2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 健康, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

1.「第2回ユネスコスクール関東ブロック大会」(2021年8月7日)における大学間協同と分科会実施

玉川大学教育学部は、ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)加盟大学として、首都圏に位置する他のASPUnivNet加盟大学(東海大学、創価大学、成蹊大学)、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)および神奈川県ユネスコスクール連絡協議会と連携し2019年10月5日(土)に「第1回ユネスコスクール関東ブロック大会」を開催しましたが、この成果を受け「第2回ユネスコスクール関東ブロック大会」が成蹊大学主催で2021年8月7日(土)に開催されました。

玉川大学教育学部も共催大学として、大妻中野中学校高等学校と連携して、第1分科会「SDGs目標達成に向けて私たちにできること - 高大連携による共同イニシアティブの試み」を企画実施し、大会準備と運営に協力しました。第1分科会は、大妻中野中学校高等学校のアゴラでの対面交流とオンライン参加とのハイフレックス方式で実施されました。会場では約50名、オンラインでは73名が参加しました。この分科会では、1)ホールスクールでSDGs学習を進めている大妻中野高校の生徒4チームがそれぞれSDGsに関連するテーマ(①子ども食堂、②ごみ問題、③アニマル・ハラスメント、④日本とフランスの教育)についてプレゼンテーションを行い、それぞれについて玉川大学ユネスコクラブの学生がコメントを加えました。2)この高校生のプレゼンテーションに基づき、SDGs目標達成に向けた教育の役割について、玉川大学の学生と大妻中野高校の生徒がパネルディスカッションを行いました。3)さらに、世界のユネスコスクール・ネットワークに向けた玉川大学と大妻中野高校との「ユース共同声明」を日本語・英語・フランス語の3か国語で作成し、発表しました。共同声明はユネスコ本部に送付しました。

2.ユネスコスクール加盟申請校への指導と教員研修

玉川大学教育学部は2021年度、ユネスコスクール加盟申請中の八千代市立みどりが丘小学校、町田市立町田第五小学校、八千代市立高津中学校、板橋区立緑小学校、東京女学館小学校・中学校・高等学校、創価大学、実践女子学園中学校・高等学校、板橋区立西台中学校、町田市立小山田小学校、八千代市立南高津小学校、八千代市立新木戸小学校、八千代市立高津小学校、八千代市立西高津小学校、創価高等学校、八千代市立東高津中学校、日本体育大学柏高等学校、秀明八千代中学校高等学校にてユネスコスクール加盟に向けたESD教員研修を行い、ASPnet加盟に向けた校内体制整備およびカリキュラム開発についてアドヴァイスをすると同時に、これらの加盟申請校のチャレンジ期間終了に関する可否判断を行いました。創価大学グローバルシティズンシッププログラムではユネスコ価値教育の今日的意義についての特別講義を行い、淑徳SC中学校高等学校ではユネスコ世界遺産教育の意義について講演を行い、それぞれの学校首脳陣とユネスコスクール加盟申請に関する展望について協議しました。またユネスコスクール加盟申請を予定している横須賀学院高等学校ではASPnetの趣旨と意義について教員研究会および生徒への出張授業を行いました。さらにユネスコスクール・キャンディデート校となった大妻中野中学校・高等学校の校内行事「グローバル教育発表会」に審査員として参加し、講評と指導を行いました。

3.公開シンポジウム「SDGs目標達成に向けた異文化間教育と国際理解教育の役割 - ユネスコとの連携を再構築する」

玉川大学教育学部は、2021年6月11日(金)~13日(日)にかけて、異文化間教育学会第42回大会・日本国際理解教育学会第30回研究大会合同大会をACCUを協力団体として開催しました。とくに6月12日(土)14:00~17:00にはユネスコ本部の斎藤珠里ユネスコスクール国際コーディネーターを基調講演にお迎えして、公開シンポジウム「SDGs目標達成に向けた異文化間教育と国際理解教育の役割 - ユネスコとの連携を再構築する」がウェビナーで開催され、254名が参加しました。ユネスコ本部の斎藤珠里氏による基調講演を受けて、異文化間教育学会の佐藤郡衛理事長、日本国際理解教育学会の森茂岳雄会長、大阪市教育委員会の池田花笑子氏による話題提供が行われ、ユネスコ、日本国際理解教育学会、異文化間教育学会の三者がSDGs目標達成に向けてどのように連携してゆけるかについて多角的かつ野心的な議論が展開されました。

