2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等

今年度は、一部コロナによる制限が緩和されたこともあって、これまで出来なかった学校行事をいくつか再開することが可能となった。ユネスコスクール加盟6年目の今年は、可能な分野での活動を少しずつ広げながら、①平和学習プロジェクト②環境教育プロジェクト③国際理解プロジェクトをより連携させて、生徒たちに持続可能な社会の担い手に必要な知識、能力、態度、価値観を身に付けさせる学習を展開した。

①平和学習プロジェクト

キリスト教主義を建学の精神に掲げる本校としては、まず「心の平和」を達成することを目標として、聖書や礼拝の時間を使い、一年をかけてすべての生徒がノートを作成した。毎週の講話を聴きながら、生徒たちは平和な世の中をイメージして、自分の考察をその都度ノートにまとめた。4月25日(月)にEaster Dayを行い、全校生徒がカードに心を込めてメッセージを書き、イースターチョコエッグをつけた小さなプレゼントを用意した。そのプレゼントをイースター礼拝を守った27日(水)の放課後に全校で分かち合い、上級生や下級生から届くメッセージを笑顔で読んでいる生徒の姿が大変印象的であった。また放課後には、奉仕委員会の有志たちが日頃お世話になっている方々にイースターカードを届けた。6月には中学校で「花の日」礼拝が行われた。昨年同様、中学生全員で一緒に礼拝を行うことは出来なかったが、中学1年生全員で入学して初めてのチャペル礼拝をまもることができ、2年生・3年生は教室での花の日礼拝となった。奨励では、ひとりひとりが持ち寄ったささやかな1本の花、「おはよう」と交わし合うひとことが隣人愛の心そのもので、それは大きな神様のわざであると語られた。ひとりひとりが家庭から持ち寄ったお花は、放課後奉仕委員の生徒たちによって近隣の施設や病院、お世話になっている方たちに届けられた。10月18日(火)から21日(金)では収穫感謝礼拝を行った。豊かな食べ物の恵みに感謝するとともに、食べることや生活に困難を覚えている人を思い起こし、共に生きる社会を創り出すことを目的として献米を行っている。当日は各教室で奉仕・宗教委員の生徒がお米を回収し、生徒一人一カップのお米だが、全校の力を合わせるととても大きな量になる。このお米は横浜市にある「寿地区センター」と相模原市にある「木曜パトロール」という団体に捧げられた。高校2年生の沖縄修学旅行のまとめとして、10月14日(金)の礼拝では「沖縄平和祈念礼拝」が行われた。生徒たちは高校1年生の時よりそれぞれテーマを決めて各クラスでの発表を2度行いながら「平和のためにできること」を考えてきた。礼拝では4名の生徒が代表として発表し、それぞれが感じたこと・学び得たことを共有する機会となり、また司会、奏楽も2年生による奉仕となった。

 

②環境教育プロジェクト

中学校では「自然との共生」をテーマに、全員が自然との共生について学習した。中学1年生は7月21日(木)から23日(土)の2泊3日で、長野県茅野市白樺湖で林間学校を実施しまた。そこで自然の雄大さ、美しさ、厳しさに触れ、自然の大切さを知ることができた。中学2年生は7月21日(木)から23日(土)の2泊3日で、長野県下伊那郡でサマースクールを実施し、農業を通じて、自然の「恵み」や食の大切さを知り。そして自然と共に生きるすばらしさを感じ、自然を守り育てることが人間の役割であることを知ることができた。収穫体験や農家の方々が直面する問題に触れ、さつまいもの収穫・そして文化祭での調べ学習に向けて知見を広げた。中学校3年生は総合学習の時間を使って「自分たちが暮らす地域を知り、地域とつながる方法」を学ぶ取り組みとして、私たちが住む地域の「タウンマップ」を作成した。自分たちの生活する地域を調べ、その地域のことを多くの人に知ってもらうために情報を発信することも「異文化理解」につながると考え、タウンマップ作りに励みました。いよいよ34ページからなる『町田・相模原 わがまち タウンマップ』が完成し、取材させていただいたお店などを通じて、自分たちの成果を披露できることとなった。5月11日(水)には、代表生徒2名(現高校1年生)が石阪丈一 町田市長を表敬訪問し、製本されたばかりの『町田・相模原 わがまち タウンマップ』を謹呈した。市長からは「紹介記事が英文でも書かれているのは素晴らしい。中学3年生が作ったとは思えない。」とお褒めの言葉をいただいた。

