2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 貧困

本校は真宗高田派の宗門立の学校で、仏教精神を基として宗教的情操を培い、人間性豊かな社会人を育成することを建学の精神とし、「知を育む・知を伸ばす・知を進化させる」を教育目標に掲げ、持続可能な社会づくりを考える上で、環境教育・国際理解をテーマに持続可能な発展のための教育(ESD)の実践に取り組んでいます。

【環境教育の分野】
2016年11月パリ協定発効を機に、本校では、名古屋産業大学・地元企業の(株)赤塚植物園と協力し温室効果ガスの一つである二酸化炭素の濃度に注目した地球温暖化防止をテーマとする産学連携の環境教育をスタートさせました。具体的な取り組み内容は、本校屋上に二酸化炭素濃度測定器を設置し、24時間体制で学校周辺の二酸化炭素濃度を測定し、データの収集・分析に務めています。観測データは随時ホームページや校内のモニターで表示し、全校生徒・職員に周知し、日常の学校生活の中で二酸化炭素濃度値を通じて、地球温暖化を自然に意識できるような環境づくりを行なっています。また、この環境教育では、樹木・森林が光合成によってどれほどの二酸化炭素貯蔵能力を持っているのかを示す実験も行なっており、地域の緑化に携わり地域の里山等に見られる緑化木を対象に樹種毎にその能力を比較することで、直接的に持続可能な地域づくりに貢献できる機会や学びの場となっています。

【国際理解】
本校の環境教育は、名古屋産業大学の指導を仰ぎ行なっている。名古屋産業大学は、この環境教育を日本国内のみならず、台湾・ベトナム・インドネシアの国々の高校とも展開しており、本校を含めた加盟校間では学術交流提携を結び、測定データの共有は勿論のこと、定期的にオンライン学習成果発表会を開催し、意見交換を行なっています。また、本校が行なっている植物の二酸化炭素貯蔵能力を測る光合成実験をビデオ収録し、それに日本語、英語、中国語、ベトナム語の多言語翻訳を本校の生徒が名古屋産業大学の留学生の協力を得て行ないYou Tubeで全世界に配信し、ビデオ教材として、二酸化炭素の貯蔵庫としての森林の重要性を啓発しています。このビデオ配信は、EDU-Portニッポンの行なったセミナー「日本の教育を海外に紹介する取り組みが、相手国、日本双方の持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献する可能性」で紹介されました。このように世界は、相互に繋がっており、地球温暖化は地域や国内の取り組みだけで完結するものではなく、国境を越えて広がっていることを実感し、地域に根ざしながらも地球視野をもってESDを推進しています。

【この教育を通じて】
今まで目に見えなかった温室効果ガスを数値化し可視化したことで、生徒は、地球温暖化を身近に感じるようになり、現実社会に対し批判的思考力をもち、脱炭素社会実現に向けた活動を展開するようになりました。校内の委員会活動として全校に節電やリサイクル運動を啓発する動きが見られようになったことがその証だと感じています。また、同世代の同じアジア圏の生徒と同じ問題に対して協働して取り組むことで、「多面的・総合的に考える力」や「 コミュニケーションを行う力」は言うまでもなく、「 他者と協力する力」「 つながりを尊重する態度」を伸ばすことができたと考えます。地球環境分野において高大連携をリードしている名古屋産業大学と連携することにより、その専門的知見や研究成果を取り入れることができ、より探究的で深まりのある学習に繋がっています。また、地元企業と協働することにより学校だけではできない体験活動等を通して体感的・実感的なESDの学習の場が提供され、生徒の学習意欲もより一層高まっています。

来年度の活動計画

【次年度活動計画】
Ⅰ:現在行なっている環境教育の継続を基本とするが、カーボンニュートラルを目指すためにクリーンエネルギー(持続可能なエネルギー)についての学習を新たに始めたいと考えている。
Ⅱ:本校は環境教育と国際理解をテーマにESDを実践しているが、このESDで学んだことを現実社会でどのように生かしていくかを今後考えていきたい。例えば、ペットボトルキャップの回収運動などリサイクルと途上国へのワクチン支援といった内容について学ぶ活動を行なっていきたいと考えている。
Ⅲ:新たな取り組みとして歴史文化遺産を通したESDを行っていきたい。本校の母体である「真宗高田派の本山である専修寺」は国宝に指定されていることから、寺内町として栄えてきた地元地域の歴史と今後のあり方を踏まえ、持続可能な町づくりについて考えていきたい。