所在地 〒739-0045 広島県東広島市鏡山北333-2
電話番号 082-424-6190
ホームページ https://yochien.hiroshima-u.ac.jp/
加盟年 2017

2023年度活動報告

活動分野

生物多様性, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育

本園は,「豊かな自然や友達とかかわりながら一人一人がその子らしさを発揮し共に育ちあう生活を通して心豊かにたくましく生きる力を育む」という教育目標のもと,ユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野を通して,6つの視点と7つの能力・態度を日常の保育の中で総合的に育むことを目標として取り組んだ。以下、今年度の活動の一場面について記載する。

事例:「子ども同士のかかわりの中での飼育活動」(5歳児・5月中旬)

5歳児ぶどうグループは「先生は手伝わないでね」と言い飼育小屋に入り工程表を見て活動し始める。保育者は活動中,中には入らず様子を見る。

飼育当番を終え,ユキが今日の様子をみんなに話したいと言う。まず,カズが「餌を10杯皿に入れるのに,カズ,マサ,カズ,マサって代わり番こにやった」と嬉しそうに話す。保育者は「いい方法だね」と伝える。続けてユキが「貝殻とか入ってる黄色いご飯に,クローバーを混ぜてあげたんよ。いつもと違うご飯にしてあげた」と得意気に言う。すると「どういうこと?」と周りの子が尋ねる。ユキは「特別なメニューだったら,ウコッケイが喜ぶかなと思って。ビックリさせようと思ったから」と話す。

分析・考察

「先生は手伝わないでね」という子どもの思いを受け,保育者は飼育小屋に入ることを控える。やりたい活動が重なり,交互に餌を入れて10杯にするという方法に辿り着くまで,どうすればお互いが納得して活動できるかを考える機会となった。さらに,手順のみ記された工程表である為,子ども同士で話し合い,工程表には書かれていない方法やアイデア(交互に10杯入れる・オリジナルのご飯を作る)が生まれたと考える。

 

市販の餌と刻んだクローバーを混ぜて「特別なメニューだったら,喜ぶかと思った」「ビックリさせようと思った」と説明する姿は,飼育活動を通して自分の経験と重ねてウコッケイを捉えるようになり,身近に感じてきていることがうかがえる。これらのことは,食への興味・関心だけではなく,自分にご飯を作ってくれる親の姿を見たり,好きなメニューが出ると嬉しいと感じたりする実体験から生起したと考える。

本事例から,【多様性・相互性・連携性・公平性・責任制】【多面的・総合的に考える力・コミュニケーションを行う力・進んで参加する態度】の姿・育ちとその芽生えがあった。以上のことは,将来協働して平和な世界を創っていくことや持続可能なライフスタイルを構想していくというUNESCOスクールの理念に繋がると考える。

来年度の活動計画

・本園の教育課程は,令和元年度に「持続可能な社会の担い手となるための能力・態度」を育成する視点を重点的に取り入れて作成された。その際,森の幼稚園としての自然環境を主軸として,作成にあたっている。現在もその視点を保育の中心に据え保育を行っているが,今ある豊かな自然環境を生かしながら,UNESCOスクールの理念のもと自然環境への関心以外についてもバランスよく育む必要があると考えている。そこで,昨年度から教育課程を見直し、子どもの興味・関心を通して,ESDの基本的な考え方に照らし合わせ実践を積み重ねていく。

・今年度幼稚園外のさまざまな人(設計士・建築士・大学の先生など)と協働する体験から「7つの能力・態度」の育ちやその芽生えがあった。来年度もこのような機会をもつことを計画している。

過去の活動報告