2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED), その他の関連分野








横浜シュタイナー学園 2018年度活動概要

当校は、「芸術としての教育」をその教育理念として、ESDを「世界と“わたし”はつながっている(世界の全体性を人間に取り戻す教育アプローチ)」と捉え、教育を芸術的に編成することで実効性のあるESD実践を行っています(詳細は平成29年度の報告書を参照して下さい)。

今年の本報告では、多岐にわたる活動の中からとくに、

  1. 教育の変容に関わる活動、
  2. カリキュラムを包括するビジョンが育む本質的な環境教育、
  3. 地域のESD拠点、SDGs推進の拠点として、地域とともにSDGsを推進する活動、
  4. 教育の柔軟性と多様性を保障する社会環境づくりへの取り組み、

を取り上げました。

上記(1)は、先に挙げた教育理念そのものに関わる活動です。SDGs目標4の「質の高い教育をみんなに」への取り組みにおいて、「そもそも教育に求められる質とはどのようなものか」を問うことがSDGs推進の必須事項と考えます。

上記(2)は、その具体的な事例となります。直接的にはSDGs目標7, 10, 12, 13, 14, 15に関わる内容です。

上記(3)(4)は、これらの実践を保障する社会基盤づくりへの取り組み事例です。GAPの「ESDに対する政策的支援」に推進力を提供し、SDGs目標4, 11実現につなげます。

以下に各活動分野の事例を紹介します。

  1. 教育の変容に係わる活動

    ESDに求められる教育の変容に向けて、授業や生活の隅々に浸透している当校のESDの本質を「ものがたり」の形式にまとめる取り組みを行いました。この取り組みは、本学校が2016年より採択されているサステイナブルスクール事業の成果物となる報告書として刊行予定です。この報告書をPDFで公開するかどうかは未定ですが、公開する場合には本ページの資料セクションに掲載いたします。

    また、この変容の理想を他校とも分かち合うために、第4回ユネスコスクール神奈川県大会(於:玉川大学)のための宣言文の草案を神奈川県ユネスコスクール連絡協議会に提出し、加盟校が共同で練った最終案が2018年12月15日の同大会で「ユネスコスクール神奈川宣言」として採択されました。

  2. カリキュラムを包括するビジョンが育む本質的な環境教育

    低学年で培ったESDの強固な土台の上に、植物学、化学、栄養学などが高度に連携して深いレベルのESDを実現している高学年(7~9年)の学びについて、教員の座談会を行い、それをまとめた資料をつくりました。この資料は、上記のサステイナブルスクール報告冊子に収録する予定です。

  3. 教育の柔軟性と多様性を保障する社会環境づくりへの取り組み

    昨年度に引き続き、これらの取り組みを持続可能にするための社会の側の仕組みづくりに取り組みました。そのための取り組みとして、

    • 横浜市の廃校利用者公募に応募しました。横浜市のまちづくり条例に基づいた地域のまちづくり団体と連携して、地域のESD拠点およびSDGs推進拠点となるビジョンを盛り込んだプランを提出しました。プランは選考委員から高く評価されましたが、総合評価で100点満点中3点差の僅差で次点となりました。
    • 神奈川県および横浜市の教育委員会との公民連携事業への参加(連携の重視については第3期横浜市教育振興計画にも明記される予定)、
    • 全国のフリースクールと連携した多様な学び保障法を実現する会への参加協力(総会で神奈川・横浜地域の状況報告等を行いました)、
    • 同じ教育理念を共有する学校間のつながりによる質保証の取り組み(東京学芸大学が文部科学省の委託調査研究事業として行ったフリースクールの自己評価・相互評価調査研究に当学校が協力しました)、

    等を行いました。

    このように、教育の現場が教育者としての良心と現実感覚によって直接的に社会制度に働きかけることができるのは、独立性が担保されたフリースクールだからこそです。このことが、GAPの「ESDに対する政策的支援」に推進力を提供し、SDGs目標4実現につながるものと考えます。

以上、2018年度活動概要(年次報告)


来年度の活動計画

横浜シュタイナー学園 2019年度活動計画

3年間の文部科学省サステイナブルスクール事業が終了したため、全国24校のサステイナブルスクールがそこで得た成果をこれから持続的にユネスコスクール・コミュニティに還元し、対話を深めていくことが課題となっています。

当校では、今年度制作したサステイナブルスクール報告書を幅広くサステイナブルスクールやユネスコスクール、教育大学などに共有し、深いレベルのESD、SDGs推進をテーマにした対話の機会を持っていきたいと考えています。そのために、次年度、以下の事業に取り組んでいくことを検討中です。

  1. サステイナブルスクール報告書の他団体への共有。
  2. サステイナブルスクール報告書にまとめたESDの深化をテーマに研修会をサステイナブルスクール報告会として開催し、他校との交流を深める。
  3. そこで得た経験をもとに、さらにこのテーマを深めていく。

また、2019年はヴァルドルフ/シュタイナー教育100周年の年に当たり、世界中でこの教育の次の100年を考えるプロジェクトが進められるため、サステイナブルスクールとしても次の100年を見据えた「変容」のイメージを描いてみたいと考えている。