2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 環境

本校は「思考・判断・表現する力を育てる」をテーマとし、ESDを他人との関係性や自然環境との関係性と認識して、かかわりやつながりを自らつくろうとする教育の場ととらえている。そして、ESDの実践を通して、多面的かつ総合的なものの見方ができる思考力や、それをもとに判断・表現する力を育てることを通じて、人や自然と積極的に関わろうとする力の育成を目指した。
 具体的には、生活科、総合的な学習の時間を柱に、大杉谷自然学校と連携して学習を進める。大杉谷自然学校は、急速に失われつつある「地域の自然観や価値観」を次世代に伝える役割を担い、「持続可能な新しい社会の創造」に寄与することを目指すNPOです。
 学習内容は「生きる」の観点から①身近な生き物の観察や、生き物と環境のつながりに関する学習や「暮らす」の観点から②自然がもたらす恵みや災害に関する学習をおこなった。
①身近な生き物の観察や、生き物と環境のつながりに関する学習
 1,2年生は、学校の近くを流れる大谷川に行き、自然学校スタッフの指導の下、そこに住んでいる生き物の採取を行った。採取した生き物は最終的にリリースすることから、生き物を傷つけないように網等を丁寧に扱い採取するようにした。子どもたちは、一生懸命取り組み、アブラハヤやカワヨシノボリ、イモリやサワガニがたくさん見つかった。スタッフから、それらが住む川は、きれいな水であるという説明を受け、「きれいな水、川を守っていきたい」という振り返りをした子どもがたくさんいた。
 5年生は、自然学校のスタッフに、理科で学んだ「流れる水の働き」に関わる授業をしてもらった。スタッフが宮川上下流域5カ所から拾ってきた石が、どの場所の物かをグループ別に考え合った。下流の石は見分けられたが、上流はやや難しかったようだ。また「甌穴」での丸い石のでき方や伊勢神宮で遷宮の時入れ替えられる「お白石」についても教えてもらった。学習のまとめの段階では、人間にとっておそろしい風水害も、そこで住む魚(ねこぎぎ)にとっては必要な自然のサイクルであることを知った。大杉谷を通して、自然の力の大きさや自然と生き物との結びつきを学ぶことができた。

②自然がもたらす恵みや災害に関する学習
 4年生は、「森の学習」の一環として、自然学校スタッフと地元森林組合の方々にお世話になり、間伐体験を行った。杉や檜は植林し手入れをすることで、私たちに恵みをもたらす。しかし、近年、木材価格の低下や担い手の不足などから、放置された森林が多く、それが原因で土砂崩れ等の自然災害が起きている。そのような話も聞いた上で、「泣いている山を、笑顔の山に」というスローガンのもと、間伐に取り組んだ。
 危険な作業を伴うので、森林組合の方に丁寧に指導を受けながら、伐採や皮剥の作業を行った。子どもたちは、自然との共存の大変さを感じつつ、それでも災害が起きないようにしていく取組を続けなければならないという感想も持つことができた。

来年度の活動計画

大杉谷自然学校と連携する事業は継続して実施されるので、令和2年度も「環境」を稼働分野として、現行のカリキュラムを継続・発展させると共に、他教科との関わりも大事にしながら改善したいと考えている。
 具体的には、これまで3年生で実施していた宮川ダム湖遊覧を通じたダム建設等に関わる学習は、5年生の流れる水の働きと関連させて学ぶようにする。4年生の「森の学習」については、総合的な学習の時間の主たる単元として位置づけ、子どもたち自らが調べたり、聞き取ったりする活動や地域の人への発信の場を設定したいと考えている。
 それぞれの素晴らしい体験の場が、その場限りの学習になってしまわないように配慮したい。