2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 環境

①2020年度活動分野 環境

②2020年度活動の概要

本校は「思考・判断・表現する力を育てる」をテーマとし、ESDを他人との関係性や自然環境との関係性と認識して、かかわりやつながりを自らつくろうとする教育の場ととらえている。そして、ESDの実践を通して、多面的かつ総合的なものの見方ができる思考力や、それをもとに判断・表現する力を育てることを通じて、人や自然と積極的に関わろうとする力の育成を本年度も目指してきた。
具体的には、生活科、総合的な学習の時間の学習を柱にして、大杉谷自然学校と連携して学習を進める。大杉谷自然学校は、急速に失われつつある「地域の自然観や価値観」を次世代に伝える役割を担い、「持続可能な新しい社会の創造」に寄与することを目指すNPOである。

学習内容は「生きる」の観点から①身近な生き物の観察や、生き物と環境のつながりに関する学習や「暮らす」の観点から②自然がもたらす恵みや災害に関する学習をおこなった。

①身近な生き物の観察や、生き物と環境のつながりに関する学習

1,2年生は、学校の近くを流れる大谷川に行き、自然学校スタッフの指導の下、そこに住んでいる生き物の採取を行った。採取した生き物は最終的にリリースすることから、生き物を傷つけないように網等を丁寧に扱い採取するようにした。子どもたちは、生き物に関心のある子が多く、グループで協力して懸命に取り組んだ。アブラハヤやイモリ、サワガニがたくさん見つかった。採取後、スタッフから、それらが住む川は、きれいな水であるという説明を受けた。振り返りでは「身近な川にたくさんの生き物がいて驚いた。これからも川をきれいにしていきたい」という感想を持った子どもがたくさんいた。

5年生は、16年前に宮川を襲った災害で大きな被害を受けた大杉地区の西さんのワサビ田を見学した。西さんは災害で、ワサビ田だけでなく、アマゴの養殖池や自宅まで、すべてを失った。その時、自然の恐ろしさを知ったのはもちろんだが、自然に対して畏敬の念を持たれたそうだ。そして、自然と共に生きることを決意し、再びワサビづくりやアマゴの養殖に着手されたそうだ。

子どもたちは見学を通じて、わさび田の水が意外と冷たくなかったこと、わさびは葉や茎もわさび味がすること、一つの養殖池には5000匹もアマゴがいること、アマゴの卵は色違いのイクラみたいなことなど、たくさんのことを体感したり初めて知ったりした。自然と共に生きようとする西さんの生き方は、努力、勉強、研究をし続けている人として子どもたちの目に映った。

 

②自然がもたらす恵みや災害に関する学習

杉や檜は植林し手入れをすることで、私たちに恵みをもたらす。しかし、近年、木材価格の低下や担い手の不足などから、放置された森林が多く、それが原因で土砂崩れ等の自然災害が起きている。4年生は、「森の学習」の一環として、自然学校スタッフと地元森林組合の方々にお世話になり、間伐体験を行った。そして、切り出した間伐材を市場で売り出すまでの過程を学習した。

間伐では、危険な作業を伴うので、森林組合の方に丁寧に指導を受けながら、伐採や皮剥の作業を行った。また切り出した間伐材がどうなっていくのかを市場の方に詳しく説明したいただいた。

子どもたちは、林業という仕事の大変さや自然との共存することの大変さを感じつつ、それでも自分たちが住む山間の大台町に再び災害が起きないようにしていく取組を続けなければならないという感想も持つことができた。

来年度の活動計画

③2021年度の活動計画

大杉谷自然学校と連携する事業は継続して実施される。令和3年度も「環境」を稼働分野として、現行のカリキュラムを継続・発展させると共に、子どもたちがより主体的に活動できるような内容に改善したいと考えている。

具体的には、低学年のカリキュラムの改善である。春には、学校近くの谷川に出かけて、そこに住む生き物の観察をしてきた。いろんなことを現場で教えてもらい、それはそれで意義深い学習ではあるが、生活科と関連させてさまざまな気づきを振り返る場の充実を図りたい。また秋にどんぐりや木の枝を使ったクラフト体験は、使用するものを自然学校スタッフが準備してくれていて、受け身的な内容となっていた。それを生活科の学習で「秋見つけ」の探検活動に出かけた時、自分たちで進んで集めてくるような活動を取り入れることにより主体的な関わりを育てたい。素晴らしい体験の場が、その場限りの経験のみの学習になってしまわないように配慮したい。