2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 平和, 人権, その他の関連分野

本校では、学校教育目標「共に未来を築く、心豊かで、かしこくたくましい子どもの育成」の実現に向け、大きく2つの柱を立ててESDを推進している。

1つ目の柱は、東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センターの支援を受け、「天領小学校・みなと小学校・天の原小学校・駛馬小学校の4校が連携した海洋教育」を通したESDを展開している。

2つ目の柱は、体育科を中心に、人々・社会と関わる課題解決的な活動を重視し、「オリンピック・パラリンピック」を通したESDを展開している。

具体的には、①海洋教育「海に親しむ」「海を知る」に関する学習 ②海洋教育「海を守る」に関する学習 ③海洋教育「海を活用する」に関する学習 ④オリンピック・パラリンピックに関する学習を行った。

  • 海洋教育「海に親しむ」「海を知る」に関する学習(SDG14)

本校校区に有する「宝の海 有明海」は世界でも有数規模の干潟を擁しており、そこに棲息する生物は実に多様なものである。そこで、大牟田市のネイチャーガイドから有明海の特徴や生物についてガイダンスを受けた後、実際に干潟に入り海に棲息する生き物を採集・観察する干潟観察会を行った。その後、それらの生物の生息場所や、特徴、食べ物などについての調べ学習を行い、みなと小学校・天の原小学校・駛馬小学校とのZoomをつかった交流学習の中で意見交流を行った。また、「海まつり」を開き、他学年の子どもたちに対して学習を通して学んだことや考えたことなどを発信した。

  • 海洋教育「海を守る」に関する学習(SDG14)
        1. 「守る」ためには「大切に思う」ことが必要となる。校区を流れながらも、子どもたちにとってはなじみの薄い諏訪川中流域で「カヌー体験教室」を開催し、そこで感じたことや考えたことなどをもとに学習の展開を行った。具体的には、校区に面した諏訪川下流域における生き物調査やゴミ回収活動などを通して学んだことや考えたことなどを、みなと小学校・天の原小学校・駛馬小学校とのZoomをつかった交流学習の中で意見交流を行った。さらに、川や海の環境を守るためにできることを考え、環境を守ることの大切さを訴えたポスターを作成し、校内に掲示するだけでなく、公共施設や近隣の店舗などにお願いして掲示をしていただき、自分たちの考えを発信した。
  • 海洋教育「海を活用する」に関する学習(SDG14)また、アートマイル協働学習(メキシコ フォルムス校)を通して、海外の子どもたちと自分たちの健康や環境を守っていくことの大切さなどの意見交流をすることができた。
      1. 「これから先の大牟田の未来を考える」学習活動を展開した。具体的には、5年生で国土交通省九州地方整備局による出前授業や現地見学を行い、三池港の歴史や役割等を学ぶとともに、築港から100年以上たった現在も稼働している三池港閘門の様子や周辺の地形の様子を見学した。さらに、三池港物流株式会社とつながり物流面に目を向けて調べ学習を行い、三池港の存在意義や港を維持することの大切さなどを学んだことなどを、みなと小学校・天の原小学校・駛馬小学校とのZoomをつかった交流学習の中で意見交流を行った。さらに、自分たちの保護者や地域の人々に向けて、三池港の素晴らしさを伝えるための発信活動を行った。

次に、6年生では、今までの学びをもとに有明海沿岸部の事業計画や利用状況などを調べ、今後の有明海を活用したまちづくりについて考える学習展開を行った。そこで学んだことや考えたことなどを、みなと小学校・天の原小学校・駛馬小学校とのZoomをつかった交流学習の中で意見交流を行うとともに、九州地域の他の海洋教育推進校と子どもサミットを通して交流したり、全国海洋教育サミットで発表したりして自分たちの考えを発信した。

  • オリンピック・パラリンピックに関する学習(SDG3)
      1. 2020シドニーパラリンピック男子車椅子バスケットボール日本代表チームのキャプテンを務められ、現在は大阪府内のチーム「B-spirits」でコーチングプレイヤーとして所属されている根木慎志選手を招聘し、お話を聞いたり体験活動をしたりした。具体的には、高校3年生の時に交通事故に遭い脊髄を損傷した後、車椅子の生活を余儀なく送ることになり、失意と絶望感に包まれているときに車椅子バスケットボールと出会ったこと。そして、持ち前の「ポジティブ精神」と「リーダーシップ」で国内トップクラスの車椅子バスケットボール選手までに成長された経験談をもとに、目標に向かって努力を続けていくことの大切さ、気持ちの切り替え方などの貴重な示唆をいただいた。また、実際に競技用車椅子に乗って根木選手との体験活動を通してチームワークの大切さなどを教えていただいた。

来年度の活動計画

 来年度も「海洋教育」(SDG14)と、「オリンピック・パラリンピック」に関する学習(SDG3)の2本の柱でESDを推進していく予定である。

「海洋教育(海に親しむ・海を知る・海を守る・海を活用する)」(SDG14)に関する学習では、本年度作成した実践事例集をもとに学習の展開を行う。その際、デルタ型海洋教育を推進するために、みなと小学校・天の原小学校・駛馬小学校との役割分担を意識した上で、学習過程や他教科との関連の確認、GTの発掘などを行い、それぞれの学校の特色が出るものにしていく。また、他地域の海洋教育推進校との交流学習などを通して、自校の教材の見直し・改善や開発を行っていく。

また、「オリンピック・パラリンピック」(SDG3)に関する学習では、オリンピアンやパラリンピアンを招聘・交流することで、自分たちのよりよい生き方について考えるとともに、1年延期された2020東京オリンピック・パラリンピックの本番に向け、自分たちにできることなどを考え、行動化に結びつけていく。