2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 人権, 持続可能な生産と消費, 食育

本園は「心を動かす子どもたちと援助する保育者」を研究のテーマにかかげ、活動をしてきている。ユネスコスクールが重点的に取り組む「持続可能な開発および持続可能なライフスタイル」という分野の基になると考える、自然に触れ、子どもの豊かな心情を養うことを目標とした。
本園では学年ごとに1か月に1回森の達人とともに過ごす「森の日」を設けている。その日は森に登園し、一日中森の中で過ごす。大きな森に抱かれて心を動かしながら過ごす子どもの姿を紹介する。

「キノコと魔女」

 森の達人(子どもと自然をつなぐインタープリター)が,子ども達に向けて一つの仕掛けを用意した。「ここにきのこおいて まじょより(ここにキノコ置いて 魔女より)」という葉に書かれたメッセージとともに,木の枝や葉で囲いが作られており,その中にキノコを置くための場所が設けられたものだった。普段,森の中で目にしたことのないものの存在に触れた子どもたちは,驚きながらもその手紙の内容に従ってキノコを集め,その場に置いた。
翌日,数人の子どもたちが魔女からメッセージが届いた場所を訪れる。前日に置いたキノコの様子を見たA男は「キノコが減ってる!」と叫ぶ。S子も「ほんとだ!」と言いながらキノコを触るが,突然「ギャー!」と叫んで走り出す。少し離れた場所で立ち止まりこちらを見ているS子に,保育者が「どうしたの?」と尋ねると「ナメクジ,ナメクジ!」と騒ぎながら苦笑いを浮かべる。S子がキノコだと思い触ったものは,体長7センチ程の大きなナメクジであった。子どもたちはS子が触ったナメクジを眺める。A男は「ほんとだ。ナメクジがおる」と呟く。S子も戻ってくると,子どもたちと一緒に座り込み,ナメクジにもう一度触り「ヌルヌルしてる」と呟く。するとS子が「魔女がキノコをナメクジにしたんだ」と言い出す。その場にいた子どもたちは「えー!」と驚いたり,顔を見合わせて微笑んだりする。保育者も「そうなんだ。魔女がやったのかな」とS子の言葉に合わせる。

このように自然と触れあうことで心を揺さぶられ、自然への様々な思いが育まれ、その思いが持続可能な社会への貢献につながると感じている。

来年度の活動計画

自然環境をもとにふれあう活動、異文化交流を通して留学生とふれあう活動を行います。
1.各学年「森の日(森の達人と過ごす日)」を月に1回ずつ行う。
2.各学年、普段の生活に「森の日」を自主的に行う。
3.自分たちが育てたい野菜を化学肥料を使わず育てて食べる。
4.9月末森の環境を使った「う~んとうごく会」を行う。
5.保護者が「森のフェスティバル」を主宰し、保護者も森の遊びを体験する。
6.10月の研究大会で森で遊ぶ子どもたちの様子を公開する。
7.異文化交流を学年に応じて定期的に行う。