4.ASPnetホームページの開設:「ESD実践活動プログラム」と「高等教育におけるESD指導に向けた教材開発の試み」

玉川大学教育学部は卒業生の大半が学校教員になることから、学校現場でESD/SDGsを効果的に教えることのできる教師力の育成を目標に掲げ、学部等改革推進制度として「ESD実践学習プログラム」を実施しました。外部機関の訪問をはじめ、近隣の小学校でのボランティア活動、自然文化体験活動などを行いました。また参加学生は小学校現場で使うことのできるESDワークシート教材を作成し、持続可能な社会の担い手を育成する教師のESD指導スキルの向上に努めました。また学内共同研究として、「高等教育におけるESD指導に向けた教材開発の試み」を実施し、大学の教師教育プログラムにて活用できるESD教材の開発を行いました。これらの成果を含め、2020年4月に玉川大学教育学部ホームページに「ユネスコスクール加盟大学として」という特設サイトを開設し、ユネスコスクール加盟校である高等教育機関としてのビジョンの共有と広報を図っています。今後は教育学部のカリキュラムの中にESD/SDGs教育指導法を正規の科目として単位化する形で組み入れていく計画を進めています。

5.アジア太平洋地域GCEDネットワークのコアメンバーとして

玉川大学教育学部は、ユネスコ・バンコク事務所が運営する「アジア太平洋地域GCED(地球市民教育)ネットワーク」のコアメンバーとして数次にわたるウェブ会議に参加し、アジア太平洋地域におけるGCED(地球市民教育)の普及と拡充に協同しました。ユネスコ・バンコク事務所が作成した「教師のためのGCEDミニガイド」では部分執筆し、日本を含むアジア太平洋地域におけるSDGs目標達成に向けたユネスコスクール間の交流と連携の意味を分析しました。とりわけ2021年度は、ユネスコ・バンコク事務所、日本国際理解教育学会、韓国国際理解教育学会と共同で、2021年9月25日(土)に、「アジア太平洋地域GCEDネットワーク・オンラインフォーラム」を開催し(19の国・地域から178名が参加)、国際理解教育における日韓の連携を深めるとともに、アジア太平洋地域でのGCEDネットワークの拡充と教師教育、教材開発に寄与しました。

6.京都外国語大学との共同研究および交流授業

ASPUnivNet加盟大学である京都外国語大学の学内共同研究「『グローカル』マインドを育てる文化多様性・多文化共生教育および平和へのキャリア形成を目指して」に協力大学として参加し、共同の研究活動・協働学習活動を進めています。また2021年10月30日(土)にオンライン大学間交流授業「アジア共同体の形成を目指して」を開催し、日韓の対立等多くの問題を抱えるアジアにおいて広域共同体を形成する可能性と課題について、京都外国語大学、玉川大学教育学部、釜山外国語大学の3大学の学生間で協同討議を行いました。さらにこの成果を受け、2022年1月15日(土)に再び3大学間で大学間シンポジウム「アジア共同体の内実を問う ー アジア太平洋地域のグローバル市民教育(GCED)を探る」を開催予定です。京都外国語大学とは、ASPUnivNet運営委員会でのコラボも含め、SDGsの目標達成に向けた大学間交流と協同の課題研究の可能性を追求していく計画です。

