026年度は、これまでのユネスコスクールとしての取組を基盤とし、生徒主体の活動を継続しながら、国際理解や社会参画に関する学びを、より実感を伴うものとして深めていくことを目標とする。
委員会活動、学校行事、探究活動、校外連携をそれぞれの枠組みの中で生かしつつ、生徒の関心や気づきが次の学びへとつながるよう、工夫を重ねていく。

1.ユネスコ委員会活動の継続と充実

ユネスコ委員会における生徒主体の企画・運営を引き続き重視し、バザーや社会貢献活動、講演会等を通して、国際協力、平和、人権といった社会課題に触れる機会を継続して設ける。
あわせて、活動の目的や背景について生徒同士で共有したり振り返ったりする機会を大切にし、学びがより深まる委員会活動を目指す。

2.全校的な国際理解の取組

グローバル市民デーや国際理解講演会、英語落語講演会などを学校行事として実施し、多様な価値観や考え方に触れる機会を確保する。
また、校内掲示やホームルーム活動なども活用し、国際理解や社会課題について考えるきっかけを継続的に提供する。

3.探究活動との関係

探究活動においては、SDGsや国際的な課題をテーマとする学習を引き続き行い、生徒が社会課題に関心を持ち、自ら問いを立てて考える力を育てる。
ユネスコ委員会や国際理解行事で扱った内容については、探究活動の中で生かされる場面があれば適宜共有し、生徒が学びのつながりを意識できるようにしていく。

4.校外・地域との連携

港ユネスコ協会をはじめとする外部機関や地域との連携を継続し、講演会や多文化理解ワークショップ、スピーチコンテストやシンポジウムへの参加、ボランティア活動などを通して、校外で学ぶ機会を確保する。
また、修学旅行における海外訪問や大使館訪問などの国際理解行事についても、生徒が体験を通して視野を広げ、学びを深められる機会として大切に位置づけていく。

過去の活動報告