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加盟年 2017

2023年度活動報告

活動分野

減災・防災, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 貧困

2023年度は、コロナ明けということもあり、すべての行事を再開することができた。ただコロナ過という時間や環境を通じて、新しい教育観や評価方法、授業手法などを模索する経験ともなったため、プロジェクトの新しい形をスタートさせる年となった。ユネスコスクール加盟7年目の今年は、可能な分野での活動を少しずつ広げながら、①平和学習プロジェクト②環境教育プロジェクト③国際理解プロジェクトをより連携・発展させて、生徒たちに持続可能な社会の担い手に必要な知識、能力、態度、価値観を身に付けさせる学習を展開した。

①平和学習プロジェクト

本校はキリスト教主義を建学の精神に掲げているため、まず「心の平和」を達成することを目標として、聖書や礼拝の時間を使い、一年をかけてすべての生徒がノートを作成した。毎週の講話を聴きながら、生徒たちは平和な世の中をイメージして、自分の考察をその都度ノートにまとめている。そして、全教員がそのノートにコメントを書き、相互の評価を取り入れている。

入学したばかりの新中学1年生は1泊2日で、御殿場にある国際青少年センターYMCA東山荘にて宿泊研修を行った。これから自身の母校となる桜美林学園の「建学の精神」を学ぶこと、入学後初めて出会った級友との親睦をはかりながら「隣人愛・奉仕の精神」を学ぶことを目的として研修は実施された。

中学2年生は町田市忠生第1高齢者支援センターから支援専門員の方々を招き、講演及び高齢者疑似体験を行った。手足の動きや視野を狭めるゴーグルと耳当てなどの「疑似体験セット」を身に着けて、椅子の立ち座りや階段の上り下り、またその介助を経験した。少し移動するだけでもいつもとは違う緊張感があることや、座ったり起きたりするだけでも大変なことに気づけたようだった。

中学校全体で、花の日礼拝を行った。ひとりひとりが1本、2本、と少しずつのお花を持ち寄り、たくさんのお花と共に恵みと愛に溢れた礼拝の時をもつことができた。チャペルに飾られた色とりどりの花々は、奉仕委員が昼休みに花束にして、放課後近隣の施設、病院や学園のお世話になっている方達の元に届けた。

高校2年生は、今年も4泊5日の旅程で沖縄へ修学旅行へ出かけた。高校1年生から「歴史総合」の時間で沖縄の歴史(戦争や基地問題を含む)をしっかりと学んだ後に、本校では40年以上にわたり沖縄を修学旅行先に選んでいる。生徒たちには、太平洋戦争末期に県民を巻き込んだ地上戦の地を訪れ、自らの五感を通して「戦争と平和」について考えるきっかけを作ってほしいと願う。

修学旅行から帰ってから、高校2年生は「沖縄平和記念礼拝」を行った。礼拝の中で生徒が「沖縄修学旅行を通じて考えた平和」と題した作文を読み上げました。沖縄で見たこと、調べたこと、体験したことを元にそれぞれの視点から平和について考えが伝えらた。同級生が語る一つ一つの言葉を、礼拝に参加した生徒たちはしっかりと受け止め、また、平和合唱として「さとうきび畑」を全員で斉唱し、チャペルいっぱいに平和の歌声が響きわたりました。礼拝を通じて改めて平和の尊さと平和を創りだしていくことの大切さを心に刻むことができた。

高校3年生の学年礼拝では献金連帯団体の一つである「国際飢餓対策機構」から中村めぐみさんをお招きした。「主の祈りから考える『ぼくらの世界』」と題してメッセージと団体の活動の紹介があり、日用の「糧」には食べ物だけでなく、平和や人権や教育や可能性などたくさんの人間の成長に必要なことが含まれていることを教えられた。世界基準の連帯の心を大切さをあらためて思い起こすと同時に、国際協力に関心の深い生徒もおり、自分の生き方と照らし合わせながら生徒たちは集中して奨励に耳を傾けていた。