7.「第5回ユネスコ・フォーラム」でのポスター発表

ユネスコ本部の主催で2021年11月29日~12月1日にオンライン開催された国際会議「持続可能な開発、地球市民、健康と福祉のための変容的教育に関する第5回ユネスコ・フォーラム」(5th UNESCO Forum on Transformative Education for Sustainable Development, Global Citizenship, Health and Well-being)にてポスター発表を行い、ASPUnivNetをはじめとする日本におけるユネスコスクール支援の取り組みを世界のユネスコ関係機関に紹介しました。

8.玉川大学ユネスコクラブの活動

1)大学公認の文化会である玉川大学ユネスコクラブ(2003年設立)はユネスコスクール加盟大学の課外活動団体として、「持続可能な社会づくりのために大学生ができること」をテーマにした実践活動を展開しています。2011年7月には日本ユネスコ協会連盟に構成団体会員として加盟しました。2021年度は通常活動として「SDGsワークショップ」を実施し、SDGs5(ジェンダー平等)およびSDGs10(不平等の是正)をテーマにした学生主体のワークショップにより持続可能な社会の担い手育成に向けた実践学習を進めています。またユネスコクラブ部員全員が世界遺産検定3級(ないし2級)を取得することを目標に、世界遺産学習を系統的に行っています。

2)大学間交流としては、奈良教育大学、慶應義塾大学、国際基督教大学、広島大学、福山市立大学、京都外国語大学、創価大学、青山学院大学など他大学のユネスコクラブとの交流を積極的に進め、2013年よりユネスコクラブの全国的ネットワーク構築を目指して「ユネスコクラブ全国サミット」を開催してきました。2022年2月19日(土)・20日(日)には、日本ユネスコ協会連盟の「ユネスコスクールSDGsアシストプロジェクト」助成金により、玉川大学ユネスコクラブと奈良教育大学ユネスコクラブが共同主催で「第8回ユネスコクラブ全国サミット」を奈良教育大学キャンパスで開催し(ハイブリッド方式)、小中学生を対象としたSDGs指導教材・ワークショップを作成する予定です。また大学生ができる変容的教育に向けたSDGs推進活動の課題と可能性を協議する計画です。

3)ユネスコスクール支援活動として、玉川大学ユネスコクラブは、2021年11月10日(水)・11日(木)に、町田市立南大谷小学校にて3年生の総合学習の時間にSDGsをテーマにした出張授業を行い、児童たちのSDGsの諸課題に対する気づきと理解を深めることに貢献しました。

4)SDGs11「住み続けられる町づくり」をめざした環境整備活動の一環として、2021年7月18日(日)および11月21日(日)に鶴見川清掃活動をボランティアとして行いました。

5)玉川大学ユネスコクラブ部員の学生1名が2021年9月に文部科学省が創設した「次世代ユネスコ国内委員会」の委員に選ばれ、他のユース委員とともに持続可能な未来に向けた次世代の貢献について協議と実践計画を進めています。またユネスコ本部が2021年12月7日~9日に開催した「ユネスコスクール・グローバル学生フォーラム」(ASPnet Global Student Forum)では数名の学生が参加し、パネルディスカッション等を通じて、グローバルな諸課題の解決に向けたユースのイニシアティブ形成に貢献しました。

6)ユネスコ本部のユネスコスクール国際コーディネーター斎藤珠里氏を基調講演にお招きして2021年6月12日(土)に日本国際理解教育学会・異文化間教育学会の共同主催による公開シンポジウム「SDGs目標達成に向けた異文化間教育と国際理解教育の役割 - ユネスコとの連携を再構築する」が玉川大学教育学部で開催されましたが、その際、玉川大学ユネスコクラブの学生チームはスタッフとして運営とパネリストへの技術サポートを行いました。さらに世界のユネスコスクール・ネットワークと連携した形での平和で持続可能な社会づくりに向けたユースの活動可能性について、玉川大学ユネスコクラブは斎藤珠里氏とのワークショップを実施し、世界のユースとの協同の可能性と課題について知見を深めました。これらの経験に基づき、ユネスコ本部が主催する「ユネスコスクール世界ウェビナー会議」にオンライン参加し、各国のユネスコスクールとの交流を深めました。またユネスコスクール・ニュースレター‟CONNECT”をテキストに世界のユネスコスクールとつながるSDGs交流活動の可能性を追求しています。

