2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 気候変動, 環境, 文化多様性, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 持続可能な生産と消費

当校は「真に自立した人間を育てる」を教育目標として、ESDをシュタイナー教育と考えを一にするものと捉え、ESDの実践を通して「知情意のバランスが取れた、自立して積極的に社会に関わり社会に自分の力を寄与する」人間を育てることを目標とした。今年度はコロナヴィルスの影響下、本来学校で行ってきた様々な活動、特に小学部での食に関する学びと高等部における学外での実習が制限されたが、その中で人と人とが繋がる大切さを再認識した。高等部ではオンライン授業も行ったが、対面で行う授業との質の違いを実感させられた。

➀Podcastによる学校から各家庭への発信

昨年度春の休校期間中は、全校生徒に対して毎日自宅で出来る課題を用意した。また、担任は毎日自宅に電話をし、生徒のリズムある生活と学びをサポートした。その一方で、学校にいけない期間の子どもの生活を支える保護者にもサポートが必要だと考え、教師がPodcastを作成し毎日全家庭に配信した。内容は子どもの見方で合ったり、担任からのクラスの様子であったりと、保護者が学び、お互いに繋がりあえるものとなるよう心掛けた。このPodcastを使った学びは、保護者からの声もあり休校後も回数は減らしたものの現在も続けている。

②小中学部における地域の自然と関わる活動、外国籍の親を通しての国際理解

3年生から8年生まで各クラスの畑を持っており、野菜を育て収穫することは1年を通じて行った。例年なら収穫後に料理をして食するところまで行うのだが、今年は収穫物を自宅に持ち帰ることにした。3年生は米作りに取り組んだ。本校は多摩川のすぐ脇にあるという立地を活かした学びにも力を入れた。低学年では多摩川沿いを散歩し、後に学ぶことになる植物や鳥に自然な形で出会い、4年生では郷土学につて玉川上水まで歩いて行って学んだ。また5、6年生は多摩川の上流を歩き自然を体験した。6年生では地理学でアジアの学びを行ったが、その際に中国と韓国の親の方に来てもらいお話を聞いた。中国の学びでは四声を教えてもらい、漢詩を漢語(中国語)で読む体験をした。韓国の学びではチマチョゴリを実際に子どもたちが着させてもらい、ユンノリという遊びも一緒に行った。

③高等部における環境学習、日本文化の学び

今年度唯一高等部で実施出来た実習は、10年生の長野県野辺山での測量実習と八ヶ岳登山だった。コロナヴィルスの影響下、家にこもりがちだった生徒達にとって大自然の中での学びは貴重な機会だと考え、実施した。また10年生は凹凸のある地球儀や世界地図を使って、地学の学びを行った。海や陸の立体的様子の観察から気象現象を捉えそこから人間活動への影響、さらには逆に人間活動の自然への影響を考えた。11年生では、エコロジカルフットプリントという概念を通して経済地理を学んだ。12年生では各自テーマを決めて、卒業論文プロジェクトを1年間かけて行った。毎年テーマは様々だが、今年は「日本林業の再生」、「認知症」、「日本の田舎と空き家リノベーション」など、ESDのテーマと重なるものが多かった。また12年生は例年なら美術旅行でヨーロッパへ行くのだが、今年は京都旅行へと変更した。授業で建築史を学んだ後に京都と奈良を訪れることで、日本文化への深い理解へと繋がったと思われる。

来年度の活動計画

小学部1、2年生:年間を通じ、散歩など多摩川の自然と直接触れ合うことから学ぶ。

小学部3年生:校内の田んぼでの米作り。

小学部4年生:郷土学で多摩川の歴史、人々の暮らしを学ぶ。

小学部5、6年生:人間とのつながりの中で動物学、植物学、鉱物学を学ぶ。

小中学部7、8年生:奥多摩合宿で、カヤックや登山などの活動を通し自然から学ぶ。

高等部9年生:農業実習(宮崎県綾町)

高等部10年生:職業実習、測量実習(長野県野辺山町)及び八ヶ岳登山

高等部11年生:福祉実習、経済地理(エコロジカルフットプリント)

高等部12年生:美術旅行、自然観察学習(東京都大島町)、民族地理、卒業論文発表