2018年度活動報告
本年度の活動内容
生物多様性, 国際理解, 持続可能な生産と消費, 減災・防災, ジオパーク, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)
本校は学校全体で、持続可能な開発のための教育(ESD)の理念を総合的な学習の時間をはじめ教科や課外活動などに積極的に取り入れている。3年間のテーマとして「温郷知新 ~地元に学び、世界を舞台に活躍できる人材の育成~」(*温郷知新とは「ふるさとをたずね、あたらしきをしる」という意の本校の造語)と、“Think Locally, Act Globally”を設定している。育む力として郷土への愛着と誇りを高め、異なる文化や価値観を持つ集団の中で認められる日本人としてのアイデンティティを確立し、持続可能な社会づくりに取り組む態度を養うことを目的としている。
①地域魅力発見・課題解決探究に係わる活動(総合的な学習の時間)
入学後すぐ個人単位で「地元の魅力発見」をテーマにフィールドワークや調べ学習とプレゼンテーションを行っている。クラス全員の発表を聞くことで生徒それぞれが考える地元の魅力を相互に知ることができ、地元への誇りを醸成するとともに、調べて発表する楽しさややりがいを通して課題探究へ向けてのモチベーションを高める効果もある。 その後、「直面する課題解決にむけて」「地元の強みを活かすには」を大テーマにグループ単位で課題発見・課題解決型の探究活動に取り組んでいる。田辺市をはじめ地元の様々な組織・企業・商店などの協力と支援のもとフィールドワークを実施し、最終のプレゼンテーションで提案・提言ができることを目標に取り組ませることで、自分が地元社会に役立っている自己有用感を得ることも目的としている。
②世界遺産の保全と持続可能な質の高い観光地づくりに係わる活動(生徒有志による活動)
ここ数年で急増した世界遺産の熊野古道を訪れる外国人観光客に焦点を当てて活動を行っている。まず客観的な知識を得るため、世界遺産と熊野古道、観光開発と環境保全に関連して「持続可能な質の高い観光地」をテーマに世界遺産関係者、田辺市や和歌山県の観光振興課による講演、ワークショップを実施している。実際に熊野古道を歩き、古道保全の道普請を行う中でその中で外国人観光客や地元の人にインタビューなどを行うことを継続的に行っている。
③多文化共生社会実現に係わる活動
外国人観光客を対象とした活動や調査の中から、国内に定住している外国出身の観光客が一定数あることが分かり、田辺市を中心に在住する外国人にも焦点を当て活動を始めている。この流れで、本校生徒が企画運営を担う形で、平成30年度に引き続き7月に交流イベント「防災T-Café」を田辺市生涯学習課、国際交流センター・防災まちづくり課とともに開催した。
多文化共生社会の実現に向けて、高校生が地元に住む外国人と地元住民を結ぶ架け橋となり、同時に外国人同士のコミュニティづくりのきっかけとなることを意図してのものであった。出身国を問わず子供から地元の年配の方まで幅広い層の参加者があり、田辺市のハザードマップの作成や起震車体験などを通して大変盛り上がり、成功をおさめた。田辺市における多文化共生社会の実現に向けて、高校生が架け橋になりたいという強い気持ちで今後も続けていきたい。
来年度の活動計画
・平成29・30年度に引き続き、在留外国人との交流イベント「T-Cafe」などを複数回開催し、多文化共生社会の実現に向けた生徒・地元の人などの輪を広げる。
特に31年度は防災をテーマに「防災T-Café」として行う(田辺市生涯学習課、田辺市国際交流センター・防災まちづくり課と協業)
・田辺市生涯学習課と連携して、生涯学習フェスタへの出展を行い、本校の取り組み発表やSDGs・ESDへの理解と協力の輪を広める。(田辺市教育委員会生涯学習課と協業)
・世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に関係した取り組み(道普請や外国人観光客へのアンケートなど)を継続して行う。(和歌山県世界遺産センター、株式会社花王との協業)
・紀南ユネスコ協会や和歌山ユネスコ連絡協議会と連携して、ユネスコスクールの取り組みの普及活動を行う。(総会での発表やイベントへの参加)