2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 気候変動, 環境, 国際理解, 平和, 人権, 持続可能な生産と消費, 食育

 当校は、昨年度同様「真に自立した人間を育てる」を教育目標として、ESDをシュタイナー教育と考えを一にするものと捉え、ESDの実践を通して「知情意のバランスがとれた、自立して積極的に社会に関わり社会に自分の力を寄与する」人間を育てることを目標とした。
今年度はサスティナブルスクール最終年度にあたる一年だった。具体的には、SDGにある持続可能な社会を作っていくことを柱に、①小中学部における食及び地域の自然と関わる活動、②高等部における地学及び様々な実習、SDGにある平和な社会を作っていくことを柱に③高等部におけるヨーロッパ美術旅行に関わる活動を行った。国際理解の一環としては、10人の生徒が交換留学を行った。また、国際文化フォーラム主催の、日韓のことばを学ぶ中高生交流プログラム「Soulでダンスダンス」に高等部生徒が一人参加した。このプログラムをきっかけに、彼は今も韓国語を学び続け韓国で出会った多くの友人とつながっている。

①小中学部における食、及び地域の自然と係わる活動
3年生から8年生(中学2年生)まで各クラスの畑を持っており、収穫できた野菜を年間を通じて料理し食べる学びを行った。特に3年生では、自分達が苗から育てた米を脱穀精米して食べるという取り組みをした。自然の恵みに感謝すると同時に、自分の手足を使って働くことを通して、自分の身体を作る(食べる)大切さを学んだ。また地元の麹を使って味噌を作る、地元でしか取れない東光寺大根を干して漬物を作る等、地元の人々とのつながりも大切にしながら食育の学びを行った。

②高等部における地学、及び様々な実習
今年度、ユネスコスクールSDGsアシストプロジェクトで頂いた凹凸のある地球儀や世界地図を使って、地学の学びを行った。海や陸の立体的様子の観察から気象現象を捉え、そこから人間活動への影響、さらには逆に人間活動の自然への影響を考えた。11年生(2)では、エコロジカルフットプリントという概念を通して経済地理を学んだ。
9年生(中3)では、宮崎県綾町の農家に3週間滞在し、働きながら自然農や有機農といった持続可能な農業と食について学んだ。持続可能な社会を作ることを生き方として選んだ農家の人々から直接話を聞くことが、大きな学びとなった。
また11年生(高2)では、障碍者施設で3週間の福祉実習を行った。そこでは様々な個性を持った人々と直接触れ合うことにより、私達様々な人間がお互いに助け合って生きていることを学んだ。
12年生(高3)では、生態系の見方を学び、森林開発及び森林保全の在り方を学ぶことを目的とし、東京都大島で3日間自然観察学習を行った。

③高等部におけるヨーロッパ美術旅行
12年生(3)では、高等部4年間を通して学ぶ美術史と建築史の学びの総括として、ヨーロッパに3週間の美術旅行に行った。ドイツでは数か所のシュタイナー学校にホームステイをし、学びの発表および生徒同士の意見交換を行った。この旅行の目的は、人間の意識の変遷が表現されている美術作品を観るということの他に、平和教育を実践することでもある。生徒達は、ユネスコスクールでもあるニュルンベルクシュタイナー学校教師の引率で、帝国党大会会場文書センターを訪問し現代史を振り返るとともに、平和への思いを新たにした。この平和教育の基盤となるのが、ドイツの人々との心温まる交流だと考える。国という枠を越えて、人と人とが繋がることを若者たちが学ぶ意義は計り知れない。

来年度の活動計画

小学部12年生:年間を通じ、散歩など多摩川の自然と直接触れ合うことから学ぶ。

小学部3年生:校内の田んぼでの米作り。地元の職人の方々から学ぶ。

         近所の農家、職人の方々との交流。

小学部4年生:郷土学で多摩川の歴史、人々の暮らしを学ぶ。

小学部56年生:人間とのつながりの中で動物学、植物学、鉱物学を学ぶ。

小中学部78年生:奥多摩合宿で、カヤックや登山などの活動を通し自然から学ぶ。

高等部9年生:農業実習(宮崎県綾町)

高等部10年生:職業実習、測量実習(長野県野辺山町)及び八ヶ岳登山

高等部11年生:福祉実習、経済地理(エコロジカルフットプリント)、

一部生徒による他国シュタイナー学校との3か月間の交換留学

高等部12年生:ヨーロッパ美術旅行、自然観察学習(東京都大島町)、民族地理、

          卒業論文発表