2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, エネルギー, 人権

本園は,平成28年度から令和元年度の間に『幼児期における持続可能な開発のための教育』を行ってきました。その理念や方針は,今年度も受け継がれ,「受容性」「多様性」「相互性・循環性」「有限性」「公平性」「連携性」「責任性」の7つの構成概念を意識した保育を行っています。その中から,「多様性」につながる事例(5歳児)を紹介します。

 

「多様性(いろいろある)」

例:身の回りにはいろいろな種類の生き物がいることを実感すること

例:身の回りの自然物は,味,匂い,色合い,手触りなど一つ一つが違うこと

 

A男とB男は雨の日に外に出て,前日に見つけたいろいろなキノコを一つ一つ見て回っていた。その中のあるキノコは,前日に二人が見つけた時はまだ傘が開いていなかった。しかし,前日からの雨の影響もあるのか,この日のキノコは傘がしっかりと開いており,傘の縁のひだも目立つほどであった。それを最初に見つけたA男が,「うわぁ~ このキノコ!昨日はすごい小さかったのに,今日は大きくなってる~」と声をあげている。B男も「本当だ~!すごい~ 先生も見て!」と近くにいる私をすぐに呼ぶ。私は前日に,このキノコのことを二人から紹介されていたため,「うわっ,これ昨日のキノコよね?1日でこんなに大きくなったん?」と声をあげる。A男が「そうよ!すごいよねー!だって昨日はこ~んなに小さかったのに,今日はこんなに大きくなってるんじゃもん」と手で前日とこの日のキノコの傘の違いを表現して見せる。今度はB男が「A男君,ほら,きのうのキノコはこんなんだったんよ~ でも今日はこうなってる」と自分の雨傘を閉じたり開いたりしながらキノコの傘の大きさを表現する。A男も「本当だね~」と言いながら自分の雨傘でB男と同じようにキノコの傘の大きさを表現している。

他のキノコを探して歩いていると,B男が「来て!こんなところに,大きなキノコがある!!昨日はなかったのに!」と言って急いでA男を呼ぶ。A男が「うぉ~でっか~!こんなところにもあったんじゃ~!」と言いながら,土から突き出ている大きなキノコを見つけ,驚く。A男が近くにあった小枝でそっとキノコの傘に触れてみる。すると,キノコが揺れるように動く。その様子を見てA男が笑いながら,「あっ!このキノコプルンプルンするよ~!」と言うと,B男も枝で触れてみる。B男が「本当じゃ~ これはプルンプルンキノコじゃ!」と話すと,A男も「プルンプルンキノコだ~」と言って,二人が顔を合わせて笑っている。

小枝でキノコに触れるA男とB男

来年度の活動計画

令和3年度も幼児期における「持続可能な開発のための教育」の理念や方針を基に保育を行っていき,その成果等を新型コロナウイルス感染予防に配慮しながら,オンラインによる研究会または研修等にて発表できればと考えています。更に,広島県幼稚園教諭新採用研修会等の実施も予定しています。その際,本園が4年間かけて作成した「持続可能な社会の担い手となるための能力・態度」を育成するための教育課程も紹介していく予定です。こうした取り組みを通して,「持続可能な開発のための教育」の普及と,「持続可能な開発のための教育」に興味がある幼稚園や保育園,小学校等が本園の取り組みや教育課程を参考にできるようにしたいと考えています。