• おおだいちょうりつみせだにしょうがっこう
  • 大台町立三瀬谷小学校

  • Oodaichoritu Misedani Elementary School
  • 種別 地区
  • 主な活動分野減災・防災, 環境

所在地 〒519-2404 三重県多気郡大台町佐原107
電話番号 0598-82-1036
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加盟年 2018

2025年度活動報告

活動分野

環境

 大台町には、清流である宮川が流れ、宮川に流れていく多くの支流がある。また、多くの山に囲まれている。このように自然豊かな町で、私たちはは自然から多くの恩恵を受けている。

 本校は「思考・判断・表現する力を育てる」をテーマとし、ESDを、他人との関係性や自然環境との関係性と認識して、かかわりやつながりを自らつくろうとする教育の場ととらえている。そして、ESDの実践を通して、多面的かつ総合的なものの見方ができる思考力や、それをもとに判断・表現する力を育てることを通じて、人や自然と積極的に関わろうとする力の育成を数年度来目指してきた。
 具体的には、生活科、総合的な学習の時間の学習を柱にして、大杉谷自然学校や地域の方々と連携して学習を進めてきた。大杉谷自然学校は、急速に失われつつある「地域の自然観や価値観」を次世代に伝える役割を担い、「持続可能な新しい社会の創造」に寄与することを目指すNPO法人である。大台町内の小学校・中学校は、以前から大杉谷自然学校に、授業以外でも休日・放課後に、自然とふれあえる活動を行ってもらっている。

 今年度の本校の学習内容は「生きる」の観点から、①身近な生き物の観察や、生き物と環境のつながりに関する学習や、「暮らす」の観点から②自然がもたらす恵みや災害に関する学習をおこなった。

①身近な生き物の観察や、生き物と環境のつながりに関する学習

 1,2年生は、学校の近くを流れる大谷川に行き、どのような生き物が身近にいるのかを知るために採取し観察した。自然学校スタッフの指導の下、生き物を採取できるポイントを教えてもらい、網等をつかってグループ別に協力し合いながら取り組んだ。採取した生き物は最終的にリリースすることから、生き物を傷つけないように網等を丁寧に扱い採取した。子どもたちの中には生き物に関心のある子が多く、懸命な取り組みによりアブラハヤやイモリ、サワガニ、昆虫等がたくさん見つかった。採取後、スタッフから、それらが住む川は、きれいな水であるという説明を受けた。振り返りでは「身近な川にたくさんの生き物がいて驚いた。」「もっといろんな種類の生き物を見たかった。」「もっと生き物をとりたかった。」「これからも生き物がたくさん住める川にしていきたい。」等、たくさんの考えや感想を持つことができた。
 3年生は、5月に地域の方に教えてもらいさつまいもの苗植え体験をさせていただいた。「紅はるか」「紅あずま」「鳴門金時」「シルクスイート」といった品種のつるを植えさせてもらった。また、10月には大きく育ったサツマイモ堀りを体験させてもらった。自分たちの顔ぐらいもある芋を掘り、子どもたちは大変喜んでいた。しかも、その芋を家へのお土産にもらい子どもたちは大満足だった。12月には地域の方5人に来ていただいて、サツマイモを使った鬼まんじゅうとスイートポテト作りを教えていただいた。自分たちのとった芋でお菓子作りを体験するとともに、味わうことで自然の食べ物のありがたさに気づくことができた。

②自然がもたらす恵みや災害に関する学習

 1,2年生は、12月、自分たちで集めてきたどんぐりや木の枝などを使ってクラフト体験をおこなった。体験日には、大杉谷自然学校スタッフに指導してもらいながら、のこぎりや錐、ホットボンドを使って作品づくりに取り組んだ。どんぐりの形や木の形をどのように使うかをよく考え、工夫して思い思いの作品に仕上げた。「木やどんぐりで、動物ができたよ。」「人形を作ってみたよ。」等の声が聞かれ、子どもたちの満足そうな表情がたくさん見られた。自然が生み出した物の魅力を十分に感じている様子だった。

 4年生は、自然学校スタッフに関わってもらい「未来の森をつくる」学習を総合的な学習の時間に進めてきた。杉や檜は、植林し手入れをすることで、私たちに恵みをもたらす。しかし、近年、木材価格の低下や担い手不足などから放置された森林が多く、それが原因で土砂崩れ等の自然災害が起きている。そのような課題について考える学びの場をつくるために、多数の地域の方にもお世話になり学習している。5月には、地元森林組合の方々にお世話になり、間伐体験を行った。間伐は、危険な作業を伴うので、森林組合の方に丁寧に指導を受けながら、伐採や皮剥の作業を行った。しばらく乾燥する期間をおいて10月には、間伐した木材を林道まで運びだし、市場に出すために適切な長さに切る作業の体験をした。そして、11月木材市場にて、自分たちの切り出した木材も含めた「せり」の様子を見学した。子どもたちは、林業という仕事の大変さや自然との共存することの大変さを感じつつ、それでも自分たちが住む山間の大台町に再び災害が起きないようにしていく取組を続けなければならないと感じていた。また減災のために切り出した木材が、海の筏や土木工事等での杭に使われことや山の整備が海の豊かさにつながっていることなどを学習し、いろいろな場所・場面で役立っていることを知り満足感も覚えたようであった。

 5年生は、9月にあまごの養殖やわさびを栽培している西アマゴ養殖場を見学した。あまごやわさびはきれいな水があるところしか育たないこと、これからもこの自然を守っていくことの大切さなどを学習した。また、20年も前になるが2004年の台風21号の豪雨により宮川地域は大変な被害を受けた。がけ崩れや土石流も発生し、全壊した家が27戸、半壊した家が21戸と大きな災害が起こった。この西アマゴ養殖場も豪雨の影響で大変な被害を受け、復旧するのに大変苦労された話を写真を見せながら語ってもらった。自然の脅威、災害の怖さ、復旧の苦労、生き物や自然に対する思いをしっかりと聞くことができた。

来年度の活動計画

大杉谷自然学校と連携する事業は継続して実施される。2026年度(令和8年度)も「環境」を稼働分野として、現行のカリキュラムを継続・発展させると共に、子どもたちがより主体的に活動できるような内容に継続して取り組みたい。

本年度の活動では、全学年が意欲的に取り組んでいた。特に、林業体験や生き物採取、サツマイモ堀り等の校外での活動では、意欲や自主性を生み出していた。来年度も同様の活動を充実させていきたい。

また、その時だけの体験学習に終わってしまわないことが重要であるので、子どもたちの「気づき」を大事にして振り返りの場の学習過程を工夫すると共に、事前・事後の学習とのつながりを大事にしたカリキュラムづくりを進めようと考えている。11月末の学習発表会において、体験学習や地域学習で学んできたことをは映像を使いながら学級ごとに保護者や地域の方に伝えている。その発表会において自分たちの学びを創意工夫して主体的に表現できるようさらに取り組んでいくことが大切であると考える。また、6年生が総合的な学習の時間において「大台町の魅力」について学ぶカリキュラムになっているので、その学習につながるように、1~5年生の学習も含め、6年間を見通した系統的な活動計画としたい。

今後とも大台町、校区、地域の良さを活用し、自然、人、学習素材を最大限に生かして教育課程を創り上げていくことが大切であると思う。これからも行動範囲を拡大させていくとともに多くの人との出会い、深い学びが実現するように取り組んでいきたい。

過去の活動報告