2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解

本校は、聴覚に障害のある幼児児童生徒のための特別支援学校で「ことば豊かに 強く 明るく」を校訓としている。聴覚障害のある幼児児童生徒にとってESDを社会とのつながりと捉え、「持続可能な社会づくりのために、自ら考え主体的に社会と関わろうとする幼児児童生徒の育成」を活動理念としてESDに取り組んだ。具体的には、幼稚部、小学部、中学部、高等部それぞれの発達段階や実態に応じて、①環境教育に関わる活動、②伝統文化の継承に関わる活動、③国際教育に関わる活動を行った。これらの活動を行う中で、ユネスコスクールが重点的に取り組む三つの分野を通して、持続可能な開発及び持続可能なライフスタイルの構築や、異文化学習及び文化の多様性と文化遺産の尊重する力の育成を目標とした。

環境教育に関わる活動

幼稚部では、季節ごとに校内外の自然に触れ、親しんだ。5月からカタツムリやチョウなど、身近な生き物の飼育・観察を行ったり、9月に校内で虫取りをしたりした。図鑑で名前や特徴などを調べるうちに、生き物を大切にしようとする心が育ち、愛情をもって接することができるようになった。また、年間を通して、校内の畑で季節の野菜を育てた。収穫した野菜を持ち帰ることで、家庭での食育にもつながり、野菜への苦手意識の軽減、食への興味・関心が広がってきている。

また、小学部や中学部で実践している、ごみの分別方法を参考にして、教室内のごみ箱に分別表を貼った。表に描かれている絵とごみを照らし合わせて、楽しみながら分別する姿がみられるようになった。

中学部では、インターネットを利用して海に関する環境問題を調べ、海に関するクイズ(海の生物、海のプラスチックごみとその対策)にまとめた。10月に実施した野外活動では、海岸の清掃活動を行った。その中で、海岸に落ちているごみの量を知り、海の環境が汚染されているという実感や課題をもつことができ、ごみが出る原因を考えるきっかけとなった。また実生活でも、環境に配慮していこうとする意識を育てることができた。

高等部では、総合的な探究の時間内にESD探究グループが「フードロス」について考え、自分にできる取組を実践した。身近な問題として捉え、自分たちも持続可能な社会の担い手であると考えるきっかけになった。

伝統文化の継承に関わる教育

小学部では、クラブ活動や総合的な学習の時間、音楽等において、全ての児童が和太鼓の練習に取り組んだ。地域への発信として、8月4日(水)に、3~6年児童が地域の発表会(豊橋市教育委員会主催「小中学生のための芸能フェスティバル」)で練習の成果を発表した。短い練習期間ではあったが、日頃の練習の成果を発揮することができた。また、2月17日(木)に、ESD発表会として、保護者に向けて小学部全児童による和太鼓の発表を計画している。小学部全児童で「海のお囃子(全児童)」と「秩父屋台囃子(5、6年)」の2曲を演奏する予定である。高学年を中心に、発表に向けて休み時間なども使いながら一生懸命練習に取り組んでいる。

国際教育に関わる活動

小学部、中学部、高等部において、外部講師を招いた国際理解交流をそれぞれ年1回実施している。7月にはスイス(中学部)についての話を聞き、他国の文化へ関心や知識を広げることができた。アメリカ(小学部:1月)、パキスタン(高等部:2月)との国際交流も実施予定である。

高等部では、総合的な探究の時間において、国際理解活動に取り組んだ。興味のある国の文化について調べる学習を行った。また、実際にニュージーランドのKo Kaku Teo 聾教育センターの生徒とオンラインで交流した。お互いの国の手話表現を紙やホワイトボードに英語で書いて教え合い、他国との文化の違いに対する理解を深めることができた。

来年度の活動計画

2022年度も、「持続可能な社会づくりのために、自ら考え主体的に社会と関わろうとする幼児児童生徒の育成」を活動理念として、①環境教育、②伝統文化の継承、③国際教育の三つの分野を柱にした取組を継続していく。

野菜の栽培、生き物の飼育など自然との触れ合いを大切にした活動(幼稚部)、和太鼓の練習と地域での発表(小学部)、地域の清掃活動や体験的な活動を取り入れた環境学習(中学部)、ニュージーランドのKo Kaku Teo 聾教育センターとの交流(高等部)など、年齢や発達段階に合わせた特色ある活動を行っていく予定である。