2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 食育

当校は「世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はあり得ない」という宮沢賢治の理念を受け継ぎながら、シュタイナー教育を実践している。ESDをシュタイナー教育と考えを一にするものと捉え、「自然や人との関わりの中で、真に自立した人間を育てる」ことを教育目標として、ESDの実践を行った。

小中学部における野菜と米作り、国際理解教育、野外劇

3年生と6~8年生までは各クラスの畑を持っており、1年間を通じて野菜を育てた。3年生は米作りにも取り組み、校内に田んぼを作るところから収穫するところまで行った。季節を感じながら野菜を育て収穫し食べ、と体験を通して学ぶことで、自分がこの世界と繋がって生きていること、自分が世界に働きかけることの大切さを感じることを目標とした。

6年生では地理学「アジアの学び」の中で韓国の親の方に来てもらいお話を聞いた。子どもたちはチマチョゴリを着て、ユンノリという遊びを行った。アジアにある他国の民族の文化について学ぶことで、その場所が自分と身近に繋がったものになること、大きな意味での人類愛を育むことを目標とした。

どの学年も、演劇や発表の取り組みを大切にした。その中で6年生はギリシャ神話の劇に取り組み屋外で発表した。親や他学年の子ども達の前で、堂々と演じたことは子ども達にとって大きな学びとなった。

高等部における農業・福祉実習および卒業論文

9年生(中3)は、照葉樹林の森を保護している宮﨑県綾町に3週間宿泊し、農業実習を行った。夜は実践場で自炊をしながら宿泊し、日中は数人ずつのグループに分かれて同じ農家で毎日実習をした。大地と繋がって働くことによって子ども達の意志の力を育み、また自分が世界に関わることでその結果が食物の実りという形で現れてくるということを体験として学ぶことを目標とした。3週間の体験を経た後の報告会では「スーパーで目にする野菜が、今までとは全く違って見える。」という発言があった。

11年生(高2)は、地域の老人ホームや福祉作業所で2週間の福祉実習を行った。日常生活であまり出会う機会のない方々と長期間にわたって関わる中で、どの人間も社会で大切な役割を果たしており、一人一人がいて社会が成り立っている、ということを生徒たちが学ぶことを目標とした。報告会では「自分は人を助けるつもりで行ったけれどそれは大きな間違いで、自分が彼らから作業のやり方を教えてもらい、緊張しているところを明るさで助けてもらった。」という発言があった。

12年生では各自テーマを決めて、卒業論文プロジェクトを1年間かけて行った。毎年テーマは様々だが、今年は「衣服が与える環境問題」「建築と環境」「原子力発電からの脱却を軸に再生可能エネルギーへの転換の可能性を考える」「新デモクラシー社会の作り方」など、ESDのテーマと重なるものが多かった。

 

来年度の活動計画

小学部1、2年生:年間を通じ、散歩など多摩川の自然と直接触れ合うことから学ぶ。

小学部3年生:校内の田んぼでの米作り。

小学部4年生:郷土学で多摩川の歴史、人々の暮らしを学ぶ。

小学部5、6年生:人間とのつながりの中で動物学、植物学、鉱物学を学ぶ。

小中学部7、8年生:奥多摩合宿で、カヤックや登山などの活動を通し自然から学ぶ。

高等部9年生:農業実習(宮崎県綾町)

高等部10年生:職業実習、測量実習(長野県野辺山町)及び八ヶ岳登山

高等部11年生:福祉実習、経済地理(エコロジカルフットプリント)、

高等部12年生:美術旅行、自然観察学習(東京都大島町)、民族地理、卒業論文発表

ジェンダー教育の実践者を招待しての授業、市議会議員を招待しての授業

※「お弁当の日」映画上映会