大晦日には、寿地区で行われた越冬炊き出し活動に生徒と教員の有志で参加した。寿地区は日雇い労働者として発展した歴史があり、最も貧しく生活が困難な方々が多く住まわれているところ。桜美林では寿地区での活動をする「寿地区センター」と連携して支援を続けている。この日は雨の降る寒い一日でしたが、朝から野菜や肉の切り込み作業を行い、昼にはセンタースタッフの近藤さんの案内で、寿町巡りを行いこの地域の歴史や現状について学んだ。また、路上生活者が増えていった社会的背景についても理解を深めた。昼食をとりながら分かち合いを行い、午後からは配膳作業を行ったが、500人近い方が行列を作って食べに来られた。生徒たちはてきぱきと仕事をこなし、皆さんに温かでおいしい年越しそばを召し上がっていただくことができ、生徒たちには笑顔があふれ充実した一日を送ることができました。桜美林は「学而事人」の実践を大切にしているが、誰かの幸せのために働く喜びをかみしめて年を締めくくることができたことに感謝をしたい。

②環境教育プロジェクト

中学1年生は
・自然の雄大さ、美しさ、厳しさに触れ、自然の大切さを知る。
・団体生活を通して思いやりの心を養い、協力することの大切さを知る。
・学年全体での行動を通じて時間を守ることの大切さや、ルール・マナーを守ることの大切さ=集団行動を円滑にすることを学ぶ。
を目標に掲げ、2泊3日で長野県茅野市で林間学校を実施した。最終日には車山高原の自然環境について学ぶ「環境学習プログラム」を実践した。

中学2年生は
・初めて出会う方々との生活を通し、「円滑なコミュニケーション」について考える。
・農業を通じて、自然の「恵み」や食の大切さを知る。そして自然と共に生きるすばらしさを感じ、自然を守り育てることが人間の役割であることを知る。          を目標に掲げ、2泊3日で長野県飯田市方面でサマースクールを実施した。2014年から南信州観光公社を通じて「感動体験 南信州 農家ホームステイ」のプログラムに参加していたが、コロナ禍によりしばらくホームステイは中止となっていたため、今年は、実に4年ぶりの催行となった。都会の生活では感じられない時間の流れや自然の雄大さ、そして食物をいただくことへの感謝の念を思い出させてくれる体験旅行になった。

高校生は1月19日~20日の2日間、宮城県多賀城高校が主催して行われた「東日本大震災メモリアルday2023」に、「さくらプロジェクトのメンバー」である高校2年生が参加した。この取り組みは、東日本大震災の経験と教訓を全国各地・後世に継承し、全国の高校生が自分の地元地域の防災や減災に関する問題や課題を焦点化し、自分事とするきっかけを作ることを目的として行われている。1日目は東北大学災害科学研究所の佐藤翔輔先生より「災害があったことが伝わるために」と題して基調講話があり、そのお話を受けてグループワークを行った。全国から集まった同世代の高校生との意見交換では、色々な視点からの考えや意見に接することで新しい気づきや学びが多くあった。2日目は各学校が準備してきた災害に関する探究内容についてのポスターセッションで、各学校のタイトルを見ていくと震災に対して科学的な面、心理的な面、社会的な面から様々な切り口からのアプローチができることを改めて実感した。午後は同じユネスコスクールである多賀城高校災害科学科のみなさんに、「多賀城津波伝承まち歩き」を案内してもった。手作りのMAPと丁寧な説明の合間に災害科学科に入学したきっかけや防災への思い、将来の夢などを聞かせてもらい、防災に対する意識の強さを感じることができた。

③国際理解プロジェクト

外国語教育と異文化理解教育を大切にしている本校では、年に一度すべてのプログラムを英語で行う礼拝(ENGLISH CHAPEL)を大切にしている。ネイティブのオーレンタナベ先生より“An Everlasting Love: Jesus’ Unfailing Embrace (永遠の愛 イエスの揺るぎない抱擁)”と題してのメッセージを伝えた。賛美歌「主われを愛す」の歌詞の意味について歌を交えながら解説しながら、礼拝の司会、聖書朗読、主の祈り 感謝祈祷、通訳もすべて生徒たちが行った。全校生徒の前で英語を堂々と披露する生徒の姿はとても頼もしいもので、高校でも同様の内容を放送礼拝の形で実施した。これからもグローバル人材の育成を目指して多様な教育活動を大切にしていきたい。

