2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 人権, 福祉, 食育

活動分野:減災・防災, 環境, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費, その他の関連分野

本校は約20年前に開発が始まった振興住宅地域に建つ学校である。近隣には整備された公園がいくつかあるものの、古くから残る田畑や森は少ない。そのため本校の児童は、自然とのふれあいや自然の中で行う体験学習の機会が乏しい。また新しいマンションが多いため、地域の古いお店や高齢者をはじめとした地域の人達とのふれあう経験も少ない。したがって地域にわずかに残る田畑で実際に体を動かしながら活動する学習や地域に住む幅広い世代の人々との交流を大切にしたいと考えている。

そのような現状から本校では、「社会とそこで生きる人たちとの出会いを通して学ぼう」をESDのテーマに掲げ、主に「地域の人たちと積極的にコミュニケーションする力」や「地域の人たちとのつながりを尊重する態度」、「自分の将来や自分たちの課題に付いて多面的、総合的に考える力」等の向上を目標に学習に取り組んでいる。

具体的には、人権、福祉、食育、防災教育を柱に、①障害者理解に関する活動、②米作りに関する学習、③自分の将来に係わる学習、④防災教育等を行った。

① 障害者理解に関する活動

4年生の総合的な学習の時間で「だれもがかかわり合えるように」をテーマに取り組んでいる。身体が不自由な人、言語の異なる人との実際の交流を通して、進んで助け合って生きていこうとする心や態度を育てることを目標としている。車椅子体験や目隠しをして歩くブラインド体験を通して、児童は普段気付かない身の回りのバリアについて考えるようになる。さらに実際に視覚障害者や聴覚障害者の方との交流を通して、手話を学んだり自分に手助けできることがないか考えたりできるようになっていく。最終的には身の回りの人々や事象についての課題を共感的に考えようとする児童が増えていことを考え本活動を設定した。

② 米作りに関する学習

5年生では毎年、地域の農家の方の協力をいただきながら「お米のひみつをさぐろう」と題して米作りに関する学習に取り組んでいる。本やパソコンを活用して調べた米や米作りに関する知識を実際の体験を通して学ぶことで、より深い理解につながっている。また実際の田んぼを借りて行う苗植えや雑草取り、稲刈りや脱穀の体験を通して、農家の方々の苦労を知ると共に、食べる物を育てることの尊さや大変さ、さらには地域に田んぼを残していくことの大切さを考えていくようになる。自分たちが育て収穫したお米を食べる際に感じるおいしさは、これまで食べた何よりもおいしいご馳走である。実際に、活動後は給食の残菜(特にお米)が目に見えて減少するほど児童には大きなインパクトのある学習になっている。「収穫祭」と題した会では、お世話になった農家の方々を招いて感謝の気持ちを伝え、学んだことを発表する。交流活動を通してさらに地域の方々との絆を強め、自分の住む地域に愛着をもつという面でも、非常に価値のある学習になっている。

③ 自分の将来に係わる学習

6年生の総合的な学習の時間で「自分を見つめて~夢の設計図をかこう~卒業・将来に向けて」と題してキャリア教育に取り組んでいる。本校の学区域は、多様な専門性を有する人達が多く住んでいる地域である。これまでにもプロサッカーチームの監督や楽団の音楽家、弁護士、大学教授、公認会計士など、様々なジャンルの話を伺うことで、児童が自身の将来についてそれぞれに夢をもち、目標に向かって努力しようとする態度を育成してきた。ゲストティーチャーから聞く話はあくまで学習の入口であり、ねらいは自分自身で将来のドリームマップを描き、どのように実現へのプロセスを積み上げていくのかを考えられるようになることである。最終的には保護者への発表会を開く。調べた内容を伝えることで、より現実的な課題として自身が意識するようになる。

④防災に関わる学習
近年、我が国は毎年のように地震や台風等による自然災害を経験している。また、世界的にも地球温暖化に端を発した異常気象や自然災害が頻発している。このような環境変化を受け、自分たちの生活をどのように見直していけばよいか、またどのような行動をとることで持続可能な社会にできるかを皆で話し合い考える学習に取り組む。また、災害から身を守る具体的な行動や未然防止のための備え等の取組についても皆で話し合いを通して学習を深めていく。

 

来年度の活動計画

2021年度も、基本的にはこれまでと同様の内容で行う予定である。様々に制限のある中での実施になることが考えられることから、これまでの活動を振り返り、各学年の反省・改善点および成果をまとめ、それを受け来年度の計画を微調整していく。

本校の教育課題の一番の柱は人権教育である。そのため、「他者と協力する態度」「コミュニケーションを行う力」「つながりを尊重する態度」の育成には重点的に取り組んでいく。各学年の学習計画を立案する際には、「人権教育」の視点を常にあわせもちながら指導計画づくりを心掛ける。