7)玉川大学ユネスコクラブは、東京都ユネスコ連絡協議会の依頼により、2021年2月28日(日)に「ユネスコ青年研修会」をオンライン開催し、全国の民間ユネスコ活動に関わる青年たちとSDGsをテーマに交流しました。この成果を受け、同じく東京都ユネスコ連絡協議会の依頼により、玉川大学ユネスコクラブは、2022年2月23日(水・祝)に「ユネスコ青年研修会」を開催し、国内外のユネスコ活動に従事する青少年とのネットワーク構築を図る予定です。同じく東京都ユネスコ連絡協議会の新企画「2000人プロジェクト」では、玉川大学ユネスコクラブの学生チームはスタッフとして、またコーディネーターとして各グループの議論の活性化に努め、大きな成果を上げました。

来年度の活動計画

2022年度は、玉川大学教育学部は、ASPUnivNet加盟大学として、創価大学にて2022年7月31日(日)に開催予定の「第3回ユネスコスクール関東ブロック大会」にて共催大学として分科会を企画し、国際対立を克服するためのシティズンシップ教育をテーマにした分科会ワークショップを実施する予定です。

玉川大学教育学部は、2022年度、ユネスコスクール支援大学間ネットワーク(ASPUnivNet)の運営委員長を務めます。これまでのユネスコスクール支援の成果をふまえながらもその課題を洗い出し、より効果的で学校現場のニーズに対応したユネスコスクール支援のモデル構築を目指していく計画です。

町田市議会にてユネスコスクール振興のテーマが取り上げられ、、また町田青年会議所がユネスコスクール事業に関心を示していることを受け、町田市、相模原市をはじめとする近隣自治体におけるユネスコスクールの広報と加盟支援にいっそう力を入れて取り組んでいく計画です。民間ユネスコ運動における東京都ユネスコ連絡協議会の「2000年プロジェクト」にも協力参加し、世界のユネスコ協会・クラブと交流する「バーチャル・スタディツアー」の企画をはじめ、首都圏におけるユネスコスクールのネットワーク構築と、ユネスコスクールとユネスコ協会との連携強化にも取り組んでいく予定です。大妻中野中学校・高等学校や横須賀学院中学校・高等学校、淑徳SC中学校・高等学校、創価高等学校などでユネスコスクール教員研修会を行い、SDGs目標達成に向けたカリキュラム開発と教材開発を支援していく計画を立てています。

2020年度に玉川大学教育学部のカリキュラムポリシーに「ESD/SDGs学習の推進」が盛り込まれたことを受け、2022年度の教育学部のカリキュラムにSDGsとESDの基礎を教える導入科目を開設することになり、現在シラバスの作成をはじめ授業準備を進めています。

課外活動における玉川大学ユネスコクラブは、2022年度は「第9回ユネスコクラブ全国サミット」にて大学ユネスコクラブの全国的ネットワーク構築をいっそう進めていく計画です。また毎週行っているSDGsワークショップを通じ、ユネスコスクール加盟大学の大学生としての地域貢献のあり方を再検討します。近隣のユネスコスクール加盟申請校である町田市立南大谷小学校および町田市立町田第五小学校でのSDGs出張授業の実施を大学生の教育貢献活動として計画しています。さらにユネスコ本部主催の「ASPnet世界ウェビナー会議」にも引き続き参加し、SDGsへの教育貢献を共通テーマとした海外のユネスコスクールとの交流やコラボを始めてゆきたいと考えています。

ユネスコ・バンコク事務所による「アジア太平洋地域GCEDネットワーク」にはコアメンバーとして引き続き参加し、GCED国際シンポジウムの運営およびGCED教材の作成等に携わります。またユネスコ本部が開催する国際会議において、おけるユネスコスクール加盟大学の取り組みついての発表参加を計画しています。