中学校1年生と2年生の希望者で、インドネシアのシナルマス ワールド アカデミー(Sinarmas World Academy)の生徒とオンラインでの交流を行った。今回の交流は両校の交流として初めての取り組みで、生徒たちは、毎日の生活や学校の様子やれぞれの習慣、料理、観光名所などを紹介した。今後は、インターネットとツールを使って、それぞれの生徒の発表とその発表に対するコメント(感想や質問)等のやり取りを通しながら交流を深めて行く予定。

中学3年生は、11月28日(火)から12月5日(火)にかけて、①異文化を体験し理解する ②習得した語学知識を用いてコミュニケーションを図る ③国際公衆道徳を習得する ④他国を通して自国の文化や生活を見つめ直すことを目的として、オーストラリア研修旅行を実施した。 コロナ禍で中断を余儀なくされていた研修旅行は2019年以来4年ぶりの実施となった。渡豪がかなわなかった先輩たちの思いを受け継ぎ、貴重な機会・体験から多くのことを学んでほしいと思う。

高校1年は、香港の元朗信義中学校が主催するオンラインによる2カ月間の「グローバルプロジェクト」に参加した。生徒たちは、2ケ月間で各国の文化について調べてきたことをスライドにまとめて発表した。さらに文化発表として、中国からは中国結びのブレスレットづくりやお茶の入れ方の実演、本校からは桜美林大学沖縄エイサー部の演技を紹介した。手探りの中、進んできたグローバルプロジェクトであったが、オンラインでの交流を通じて異文化理解を深めることができた。

韓国の細花高校とは、2000年7月に正式に姉妹校協定を締結して以来、毎年両校の生徒が互いの学校を訪問する交流(桜美林は7月に訪韓、細花は1月に来日)を続けている。2019年を最後に、両校ともにコロナ禍での生徒の往来を控えていたが、今夏再開することができた。7月には高校生の希望者が韓国の済州島を訪れ、仏教文化など直接に文化に触れる機会を得ることができた。

11月20日(月)、姉妹校のHILLCREST CHRISTIAN COLLEGE(Victoria, Australia)で日本語を学んでいる生徒たち17名が桜美林を訪れ、コロナ禍で中断されていた両校の往来が5年ぶりに再開した。高校1年の生徒たちによって歓迎会が催され、HILLCRESTの生徒は流暢な日本語で、オーストラリアや自分たちの学校について動画を用いながら分かりやすく紹介してくれ、また桜美林の生徒たちも英語で日本文化の紹介やクイズを企画したり、最後は先日の合唱コンクールで優勝したクラスが歌声を披露し、歓迎会は両校の友好を深める良い機会となった。

3月に韓国の順天梅山女子高等学校の生徒が来日し、5年ぶりにクラブ活動交流が再開した。本校からは書道部の生徒たちが順天梅山女子高等学校を訪問し、書道パフォーマンスを披露した。両校の関係がさらに深まることを期待したい。

姉妹校の中で最も長い交流の歴史(2000年から)を持つ韓国の済州島にある細花高等学校の生徒たちは、本校を訪問した。日本文化に触れる機会を大変楽しみに来日した生徒たちは、桜美林高校の在校生宅にホームステイをして過ごした。日韓の親善交流が今後も長く続くことを願う。

来年度の活動計画

今年度はコロナも明け、学校行事や姉妹校交流のほとんどを再開することができた。コロナ過にオンラインの整備もなされ、授業スタイルや生徒間交流も多様かつ主体的になってきている。本校でも観点別評価を導入し、科目の授業のみならず、様々な課外活動も含めて、新しい評価方法を実施しつつあるので、そうした評価方法の実績を踏まえたカリキュラム全体の完成を目指していく。

過去の活動報告