2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 国際理解, その他の関連分野

本校は、ESDを「持続可能な対馬を支える人材の育成」の手段と捉え、ESDの実践を通して「自ら課題を設定し、他者と協働して課題の解決を図る力を育成すること」を目標としている。具体的には、「環境」、「国際理解」、「持続可能な地域づくり」を柱に①環境問題に関する活動、②国際理解に関する活動、③持続可能な対馬をつくるための課題解決学習を行った。

 

ツシマウラボシシジミ保全のための植栽

 

 

① 環境問題に関する活動

国境離島である対馬には、国内外から漂着ごみが多く流れ着いており、これによる海洋汚染は主要産業である漁業に大きな影響を及ぼしている。毎年市主催の「日韓合同ビーチクリーンアップ事業」に参加するなどしているが、今年度はコロナ禍のため1学期の事業が中止となり残念であった。その代替活動として12月に近隣の海岸清掃ボランティアを行い、多くの生徒が参加した。またユネスコスクール部では、対馬固有種で絶滅危惧種のチョウ「ツシマウラボシシジミ」の保全活動を行っている。特に今年度は、食草を校内で栽培する活動を行い、部員以外にもその意義を周知することができた。このように、自分たちが生まれ育った地域の環境問題について考え行動する生徒の育成を行っている。

② 国際理解に関する活動

本校は韓国語や韓国の歴史について専門的に学ぶ国際文化交流科を設置している。生徒は韓国語を学びながら、韓国の高校や大学との遠隔授業・交流を通して国や歴史、文化について学習している。また、他科の生徒も遠隔会議システムを利用して、国内大学の留学生と交流したり、総合的な探究の時間に国際文化交流科の生徒から韓国語を教わったりするなど、国際理解に努めている。

③ 持続可能な対馬をつくるための課題解決学習

2年普通科・国際文化交流科の総合的な探究の時間に、「ESD対馬学」に取り組んでいる。生徒は1年次3学期に地域や行政機関と連携した各種講座を実施して地域の課題について学習した。2年次には実際に事業所や行政機関の方々にインタビューを実施して、課題に対する理解を深めた。その後補足のインタビューやアンケートを通して課題への理解を掘り下げ、3学期のポスタープレゼンテーション発表に向けて準備を行っている。このような学習を通して、様々な他者の意見に触れながら、地元対馬の持続可能性を探り、課題解決能力を養っている。

来年度の活動計画

2021年度は、「ESD対馬学」の取り組みをさらに発展させ、柱であるテーマ「環境」、「国際理解」、「持続可能な地域づくり」を中心に、SDGsの17のゴールを意識しながら生徒自ら地域の課題を発見し、内容の理解や解決策を探るための活動を行う。2020年7月に対馬市はSDGs未来都市に認定されたので、これまで以上に市・県の関係機関や地域の方々と協働して活動し、地域への理解を深めさせていきたい。

また、ユネスコスクール部では今後も「ツシマウラボシシジミ」の保全活動を行い、食草の栽培と保護区への植栽などにおいて、多くの生徒に活動を理解させ部員と共に行動していくように呼びかけていきたい。また新たに対馬固有の植物「オウゴンオニユリ」の栽培に挑戦することとした。遠隔システムで交流している本土の農業高校と連携しながら活動を行っていく。

さらに、2020年度は「日韓合同ビーチクリーンアップ事業」が中止となり、韓国の学生との直接の交流はかなわなかったが、それに代わる地域の海岸清掃や遠隔会議システムによる他国の学生との交流を実施し、国際交流部や報道部、生徒会などと連携して多面的な活動を行っていきたい。