• けせんぬましりつはしかみしょうがっこう
  • 気仙沼市立階上小学校

  • Kesennuma-Shi Hashikami Elementary School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野登録なし

所在地 〒988-0223 宮城県気仙沼市字長磯鳥子沢23
電話番号 0226-27-2303
ホームページ http://www.kesennuma.ed.jp/hashikami-syou/index.php?page_id=0
加盟年 2008

2023年度活動報告

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 持続可能な生産と消費, 食育

本校では,気仙沼市のスローフード都市宣言をもとに,2002年に「階上小学校スローフード宣言」を行い,全学年が「食」を通して地域と関わりながら系統的に学習してきた。また2011年の東日本大震災を契機に「防災・減災教育」を,2015年より「海洋教育」の領域を新たに加え,持続可能な気仙沼・階上を担う人材の育成を目指し,「自然環境」「食」「防災・減災」などを柱に,総合的な学習の時間を中心に,体験活動を生かしながら地域と連携して学習活動に取り組んできた。そして未来に残したい持続可能な「ふるさと気仙沼 階上」の実現に向け,一人一人にESDの育みたい7つの力の育成しながらSDGsの17のターゲットに関わるゴールを目指している。

具体的には,総合的な学習の時間を中心に「スローフード」「農業体験活動」「豊かな海」「防災マップ作り」などの学習を通して,児童の身の回りにある気仙沼・階上の自然環境や暮らし,産業,伝統・文化等の地域のよさ,地元の食材や料理などに気付かせる。そして地域を見つめ直しながら,未来へ守り伝えていくことを目的とした一連の学習の流れとしている。それらの学習のねらいと児童に育てたい力等を次のように設定した。

①  様々な地域や国の食品・食材・料理を通して,文化や自然,環境問題,生産者・消費者の努力や願いについて興味・関心を持ち,自ら課題を         見付け,進んで情報を選択しながら,その解決に向け調べたり考えたりすることができる。

②  課題解決に向けた活動を通して,自分たちが暮らしている地域のすばらしい豊かな自然と食材や人材の存在に気付き,地元の食文化や風土,環境に誇りを持つことができる。

③ 東日本大震災を踏まえ,命の大切さと未来の気仙沼市や階上地区のあるべき持続可能な姿について,自分なりの意見をもったり,行動したりすることができる。

このねらいを達成するために,総合的な学習の時間において「①スローフード(食育)に関わる学習」「②海洋教育「③環境教育」「④防災・減災教育」の4つの領域をもとに,国語,理科,社会科等の各教科や特別活動などを横断的・往還的に関連させながら取組むことができた。

各学年の取組は以下の内容となる。

➀スローフード(食)に係る学習(全学年)

1年生はサツマイモ,2年生は「茶豆」の植栽活動を通して食料を生産することの喜びについて学んだ。(公民館プラットフォーム事業)3年生は地域のアワビ,ウニ取り名人,イチゴ農家に話を聞くこと,4年生は米作り活動をすることで地域の「食」を支える人たちについて知ることができた。(公民館プラットフォーム事業)5年生はワカメの養殖体験(地域の漁業組合),6年生は地元食材を利用した調理実習や地元企業への見学等を行いながら,そこにある課題や自分のできることを考えさせた。さらに6年生は,地元の「食」についてまとめたリーフレットを修学旅行の見学先で配布することで,地域の「食」を広め発信することができた。

サツマイモの植栽(1年)     茶豆の種植え(2年生)

②環境(3・5年生)

3年生は,理科の「昆虫のからだのしくみ」と関連させ,地域のやじの川への生物調査を実施した。さらに岩井崎への生物調査を実施し,陸,川,海の生物のつながりを学び,生物の多様性,環境保全の大切さを知ることができた。

5年生は,岩井崎での生物調査を実施し,磯に住む生き物たちの生態系について理解を深めた。また,流れついた海洋ごみから環境保全の難しさ,大切さを学ぶことができた。

岩井崎生物調査(3・5年)

   

➂海洋教育関係(5年生)