高校では防災とSDGsをテーマに「さくらプロジェクト」を今年も実施した。さくらプロジェクトとは、本校の東北復興支援で、例年3月末に宮城県に足を運び、そこでの学びを文化祭や学年礼拝で広めてきた。10月21日(金)、さくらプロジェクトのメンバーが「土サミットTOKYO2022」に参加した。「土サミット」とは一般社団法人全国建設発生土リサイクル協会が代表主催している、各協会・団体の垣根を越えて課題を話し合うサミットで、今年は、「災害と土」をテーマに、大学生のパネルディスカッションや、高校生のブース発表がプログラムとなっていた。高校生のパネルディスカッションには本校とも交流のある宮城県立多賀城高校の生徒が参加していて、そのパネルディスカッションを見学しした。生徒たちは「災害と土」というテーマで多くの企業や団体が課題を解決する場を目の当たりにし、さまざまな事例や現在の研究がどのように結びついているのか、具体的に学ぶことができた。また1月12日(木)から1月15日(日)まで、兵庫県淡路島の国立淡路青少年交流の家で行われた「全国防災ジュニアリーダー育成合宿」に、本校からさくらプロジェクトのメンバーが参加した。北海道から九州まで全国から24校、99名の生徒が防災、減災について真剣に向き合った。4日間のプログラムでは高校生同士がお互いの地域、学校の現状から課題を共有して解決策を考える機会が多く作られ、こうした作業を通して横のつながりを深めていくことができ、ここでの学びをどのように学校での防災減災につなげていくかという宿題をいただいた。さらに1月20日(金)・21日(土)の両日「東日本大震災メモリアルday 2022」にも参加した。この「東日本大震災メモリアルday」は宮城県立多賀城高校が主催し、東日本大震災の犠牲者慰霊とその経験と教訓を後世に継承することを目的に2016年から実施されている。被災地見学や交流行事、研究発表や防災学習など多彩なプログラムが組まれ、毎年全国の高校から地域の防災活動の若い担い手が集まり、今年度も18校の参加があった。大学の先生の講義の後、グループワークを行い、それぞれが研究してきた内容・現在取り組んでいることなどを1枚のポスターにまとめ他校の参加者に紹介した。桜美林高校は「登下校時の首都直下地震」をテーマにポスターセッションを行った。また、2011年の東日本大震災では津波による甚大な被害のあった多賀城市内の街歩きも行われ、多賀城高校災害科学科の2年生がガイドを担当してくれた。ポスターセッションでの質疑応答や街歩きのガイドを務めてくれた生徒たちとの交流では、高校生同士での〝学びの連鎖〟が止まらない様子であった。

 

③国際理解プロジェクト

中学では、異文化をもつ人々との協働学習をより発展させるために、海外の学校とのオンラインによる相互交流を行い、お互いの文化について話し合い、その成果を発表した。1月23日(月)の5・6校時に、インドのMother’s Global schoolの8年生(中学2年生相当)とオンラインで交流を行った。学年単位でのオンライン交流は初の試みであったが、お互いの国の文化を紹介し合い、それについて質疑応答をする形で交流は進んだ。インドの生徒たちが母国語ではない英語を流暢に操り、積極的に質問したり回答してくれる姿勢に本校の生徒たちは大きな刺激を受けてた。コロナ禍にあっても様々な形で国際交流が続けられ、異文化を知るよい機会となった。またTOKYO GLOBAL GATEWAY にて8月15日・16日の2日間にわたって英語研修を実施し、プログラムを通じて英語を学ぶ楽しさを体験したり、中学3年生の希望者20名が、12月18日(日)から25日(日)にかけてシンガポールで英語研修に励んだりしました。

高校では、国際化において生じる問題について具体的な解決に向けた行動ができるよう必要とされる能力の育成や知識を習得し、自ら考え、他人の意見を聞きつつも、自分の意見を主張できる能力をのばした。11月9日(水)、桜美林高校でコリア語を履修している生徒の有志と姉妹校の順天梅山女子高等学校で日本語を学んでいる生徒同士がZOOMを利用して、オンラインと言う形で楽しい国際交流の時間を過ごした。両校の代表生徒が司会を務め、それぞれ5班(①自分たちの学校 ②それぞれの国の食べ物 ③年中行事 ④K-POPやアニメなどの文化 ⑤伝統的な遊び)に分かれてプレゼンを行った後、グループごとに分かれて自由に交流する時間を設けた。桜美林高等学校の生徒たちはコリア語で、また順天梅山女子高等学校の生徒たちは日本語で、学習している互いの国の言葉で自己紹介をしたり、質問をしたりなどして交流会は進んだ。さらに、11月14日(月)の5限の時間を使って、高校1年生を対象に「外務省 高校講座」が実施された。「高校講座」は、高校生の外交・国際問題に対する関心や理解を深めるとともに、今後の進路を選択する際の参考となるよう外務省の仕事に対する理解の促進を目的として、外務省職員が高校で直接講演を行うもので、平成7年度から、全国の高校に外務省職員が派遣されている。令和4年度は126校での実施が予定され、本校はその1校として選ばれた。本校へは外務省戦略的対外発信拠点の山崎氏にお越しいただき、世界各国を訪問した経験や外務省の仕事などについて講演をしていただいた。また昨年同様、Shin Edupower Pvt. Ltd.の協力を得て、桜美林高校の生徒とインドの高校生が、12月19日(月)・20日(火)・22日(木)の3日間を使ってオンラインで国際交流を行った。時差が意外にも3時間半であるために互いに学校からオンラインでつながることを可能にしている。このプログラムには、首都デリーにあるTagore International schoolに通う高校生、デリーから西に約30km離れたグルガーオンにあるSuncity School Gurgaonに通う高校生が参加してくれた。日・印混合の3つのグループには、それぞれのテーマ(G-A:School life G-B:Food G-C:Trend)に沿って、日本とインド両国の類似点や相違点がわかる動画を協働して一つの作品にまとめるミッションが課せられ、最終日にはそれぞれの作品を発表し鑑賞する機会が設けられ、意見交換が行われた。また、12月12日(月)昨年に引き続き、中国語を履修している中学3年生・高校1年生・2年生の有志が、姉妹校の北京外国語大学附属外国語学校の生徒とオンラインで交流をした。両校の生徒たちはそれぞれが学習してきた互いの国の言葉を使い、若い世代に人気のあるアニメ・漫画・ゲームの紹介、それぞれ休日の過ごし方、好きな食べ物などについて交互に発表した。

来年度の活動計画

今年度は、依然としてコロナによる活動の制限はあったものの、オンラインによる活動の可能性はかなり広がってきたように思う。これを継続しつつも、来年度はやはり対面の活動をより活発にしていき、カリキュラムとの関連性や、評価方法の確立も進めながら、多面的な教育活動を展開していきたいと考えている。