5年生の総合的な学習の時間「豊かな海について調べよう」では,階上漁協青年部の協力によるワカメ養殖体験を通して,地元食材と環境のつながりを学んだ。また講師の先生を招き,「プランクトン」「地球温暖化」「海流」がそれぞれ影響し合って海の環境が成り立っていることを知ることができた。今年度は海水温が高く,ワカメが順調に育たない状況から,地球温暖化の影響をより強く感じたり,生産者の方の思いや工夫を考えたりすることができた。

ワカメ種はさみ(5年)       環境出前講座(5年生)

④防災・減災に係わる学習(4・5年生)

4年生は地域の方々(自治会長等)と一緒にタウンウォッチングを行ったことを基に,危険箇所や防災の観点,そして地域のよさ,魅力ある町づくりの視点などを加えて地図にまとめ,発表を行った。今年度は,総合防災訓練の機会を通して,保護者や地域の方に直接発表し,意見や感想をもらうことで,さらにマップを改善した。この活動を通して,地域の方と情報を共有し,日常の中で見落としがちな危険箇所を確認することができた。また子供の気付きから地域の復興状況や災害への備えについて再確認する機会となった。

5年生は,東北大学減災教育「結」プロジェクトに参加し,講話やスタンプラリーから,災害への備えや避難の仕方について学ぶことができた。

 

防災マップ発表(4年)     「結」プロジェクト(5年)

来年度の活動計画

【1・2年生】サツマイモや地域の特産品である「茶豆」の種まき,収穫等の体験的な活動を階上保育所といっしょに行い,栽培の苦労や収穫の喜びを味わう。また自分たちが生活する本地域の特産品に関わる生産者の方々との交流を図る。

【3年生】「岩井崎」の磯をフィールドに,生態系(生物多様性)とそれをはぐくむ海辺の環境(水質等)との関わりに着目し,観察を行う。また農業水路としての川の役割や水生生物等との関わりについて学ぶことで,陸と川,海とのつながりについて学びを深める。さらに「名人発見!ぼくらの階上」では,農業や水産業に従事する方から「地域」と「食」との関わりを学び,明戸虎舞の太鼓・手踊り体験を通して地域の伝統文化に親しむ。

【4年生】地域の水田をフィールドに「米作り」を行う。米作りや観察学習を通して疑問に思ったことを自然環境と稲の成長の関わりと関連させて学び,生産過程,流通等についても理解する。また東日本大震災による大きな被害を受けた本地域では,持続可能な地域社会を担う人材育成が必要とされる。このことから,地域の方と学区内を歩き,危険箇所や避難所等を確認し,地域の防災のあり方について考えながら「地域防災マップ作り」を行う。児童が作成したマップの発表に対して地域の方々からアドバイスをもらい,完成度を高め防災意識の向上へつなげる。

【5年生】「ワカメ養殖」など地域の水産業に着目し,水産業とくらしのつながり,地元食材と環境のつながり等を課題にして探究活動を行う。岩井崎の生物調査から,海の生物の多様性を感じさせるとともに,浜辺にごみがあることに気付かせ,ごみ拾いや分別処理を体験させる。また,養殖業の方から温暖化の影響についてお話をいただき,自分達たちの生活を見直していくことの必要性に気付かせる。そして「森は海の恋人運動」や外部講師の方から講話を聞き,自分たちにできることを考えさせ,「海のフォーラム」の校内発表で提案する。

【6年生】「スローフードを知ろう」では気仙沼市のスローフード推進に関わる方々への取材を行い,実際に取り組んでいる店を訪問する。さらに学習旅行で訪れる岩手県盛岡地方のスローフードの取組や考え方と比較し,学びを深めていく。また「味の方舟」の学習では,未来に残したい食材からメニューを考え,地域の調理のプロの指導をもらい調理を行う(気仙沼市プチシェフコンテストへの参加)。更に,「海のフォーラム」では,6年間の食育学習の集大成として,「スローフード」「防災・安全」「自然環境」などの視点から,気仙沼・階上の魅力を未来に伝える取組を考え,提言する。

過去の活動報告